僕はゼッタイユルサナイ

kozzy

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ご褒美の交渉

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「ベル様、俺が仕切った初茶会どうだっ、どうでしたか?」

明けて翌日。ディディエは少し口元を引き締めながら、昨日の成果を尋ねていた。

「うーん、初めてにしてはなかなかだったよ。どう、大変だった?」 

「準備はいいんだけどな…」
「どうしたの?」
「参ったよ。シメオンさんからここを訪れる客の好みを全て把握して覚えておくように言われた」
「あー…」

「これでほんの一握りなんだろ?それが出来てるリオネルはやっぱりすごいんだな」

番頭は言うに及ばず、出来た奥とは主人の交友関係を把握し、その一人一人について様々な情報を記憶しているものだ。
そしてお歳暮お中元の際には、主人に代わって個々の好みに合う気のきいた品を贈るのである。
だが、それらは主人の評価へと直結するのだから実に責任重大といえよう。

「ふふふ、でもディディエだってメイドたちの誕生日や好みは全部覚えてるじゃない」
「そりゃ親しい仲間のことは自然と…」
「なにも変わらない。すぐに覚えられるよ」
「ベル様に恥はかかせられない。やるしかないよな」
ポン「うむ。奥は任せたよ」

簡単なことではないが、これもまた陰で主人を支える使命の一つ。
ディディエには今後も精進して良き執事を目指してもらいたい。

「なあベル様、頑張った俺にご褒美は?」
「何を子供みたいなこと…、まあいいや。何が欲しいの?」

かしこまったさきほどまでとうって代わって、ディディエのその目はイタズラっぽく細められた。

「あのさ…今夜は離れで過ごしたい。二人きりで」

うっ!

リオネルを除いたランシェン子爵一家は、叙爵祝いにおじいさまが用意した、貴族街梅にある屋敷に居を移していた。

当初は離れを離れない!と粘っていた彼らだが(僕と連携とりやすいしね)、貴族とは社交をしてなんぼの生き物である。
人の出入りが増えたことで、「ベルナール様にご迷惑をおかけしてしまう」と、引っ越しを余儀なくされたのだ。(ここはアランブールの敷地内だからね)

なので今ここは本来の静かな離れ。
そこで一夜を過ごすだと…?

「…」ジト…

ディディエは快感に(僕が)むせび啼いたあの夜以来、入浴時にいたずらすることはあっても、主人のお尻を狙うという暴挙にはさすがに出ていない。
が…

この期待に満ち満ちた顔…このお願いとはそういう意味なのだろう。

「いやぁ…ちょっとそれはどうかな…」
「どうして?俺たちもう結ばれたじゃないか」
「それはそうだけど…」

あの形は違うから!逆だから!

「俺が嫌いか…?」
「バカっ!好きだよ!好きに決まってる!」
「なら…」

「う、うう~ん…」

困った…。願望と愛情のせめぎ合い…

キュゥゥゥン…

はっ!どこからか聞こえるこの悲しげな仔犬の鳴き声は?
ああー!ディディエの耳と尻尾が垂れ下がってるー!

く、くぅぅ…

「し、仕方がない。少しスキンシップするぐらいなら」
パァァ「分かった!」

とはいえこれだけは言っておかないと。

「そのかわり主人の尻に不埒な真似をしないこと!」
「不埒な真似…?」

「言ったでしょ。僕はされるんじゃなくて、したいんだから!」
「ああなんだ。その話しか」

な、なんだとはなんだ!もっとも大事な部分でしょうが!

「ふーん、まだ有効だったのか、それ」
「言っとくけど僕は信念を曲げない男だから」
「プッ」

…何が言いたい!

「それで?リオネルはその気にさせられたのか?」
「…」キュ

痛いところをつく…

「そっか分かった」
「何が?」
「ベル様が俺の背を超したら考えてやるよ」
「何!本当か!」
「本当本当。ベル様に嘘はつかないって」

うーん…
ジーンは小柄だったがアシルは細身でも上背はある。そして僕はまだ十七歳。つまり二十歳のディディエは打ち止めで、逆にアシルと似た僕にはまだまだ成長の余地が残されているってことだ。

「よし!男に二言はないな?」
「ないない」
「それならまあ…あ!いずれにせよ今日は最後までしちゃダメだからね!」

「ちぇ。じゃあどこまでならいいんだ?」
「えーと、…ここまで?」
「なんだよそれ、…じゃここは?」
「うーん…」

際どいな…

「なんだよ。あの時良さそうだったじゃないか」

良かったから躊躇ってるんでしょうが!

「少しだけだから」
「ううん…けどなぁ…」
「触るだけだから」
「……許す」
「やった!」

あああ…また甘やかしてしまった…
ぼくのバカバカバカ!



そしてその夜…

「ああぁぁん!最後までは駄目って言ったのにぃー!」

いくらディディエでも許さないからね!



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