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49 邂逅
しおりを挟む文字列の視界は突然、開かれた。
開かれたその先には瞳の空虚の洞を刀で貫かれた黒毛の少年の姿があった。
文字列は焼失するように消えていき、視界が広がる。
「貴方の思い上がりは世界の駒となっても変わらないね」
紫の長髪を頭の上部で巻き貝のように二つに纏めた少女は少年の洞に突き刺さる刀を引き抜く。
「なんだこれは…」
アドナとクリューは突然、現れた目の前の光景に同様を隠せない。
「何が起きたの」
「彼女達が来たらこうなるよね」
真っ白な凹凸のない仮面の人物は仮面の下で笑みを浮かべる。
「あの方と似てるけど貴方誰?」
クリューはいつの間にか背後にいた白い仮面の人物に聞いた。
「君達はスノウの駒(ピース)か、なるほど通りで…」
白い仮面の人物はクリューとアドナを眺めて何かを感じ取る。
「おっ始まるようね」
文字列がノウル・エッジの身体から崩れるように浮かび上がる。
そして、急速に圧縮してチェス盤模様の装丁の本へと昇華する。
チェス盤模様の本は地面へと落ち、その上に十字架のレリーフの入った眼帯が乗る。
紫の少女は本の上に乗る眼帯を拾い上げる。
「これは返してもらうよ」
紫の少女は眼帯で片方の目を覆うと刀でチェス盤模様の本を突き刺して本を宙に投げる。
「さて、これであの子も目を覚ましてくれるかしら」
紫の少女の瞳の色が淡い紫から濃い紫へと深みを増し、声色も大人びたものへと変わる。
そして、突き刺していた刀で本を両断する。するとそれと同時に空間に亀裂が入り、硝子が割れるような音と共に空間が割れる。
割れた空間、破片が舞い散る向こうから黒い仮面の人物、スノウが現れた。
「おかえり」
白い仮面の人物はスノウの傍に近付いて言った。
「ダーク」
白い仮面の人物、ダークは黒い紙の回転式拳銃の銃口を自分に向けてスノウに渡す。
「さぁ、あの子を目覚めさせましょう」
紫の少女は二振りの刀を手に宣言すると突然、一方の手の刀で自らの横の虚空を斬る。
すると何かを切り落とした音が聞こえた。
「邪魔ね…」
紫の少女はダークとスノウから視線を動かさずに言う。
「貴方達の役割は終わったたずでしょ?」
少女が言葉を放った方向には弓を構えるアドナがいた。
「そうなら私達が何しようと構わないでしょ」
先程とは逆方向から刃が風を斬る音が聞こえ、視線を動かさずに刀を振るう。
そして、金属同士のぶつかる高い音が響く。
「そうね、でも無駄なことは止めなさい」
紫の少女は両手首を一捻りする。
「もう動くことも出来ないのだから」
「何をした」
クリューは力を込めようと意識したが何かに拘束されたかのように指先一つ動かせない。
「待たせたわね」
紫の少女はクリューの言葉には気に止めず、静観するダークとスノウの二人に言うと刀の鋒を向ける。
「待ってないけどね」
「一ついいかな」
「何かしら?」
「君は何者?」
「見ての通り、私はアリスよ」
「僕の知ってる紫のアリスは二人何だけど」
紫の少女は刀を弄びながら不適な笑み見せる。
「間違ってはないわよ」
「だったら今の君は」
「本(せかい)は常に複層的なのよ」
「なるほどね…だったら正体を暴くならこの方が早いかな」
ダークが白い紙の回転式拳銃の銃口を紫のアリス?に向けるとスノウも黒い紙の回転式拳銃を向ける。
「試してみたら?」
紫の少女は二振りの刀を弄びながら逆手に持ち変えるとダークとスノウの指が引き金に掛かる。
その瞬間、紫の少女は体勢を少し落とし、体勢を戻しながら身体捻りつつ、両手を振り上げると手から刀が放れる。
放れた刀は何かを切り裂き、宙に弧を描く切り裂かれたものと共に。
そして、白と黒の紙が舞い落ちる。
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