街を作っていた僕は気付いたらハーレムを作っていた⁉

kozzy

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75 16歳 in ベターライフ神殿

厳かな空気の中、祭壇の前で僕を待つニコ。

祭壇と言えば思い出すのが妹の後姿だ。
ずらりと並んだアクスタ、壁一面の缶バッジ。推しの顔入りケーキを前に生誕祭とやらを繰り広げていた妹を見て、「アレ食うんだ…」とドン引いたのも今では良い思い出だ。
ヲタクの日常に溶け込むもの、それが祭壇…

ニコに祭壇って…、ぷっ!だめだ、笑いが…


「ハミルトン侯、厳粛に…」
「…はい…」


あー、そうそう。ニコの要望によりこの神殿の名は〝ベターライフ神殿”になったんだよ。
「ウエストエンド神殿で良いじゃん」って言ったんだけど、どうしてもこの名前にこだわりがあるんだって。
BetterLifeベターライフ、より良い生活…文句はない。無いはずなんだけど…、な~んか気になるんだよね…。なんだろ?


でも名前なんて些細なことだよね?
そんなことよりすごく真面目くさった顔で僕に聖水を振り撒いていくニコ。つい一時間前まで物凄い腐れ話してたのによくもまぁ平気な顔で…。あの図太さこそ僕が最も見習うべき部分なんじゃないだろうか。

通常この成人の儀式でレベルが20上がるんだけど…、上限解放状態の僕にはまるで、バケツプリンを食べてる最中に「ちょこっとプッチンプリン」を一つ差し入れられたようなものだ。ありがたく受け取っておくけどね。

ニコから差し出される米…、いや、これは…種?

ーいいから食べて!ー
ーご、ごめん…ー

パクリ…フォン…

ん?おっ?おおっ!カンストしてから見る事の無かったステイタスボードが!

レジナルド・ランカスター・ハミルトン 16歳 男子

数秒前までこうだったのがレベルの数値と共に

レジナルド・ランカスター・ハミルトン 16歳 男性

に変化した!

あの種?種なのか?あれか?よく分からないが仕様ならしようがない…ダジャレじゃないよ?



さて、この後は引き続きヴィラを開放しての祝宴になる。

王家のアルバートが居る以上ヴィラに入れるのは叔父様、そして騎士やシュバルツと言った公務員限定である。
いやぁ…、さすがにね。だけど来年の誕生日にはここもゲストでいっぱいになるだろうか?きっとセザールとオスカーは来てくれるはず。楽しみだな。

そうそう、領民達はダウンタウンのいつもの場所で今頃盛大にやってるところ、もちろん後で顔出す予定だよ。


「レジナルド、これはまた素晴らしい宿舎だね。この大滝も実に見事だ。」

「叔父様。今夜はぜひこちらにお泊り下さい。実はお一人では退屈かと思いクラウスとゴーティにもこちらに泊まるよう申しつけてあります。彼らを話し相手に露天風呂を楽しみながらごゆるりと、なんて言うのは建前で…、実はあの二人が気兼ねなくこの施設を体験できるようどうかご協力ください」

「気遣いありがとう。そういうことなら協力しよう」


露天風呂の嫌いな中年男性は少数派でしょ?きっとお喜び下さるに違いない。

でも実はこれ体のいい厄介払いだったりする。何故なら今夜僕はニコに付き合ってメイズに飛ばなければならないからだ。
けど叔父様が屋敷に居たら僕の予定はメチャクチャにされてしまう。
会えていなかった間の話、今だと恐らくランカスターのこれからについてとか、お酒が入ると少しばかりクドイ叔父様は真夜中まで延々と僕を離してはくれないのだ。これだから親戚のおじさんって…

それにしても…

「ところでアルバートは何故ここに…?」
「私はここの宿泊客だよ。ここに座っていて何か不思議だろうか?」

…なんで当たり前みたいな顔で僕の隣に座ってるんですか?って聞いてるんだけど…もういいや。突っ込むのもめんどくさい。

「祝辞を言おうと騎士たちが列をなしているね。皆君の成人を心から祝っているのが伝わってくる。愛されているのだね。レジー、公爵の事はしばし忘れて今だけは宴を楽しむがいい」

これは…!もしかしてアルバートは僕を気遣ってここに…?
なんてことだ…人を色眼鏡で見るなんて…僕のバカ!ちょっと反省…
僕はアルバートの評定を更に一段階引き上げた。


「レジナルド様、成人おめでとうございます」

「イーサン先生、ラドリー先生、お揃いで」
「父、そしてハイネン氏は持ち場を離れられないという事でしたので私が代表で。フィッツ夫妻、コーエン夫人とエミリー嬢は後ろに並んでおりましたよ」

「そしてこれは薬局からのお祝い、出来立てほやほやポーションです。青いポーションがプラス2歳に、赤いポーションがマイナス2歳になります。ぜひお試しを!」
「プラマイ2歳、また微妙な…、ま、まぁありがとう…」
「これは興味深い…、是非使わせていただくよ、ありがとうドクター」

なにっ!
なんでアルバートがお礼言ってんだろう…。言っとくけどそれ僕へのプレゼントだからね?

おっと、お次は…

「レジナルド様、お祝いに参りました」
「こちらをどうぞ」

「シュバルツ、パーヴェル、二人が選んだの?きれいな青薔薇だね」
「ラベンダーがあれば良かったのですが季節が違いましたので…。パーヴェル、殿下にご挨拶を」

「貴族でもない僕が顔前に立つとは恐れ多い事でございますが、パーヴェル・クーデンと申します。殿下に置かれましてはご機嫌麗しく大変結構なことと存じ上げます」
「君のことはローランドから聞いているよ。とても聡明な人だとか。兄君ゆずりかな」

「いえそのような…。殿下、その節は稚拙な案内失礼仕りました」
「シュバルツ、健勝そうで何よりだ。今日はレジーを祝ってくれてありがとう」

なにっ!
だからなんでアルバートがお礼言ってんの?ってば。

それにしても…こういった姿を見るにつけ彼らはやっぱり上流階級の佇まいなんだよね。
不遇な彼らをいつか元の立場に戻してやりたい。それは僕の密かな目標だ。


それにしても、あー疲れた、だってもう十五時。さすがにそろそろ列も終わりかな…。おや?向こうからやって来るのは…

「おいレジナルド。一度屋敷に戻ったらどうだ。執事が呼んでるぞ」
「ヴォルフ…。伝言ありがと。でも何だろ?ジェイコブが何だって?」
「見ればわかる。よし、成人初だ、乗せてやろう。俺が成長を確かめてやる」

「ヴォルフ。今回君の働きには感謝している。だがレジナルドを気安く背中に乗せるのはいかがなものだろうか」
「ふん。お前には悪いが俺に乗りたがるのも俺のうなじに顔を突っ込むのも、ああそうそう、俺と風呂に入りたがるのもこいつのほうだ。文句があるならこいつに言え。おいレジナルド、行くぞ!」

「ちょっとヴォルフ!誤解を招く言い方はヤメテよね!アルバート…?」

何があったのか知らないけど、硬直した王子様は聖騎士たちに介抱されながらヴィラの奥へと運ばれていった。

いやホントに何があったのさ…?



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