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30 災厄の卵・死
しおりを挟む「これは?」
アリアは黒い球体の表面に触れようと手を伸ばした。
「無闇に触れない方が…」
レギオスはアリアの手を掴み止めた。
「そう、触らない方がいいよ」
風に舞った葉が球体の表面に触れると一瞬で塵も残さずに焼け消えた。
「まあ、触ってくれた方がこっちとしては楽なんだけどね」
「お前は教会の梁の上にいた奴か」
「あれ?気付いてたんだ、へぇ~…だったら話は早いや、君が守ってるそれを氷結させてもらうよ」
冷ややかな空気が辺りを包み、地面に霜が降りていく。
「アリア…離れるな」
アリアの目の前の地面から氷錐が突き出た。
レギオスはそれをアリアに届く前に片腕で叩き折った。
「やっぱり君から何とかしないといけないみたいだね」
エルヒムはいつの間にかきめ細かい鱗覆われた鉤爪のレギオスの手を見て、自らの身に纏っているマントを引き剥がした。するとマントの下はうっすらと煌めく紋様が入った裸だった。
「グラサージュ」
「この力を知っている?」
エルヒムは思った。
「絶対にお前は力を使うな」
レギオスはアリアに小声で伝えるとエルヒムに向かって駆け出し、エルヒムに右手で殴り掛かった。
レギオスの拳はエルヒムの身体を透り抜けた。
「残念」
エルヒムの身体は氷霧となり、消えゆくとレギオスの背後に現れた。
レギオスは振り返りながら今度は左手の拳を奮うと再びエルヒムは氷霧となり消えた。
「逃げているだけでは何にもならないが」
「別に逃げてるわけじゃないよ、だってうちの攻撃は届いているから」
エルヒムの声だけが聞こえ、レギオスの両手が一瞬に氷塊に包まれた。
レギオスは氷塊に包まれた手を地面に叩きつけて割ろうとしたがエルヒムの言葉に動きを止めた。
「そんなことをすればその両手、諸共砕けるわよ」
「氷を砕く必要はない」
レギオスの手の氷塊から水が滴り落ちる。
「溶けている?」
溶け落ちる水は地面に到達する前に周囲の冷気に冷やされ、再び凍り付いて地面で砕けた。
「やっぱり徒者じゃないね、でも、その程度の溶解じゃ何時になったら自由になるの?」
エルヒムは皮肉ると黒い球体の上部から下方に向けて硝子が割れるような音と共に亀裂が入った。
「まさかっ…」
エルヒムは姿を現し、黒い球体を見上げると黒い球体は砕け散り、破片は塵芥となり消えた。
エルヒムはすぐにザムザの死を感じ取り、冷気と共に姿を消した。
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