淫愛家族

箕田 はる

文字の大きさ
89 / 90

89

しおりを挟む

 季節は秋になり、紅葉が街路樹を彩っていた。
 都内でも広大な土地を持つ霊園に、睦紀の両親が眠る墓がある。
 命日である今日は、家族総出でこの場所に訪れていた。本来であれば、春馬か俊政が会社に行かなければならないが、約束だからと両者とも参加となった。何故か涼華まで参加するのには驚きだったが、それはそれで睦紀には嬉しいことだった。

「晴れて良かったね。日頃の行いが良いからかな」

 冗談めかしに告げる俊政は、今日も上機嫌だった。

「それは父さんではなく、睦紀のおかげかもしれませんよ」

 呆れたように春馬が言った。何故か自分のおかげだと言われ、睦紀は戸惑った笑みを浮かべて誤魔化す。
 日頃の行いが良いとは、とてもじゃないが思えなかった。二人の男を求めて、抱かれてしまっているのだから――父も母も天国では、睦紀の行いを責めているかもしれない。そう思うと、後ろめたさから口数が減ってしまう。

「睦紀、昨日も言っただろう。これは家族全員の罪なんだ。謝罪ならきちんとするし、責任を持って睦紀を幸せにするともご両親に約束する」

 後ろ暗い気持ちでいる睦紀に、俊政は励ますように肩を叩く。
 昨夜も二人に抱かれた睦紀は、そのときに俊政から告げられたのだ。

――一人で抱え込むのはいけないことだ。睦紀だけが気に病む必要はない

 後戻りはもう出来ないことは分かっている。離れるチャンスをなくしたどころか、自分から二人を求めたのだから。それを後悔するのは、睦紀を支えようとしてくれる二人に申し訳ないようにも思えた。

「ありがとうございます」

 やっとの思いで睦紀が笑みを作ると、俊政も微笑んだ。
 墓石の掃除をして、花を手向けると俊政がワインボトルを取り出した。
 六つのワイングラスに少しずつ、赤い液体が注がれていく。墓石に二つ、各自の手に一つずつワイングラスが行き渡る。

「それじゃあ、乾杯しようか」

 俊政の音頭で、各自がグラスを掲げる。鮮やかな赤が日の光に照らされ、輝く。

「美味しいです」

 睦紀がそう口にすると、俊政が「睦紀もワインの味が分かってきたんじゃないのか」と嬉しそうな声で返す。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

陥落 ー おじさま達に病愛されて ー

ななな
BL
 眉目秀麗、才ある青年が二人のおじさま達から変態的かつ病的に愛されるお話。全九話。  国一番の璃伴士(将棋士)であるリンユゥは、義父に温かい愛情を注がれ、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。  そんなある日、一人の紳士とリンユゥは対局することになり…。

羽衣伝説 ー おじさま達に病愛されて ー

ななな
BL
 麗しい少年が、おじさま達から変態的かつ病的に愛されるお話。全12話。  仙人の弟子であるボムギュは、お師匠様のことを深くお慕いしておりました。ところがある夜を境に、二人の関係は歪なものとなってしまいます。  逃げるように俗界へと降りたボムギュでしたが、村の子供達に読み書きを教えているという男に心を奪われてしまい…。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

登山

むちむちボディ
BL
趣味として山登りを楽しむ中年男性に起こる物語です。

処理中です...