Alice//F

シオン

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~Book end~

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「本当に来るんでしょうね」



「心配ない」



「誰が心配なんて!」



ルノー、クリュー、アドナは大きな石造りの橋の袂で何かを待っていた。



「すこしは素直になったほうがいいわね」



ノワールが三人の前に現れた。



「大きなお世話よ」



「認識はあるのね」



「うぐ…」



クリューは黙り込んだ。



「お仲間がいたのでござるな」



商人アナグマがにこやかな表情で現れた。



「まさか、本当についてくるとはね」



「何者なの?」



クリューは聞いた。



「これは失礼、某は商人のアナグマでござる」



商人アナグマは丁寧に挨拶した。



「それは放って置いて先に行くわよ」



ノワールは石造りの橋の上を歩みを進める。



橋の先の湖面には大樹に飲み込まれるように建つ城があり、そして、その城を囲むように八つ大樹の根が塔を模しており、頂にはそれぞれ八色の炎が灯っている。



「ちょっと待ちなさいよ」



クリューはノワールをひき止める。



「此処が何処だか聞いてないんだけど?」



ノワールがため息をつき、クリューの質問に答えた。



「私も詳しくは知らないわ、ルノーにこの場所に来れば他のアリスと…」



ルノーがノワールの言葉に割って入った。



「…すぐに案内人が現れるよ」



「その通り、私が案内人のソウル・イーター申します」



パリッとしたシワひとつないスーツに不気味な眼が描かれた面を着けた男が現れた。



「些か人数が多いような気がしますが、それも記されたことということでしょう…ご案内致します。このフィナル・リーヴルへ」



案内人について、建物に向かってノワール達は歩き出した。







フィナル・リーヴルの中では不穏な空気が漂っている。



「神に刄を向けるとはなんたる所業」



毛先に向かって黄色から淡い黄色へと染まる髪に首から薔薇十字をさげた修道女、ジョーヌが剣の切っ先を向けた赤いドレスの女に向かっていった。



「滑稽にも程があるわね、ここに足を踏み入れた時点で何をすべきか分かっているはず、それでも尚、役を演じるなんてほんと救えない馬鹿ね」



赤いドレスの女、ルージュは剣の持つ手とは反対の手を振るうと小型の銃が袖の下から飛び出し、その銃を手に取ると銃口をジョーヌに向けた。



「銃か…そのような記述を世界に記した覚えはないが…」



ルージュの向ける剣の先にはフードを被りローブに身を包んだ男がが言った。



「主様、お連れしました」



ソウルイーターは状況に臆すること無く伝え、ノワールとルノーが半球形の部屋へと足を踏み入れた。



「これで役者は揃った…」



男はフードを取った。



「ようやく素顔を晒したようね、エペ、それともブックメーカーと呼べばいいかしら?」



「好きに呼ぶといい、どちらもこの世界の呼称に過ぎない、それにエピローグも近いそんなことは些細なことだ」



男は懐から本を取り出した。



「最終章を始めよう」



「そこの黒いのちょっと手を貸しなさい」



ルージュはノワールに声をかけた。



「何でそんなことを?」



「あんたなら理解しているでしょ?ここで何をするべきかを」



ルージュはそう言ったのちジョーヌを銃で示して言った。



「そこの誰かと違って」



「ルノー」



ルノーは大鎌に姿を変えた。



「貴方も神に刄を向けるというのですか?」



「私はただ私に降りかかる刃にたいして武器を構えただけ」



ノワールは大鎌で空を振り抜いた。するとジョーヌの方へ飛び退くようにアズゥールが現れた。



「陰湿気配がしていると思えば、やっぱり…」



「そう褒めないでくれないか?」



「だれも褒めてないわよ」



ノワールは大鎌をアズゥールに向けた。



「君は神の導きに従い赤い悪魔を滅するといい」



アズゥールはジョーヌだけに聞こえるように言うとジョーヌは首からかかる薔薇十字を外すと宙へと放った。



「ランスィール」



大きさと形が変わり、十字の三ツ又の槍へと変わると手に取った。



「槍?そんなもので私の武器に対抗出来るとでも?」



ルージュは引き金を引き、銃弾を放った。



銃弾はジョーヌの周囲を折り返し、ルージュの頬を掠めた。



「へぇ、面白いことしてくれるわね」



ルージュは銃を下ろし、剣をジョーヌに投げ放つとジョーヌは剣を槍で弾き、ルージュに向かって槍を突いてきた。



ルージュは槍を躱そうとしたが左右に広がる刃が服を裂いて脇腹を掠めた。



「神の裁きを"フードル"」



槍の刃から雷撃が放たれ、ルージュの身体を貫くとルージュの身体は横へと吹き飛ばされて地面に倒れ込んだ。



そして、ルージュの身体から煙が立ち上っている。



「そろそろ、こちらからいってもいいかな」



アズゥールは大鎌の柄を地面について息の荒げたノワールに向かって言った。



「全く陰湿で陰険な力よね…」



「ほんと君は僕を褒めてくれるよね」



アズゥールはノワールの背中で頬杖をついて現れて言った。



「だから、褒めてないわよ」



ノワールは大鎌を傾けて背後のアズゥールに大鎌の切っ先を突き刺した。



「刃では傷付かないことは分かっているはずだよ」



「でも、一応ね…もしかしたら本体に当たるかもしれないじゃない…」



ノワールの腹部から鋭い透明な円錐形の物体が突き出ていた。



アズゥールは身体に突き刺さる大鎌の刃を何事もなくすり抜けるとそれとともにノワールの腹部に突き刺さる物体も抜け、ノワールはうつ伏せに倒れ込んだ。



「赤と黒が…そんな記述、何処にも」



エペは慌てた様子で本のページを捲りながら何かを確認する。



「その本がこの世界を構成するもの?」



本に集中するエペの前にアズゥールが突然、現れると本を奪い取り、アズゥールはパラパラと全てのページを流し見ると何も書かれていないページが連なっていた。



「白紙?」



「それを返せ!」



エペはアズゥールの身体を掴もうとしたが通り抜けた。



「貴方も神を冒涜するのですか?」



ジョーヌが槍をアズゥールに向けた。



「神ね、神だというのなら僕の特性くらい分かりえたはず、ならば僕に掴み掛かろうなんてこと」



エペは本を取り返そうとすることをやめ、地面に膝を突いた。



「全くこうも簡単にばれるなんて…」



「貴方は何者なんです」



「俺はお前達と同じアリスの一人、この世界では王様を演じていた、ちなみにそこの赤い奴は女王を演じていた」



「ちょっと借りるわよっ」



ノワールがジョーヌの槍を奪い取り、アズゥールの胸部を貫いた。



「あれ、そう簡単には起きてこられる傷じゃないはずなんだけどな」



ノワールの腹部には傷一つなかった。



「でも、僕に槍を刺したところで僕の特性は…」



「水よね、だったらその水にとって電撃ってのはどうなるのかしらね」



アズゥールはすぐさま槍から抜けようとしたがすでに遅かった。



「…イクスフードル」



アズゥールを貫く槍を中心から十字に電撃の柱が放たれた。



放たれた電撃の柱は建物の壁を貫く威力でアズゥールの身体は一気に蒸発し、青いブラスタルだけが残されていた。



「ようやく二つ目ね」



ノワールは地面に残された青いブラスタルを拾い上げた。



「どうして生きて、それになぜ他のアリスの力を使える」



エペは驚いた様子でノワールにいい放った。



「どうして生きているかは秘密だけど、何故、他のアリスの力を使えるかは黒のアリスだからってことね」



「そんなのが理由に足り得るのか」



「十分なはずだけど?この建物に入って世界の理や自己の存在意義は理解してる、それを踏まえればアリスの色の意味と力の関係性は分かる」



ノワールの回答にジョーヌが答える。



「黒、複数の色の集まりにして何色にも染まらない色、故に複数のアリスの力を有して、他のアリスの力を受け付けない」



「御明察、正解者には安らかな死を」



ノワールはジョーヌの槍を宙へ投げ、大鎌で中程から切断した。するとジョーヌの身体に斬撃が走り、ジョーヌは膝を突いた。



「うぅ…どうして…斬られたのは槍なのに…」



ジョーヌはそのままうつ伏せに倒れ込んだ。切断された槍は微弱な電気を放ち、その身を光となって散らしていく。



「武器は自分自身の分身に等しいもの、言わば心の形を体現している、故に心の傷が酷ければ、体にも影響が出る」



ノワールはため息をついて続けた。



「…この世界の理を分かっても、理を解ったわけではない者ばかりね」



槍が光に散った後には黄色のブラスタルが残っていた。ノワールはそれを拾い上げるとエペに向き直った。



「さて、あとはあなただけ」



ノワールは大鎌でエペを指し示した。

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