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97 16歳 Let's try 三つ目
ダンジョンランドのトライアルがこれほど精神を疲弊させて来るとは…
全ては予想の遥か斜め上。今日一日で僕の寿命は不整脈で十年分くらい縮まった気がする。
けどこちとら中身二十歳の大学生だよ?あれくらいで動じたりなんか…、え?経験値?………あっ!シャリムが呼んでる、行かなくちゃ!
「何シャリム?」
「イソヒヨドリのバカ…」
「あー、ごめんごめん。アーニーと閉じ込めたから拗ねちゃったの?でも仲良くなった?」
「なるか!」
「ならない…」
気、合ってんじゃん…
「レジナルド、次の遊技は子供向けか?なら俺は必要ないな。出口で待つから行ってこい」
「ミニゴーレムと泥合戦?なんだそりゃ。俺もパス。さっさと確認して来いよ」
「えー!」
「僕も…」
「おっと!シャリムは逃がさないよ!何なら子供たちの為にほかのどの場所よりも念入りにチェックしてほしいのに。さ、行くよ!」
「でも明るい…」
「明るくないって、ジャングルだよ?十分暗い!それともシャリムはそんな暗い場所に僕一人で行けって言うの?」ウルウル…
「…いっしょに行く…」
ええ子や…
しかしシャリムとマンツーか。
くそぅ、手癖悪いうえに付き合いの悪い漢たちめ!そりゃまあ?あの二人がウサギやリスをみて喜ぶわけないけど…?
でも筋トレするリスとかホント貴重なのに…。やっぱ右フック犬も揃えるべきだっただろうか?
ん?この黒いモヤは…
「こらシャリム!すぐそうやって拘束しようとするんじゃありません!」ブチブチィ!
「だって心配…」
「何が心配?ここは子供向けのエリアで、穏やかな流れのカヌーで、それに僕はここに居るでしょ?」
今日は押しの強いアーニーとヴォルフがずっと一緒だったせいかいつもよりカマッテが激しい…
「だって…イソヒヨドリはすぐどっか行く…」
「どっかって…、ああ、王都の事?あれは仕方ないじゃない、裁判とか…お父様のこともあったし」
「置いてった…」
「一緒に行きたかったの?」
「行きたくない…。でも一人にしないで。お屋敷に居て…」
「そうは言うけどね、ご当主様は忙しくて…。でも僕はみんなって言う帰る場所があるから安心して外へ行けるんだよ?それにそれを言ったらシャリムにこそもっと広い世界に羽ばたいて欲しいっていつも思ってるんだけどな」
「イヤだ…お屋敷に居る、出てかない…」
がっつりしがみつくシャリム。可愛いっちゃ可愛いが…彼のトラウマを考えると少し悲しい。
「違うよそうじゃない。あのね、今みたいに僕と一緒じゃなきゃ外出しない…とかじゃなくてもっと安心していろんなところへお出かけして欲しい。そう言う意味だよ」
「出てる…」
「夜だけじゃない」
シャリムが一人で屋敷を出るのは相変らず真夜中のお散歩だけ。
ヴォルフとランカスターに潜入したは異例中の異例。けどあれだって動き出すのは日が暮れてから。結局彼は今でも独り太陽の下へ出ることは無い。陽に弱い瞳だってベールを掛ければ平気なはずなのに。
「僕とここへ来てもう三年か…。ここまで懐いてもらえて光栄だよ。でもね、こうして側に居ないと不安にさせてしまううちは僕もまだまだだなって思っちゃうんだ」
「なに?分からない…」
「シャリムにとって僕との絆は離れたら不安になっちゃうような脆いものだって事でしょ?」
「ち、ちが…」
「違わない。でもそれはシャリムのせいじゃなくて僕の力不足だ」
「イソヒヨドリ…」
神妙な僕にシャリムも同じく神妙な表情を返す。
彼は頭のいい子だ。きちんと話せばきっと分かってくれるはず。僕の気持ち、僕の願いを…
「僕はシャリムのランドマークになりたい。ずっとそう思ってた」
「何それ…」
「目印。シャリムがいつどこに居ても迷わず戻ってこれるよう、変わらずずっとそこに在り続ける目印のことだよ」
「目印…」
「いつかシャリムが本当の意味で不安じゃなくなったらね、もっと沢山の世界を見に行くと良い。いろんなことを学んで体験して、それで僕の元に帰って来ては聞かせて欲しい。何を思って何を感じたか。シャリムのお母さんはそのために文字を教えて本を与えた、シャリムが外の世界へ出ていけるように。そうでしょ?」
「かあさん…」
彼にとってただ一人、生身の存在だった母親。その名を聞いて目を閉じる彼。
幼いあの日を思い出しているんだろうか…陽の当らぬ暗い地下室で暮らしたあの日々を。
彼が闇の中で暮らした年月。それはあまりにも長く、そう簡単に彼のトラウマを払拭できはしない。
「焦らせるつもりはないよ。だからいつか、ね」
「じゃぁ印をつける…。そうしたら平気…」
「印…?あっ!ちょっとシャリム!」
彼が自分で噛んだ指先からは真っ赤な真珠が浮き上がった。
「舐めて…」
「な、舐めるのかぁ…。まぁいいや」ペロ
吸われて舐められて最後はこっちが舐めるのね。なんつーか血にまみれた一日だな…
「これで何処に居ても大丈夫。何かあったらすぐわかる…」
「え…?もしかしてこれ闇魔法の何か?」
「うん…。呼んだら行く。危ない時は呼んで…。イソヒヨドリは僕のものだから…」
まじか…。ま、まさかのシャリム召喚を付与されてしまった…。シャリムってば…、胸熱だよっ!
一番気難しいくせして一番ピュアじゃないか!どっかの穢れた誰かさんたちも見習えよっ!
特に一瞬で舌まで突っ込んだ駄犬はっ!
全ては予想の遥か斜め上。今日一日で僕の寿命は不整脈で十年分くらい縮まった気がする。
けどこちとら中身二十歳の大学生だよ?あれくらいで動じたりなんか…、え?経験値?………あっ!シャリムが呼んでる、行かなくちゃ!
「何シャリム?」
「イソヒヨドリのバカ…」
「あー、ごめんごめん。アーニーと閉じ込めたから拗ねちゃったの?でも仲良くなった?」
「なるか!」
「ならない…」
気、合ってんじゃん…
「レジナルド、次の遊技は子供向けか?なら俺は必要ないな。出口で待つから行ってこい」
「ミニゴーレムと泥合戦?なんだそりゃ。俺もパス。さっさと確認して来いよ」
「えー!」
「僕も…」
「おっと!シャリムは逃がさないよ!何なら子供たちの為にほかのどの場所よりも念入りにチェックしてほしいのに。さ、行くよ!」
「でも明るい…」
「明るくないって、ジャングルだよ?十分暗い!それともシャリムはそんな暗い場所に僕一人で行けって言うの?」ウルウル…
「…いっしょに行く…」
ええ子や…
しかしシャリムとマンツーか。
くそぅ、手癖悪いうえに付き合いの悪い漢たちめ!そりゃまあ?あの二人がウサギやリスをみて喜ぶわけないけど…?
でも筋トレするリスとかホント貴重なのに…。やっぱ右フック犬も揃えるべきだっただろうか?
ん?この黒いモヤは…
「こらシャリム!すぐそうやって拘束しようとするんじゃありません!」ブチブチィ!
「だって心配…」
「何が心配?ここは子供向けのエリアで、穏やかな流れのカヌーで、それに僕はここに居るでしょ?」
今日は押しの強いアーニーとヴォルフがずっと一緒だったせいかいつもよりカマッテが激しい…
「だって…イソヒヨドリはすぐどっか行く…」
「どっかって…、ああ、王都の事?あれは仕方ないじゃない、裁判とか…お父様のこともあったし」
「置いてった…」
「一緒に行きたかったの?」
「行きたくない…。でも一人にしないで。お屋敷に居て…」
「そうは言うけどね、ご当主様は忙しくて…。でも僕はみんなって言う帰る場所があるから安心して外へ行けるんだよ?それにそれを言ったらシャリムにこそもっと広い世界に羽ばたいて欲しいっていつも思ってるんだけどな」
「イヤだ…お屋敷に居る、出てかない…」
がっつりしがみつくシャリム。可愛いっちゃ可愛いが…彼のトラウマを考えると少し悲しい。
「違うよそうじゃない。あのね、今みたいに僕と一緒じゃなきゃ外出しない…とかじゃなくてもっと安心していろんなところへお出かけして欲しい。そう言う意味だよ」
「出てる…」
「夜だけじゃない」
シャリムが一人で屋敷を出るのは相変らず真夜中のお散歩だけ。
ヴォルフとランカスターに潜入したは異例中の異例。けどあれだって動き出すのは日が暮れてから。結局彼は今でも独り太陽の下へ出ることは無い。陽に弱い瞳だってベールを掛ければ平気なはずなのに。
「僕とここへ来てもう三年か…。ここまで懐いてもらえて光栄だよ。でもね、こうして側に居ないと不安にさせてしまううちは僕もまだまだだなって思っちゃうんだ」
「なに?分からない…」
「シャリムにとって僕との絆は離れたら不安になっちゃうような脆いものだって事でしょ?」
「ち、ちが…」
「違わない。でもそれはシャリムのせいじゃなくて僕の力不足だ」
「イソヒヨドリ…」
神妙な僕にシャリムも同じく神妙な表情を返す。
彼は頭のいい子だ。きちんと話せばきっと分かってくれるはず。僕の気持ち、僕の願いを…
「僕はシャリムのランドマークになりたい。ずっとそう思ってた」
「何それ…」
「目印。シャリムがいつどこに居ても迷わず戻ってこれるよう、変わらずずっとそこに在り続ける目印のことだよ」
「目印…」
「いつかシャリムが本当の意味で不安じゃなくなったらね、もっと沢山の世界を見に行くと良い。いろんなことを学んで体験して、それで僕の元に帰って来ては聞かせて欲しい。何を思って何を感じたか。シャリムのお母さんはそのために文字を教えて本を与えた、シャリムが外の世界へ出ていけるように。そうでしょ?」
「かあさん…」
彼にとってただ一人、生身の存在だった母親。その名を聞いて目を閉じる彼。
幼いあの日を思い出しているんだろうか…陽の当らぬ暗い地下室で暮らしたあの日々を。
彼が闇の中で暮らした年月。それはあまりにも長く、そう簡単に彼のトラウマを払拭できはしない。
「焦らせるつもりはないよ。だからいつか、ね」
「じゃぁ印をつける…。そうしたら平気…」
「印…?あっ!ちょっとシャリム!」
彼が自分で噛んだ指先からは真っ赤な真珠が浮き上がった。
「舐めて…」
「な、舐めるのかぁ…。まぁいいや」ペロ
吸われて舐められて最後はこっちが舐めるのね。なんつーか血にまみれた一日だな…
「これで何処に居ても大丈夫。何かあったらすぐわかる…」
「え…?もしかしてこれ闇魔法の何か?」
「うん…。呼んだら行く。危ない時は呼んで…。イソヒヨドリは僕のものだから…」
まじか…。ま、まさかのシャリム召喚を付与されてしまった…。シャリムってば…、胸熱だよっ!
一番気難しいくせして一番ピュアじゃないか!どっかの穢れた誰かさんたちも見習えよっ!
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