177 / 310
122 断罪の懐古 ②
しおりを挟む
ひとりでできるかどうかは置いといて、これぞ神の啓示!まさしく神託!
僕とシェイナには答えを見つけたというなんとも不思議な確信があった。
救世主は何事もなく執務に戻る。双子生誕一周年記念パーティーの準備があるからだ。
「シェイナ…、エンブリー初代の奥さんが、もしもどこか高貴な令嬢の侍女とかだったりしたら…」
ー献身的な女性なら主人を追いかけて来たかもしれないね。それなら修道生活に悲壮感が無いのもうなずけるし恋人が出来て還俗したのも理解できるー
「もし、もしもだよ?そのご令嬢がだんざ…」
ーノン!主人からの手紙はない?探して!ー
「けどさっきそれっぽいのは無かったよ?」
修道院に訳アリで貴族の子女が送られる場合、その扱いは軟禁生活となる。質素な服に質素な食事。押し込められる部屋は…まぁ色々だが、たいていは薄暗い明かり取りの窓しか無いような部屋か、酷いところだと半地下だったりする。
投獄されるよりはマシだけど、それでも修道院の敷地から出ることは許されないし、外部との接触、つまり面会や手紙のやり取りなんかも制限されていたりする。
つまり断罪令嬢の手紙も必ず検閲されたはずだ!簡単に手紙なんて…
んん?待てよ…
「シェイナ。修道院のご友人からは何通も手紙が届いているよね?」
ーうんー
「エンブリーが紙を無駄にしないよう大切にしていたように、修道院だって紙は貴重だったはずだよね?」
ーそうだろうね。当時なら相当高価なものだったと思うー
「いくら修道院が修練の場だとして、私的な手紙にホイホイ紙が使えたかな?切手だって必要だし」
ー何が言いたいの?ー
「修道院に入れられる貴族はお金の力でそこそこ待遇をあげてもらうことできるよね?それって断罪令嬢は…」
ー本来財は持ち込めない。だけど実際は多くの修道院で多少の賄賂はまかり通っている。そうでなければ修道院側もわざわざ面倒を引き受けないよー
…倫理観の薄いこの世界観の修道院ならありがちなこと…か。どこも運営はカツカツだ。
「じゃあ紙を与えたのは断罪令嬢、もとい主人だ」
ーそうか!友人からの手紙を集めて!ー
集めた手紙をシェイナはじっと見ている。何が見えるんだろう…?
ーこの友人からの手紙。これこそが多分主人からの手紙だよ。修道女にお金を握らせて代筆させたんだー
「差出人を誤魔化すために?」
ー多分ー
検閲をかいくぐるためにお。念には念を。余程の事をしたんだろうけど…
けど、そうと分かれば手紙の見方が変わってくる。あれも…これも…何通か残っている楽し気な文面には違う側面があるのかもしれない。きっと友人同士の他愛無い文通に見えるよう、敢えて楽し気に書かれているのだろう。
そして分かった事は、初代夫人の還俗と結婚を後押ししたっぽいのは主人だということ。
『あなたは馬鹿ね。私は前から思ってたわ。こんな田舎にどうして来ちゃったの?って』
『今度こそあなたはあなたの幸せを掴むべきだわ』
『ジョスはあなたに似合いの善良な人よ。どれほど貧しくとも他人のために全てを投げうつ。二人はそっくりね』
そこから読めるのは主人が彼女を巻き込んだことに後悔していて、彼女を解放したいと望んでいたこと。
それからジョスと呼ばれる男は定住地を持たない自由民で、頻繁に修道院へ出入りしていたということ。文面的にボランティア的な…?
そっか…。ジェロームのあの性格は、全部祖先から受け継がれてきたものだったんだな…ホワホワ…
頭の中で展開されるハーレクインロマンス。
主人の為に自ら出家してついて来た優しい侍女。そこで出会ったボランティアの青年。二人は恋に落ち、彼女は主人の後押しもあって還俗し青年と夫婦になった。
彼らは東部の山合いに住み始めたんだろう。そして発見される溶岩石。それで妻は縁を切っていた生家に敢えて手紙を出した。この手柄を王様に知らせて欲しいと、愛する夫のために。
大きな功績。当時の王様はすぐに褒賞として叙爵と配領を決めた。そこに割り込むブラトワとフレッチャーの遠縁。
「初代の奥さんは生家と縁を切ってたのかな?」
ー貴族の志願修道女はそれなりに敬われる。それが還俗して平民の男に嫁ぐなんて…当主はきっと許さないー
平民の…田舎の…それも多分貧しい男…スリーアウトか。
ーだけど何故叙爵を見過ごしたかは分かった。妻の生家が口をきいた以上、一旦与えられた叙爵まで取り上げては社交界で余計な憶測を生むー
「叙爵させたことで夫人の生家に対する体裁は整えたってことだね」
ーそう。夫人と初代は与えられた土地が貧しいからと言って文句を言う人たちではなさそうだしー
「悪しき企みで配領された土地が違っていても、誰一人気づかなかったってことか…」
ーそうして歴史に埋もれていったんだよー
これがエンブリーとブラトワに流れ続けた因縁!ってことは…
「夫人の生家ってどこなんだろう?今も健在かな?」
ーどうかな?手紙の類は無かったから分からないなー
「あ、待って。エンブリーの紋章、二羽のカラスはどうしてカラスになったんだろう?黒髪だから?」
ーノンは馬鹿だね、王都にいる王がどうしてジョスの髪色を知っているの?ー
1歳児にバカ呼ばわりされるシャノン・プリチャード、もうすぐ17歳…
ー…だけど黒い羽の紋章を持つ一代貴族が過去にあったと思う。それが生家かな?ノン、探してみてー
「おーやシェイナ君、賢い君が覚えていないとは…」
ー消えた一代貴族のことまで全ては覚えていない!いいから探して!ー
カチンときたらしい。これは暗に現存なら全部覚えているという意味だ。このプライド高さこそオリジナルシャノン。
それにしても、探して!と言われたところで時間はすでに夕刻、一日中閉じこもっていた僕たちは夕食の時間だ。
ヘロヘロになりながらライブラリを出てさらにホールを抜けダイニングに向かおうとすると、おや?僕のアンテナが何かに反応を示している。
このかぐわしい香りはもしや…
「ああっ!やっぱりジェローム!い、いらしてたんですか!やだ!言ってくれたら良かったのに!」
一日中ライブラリに居て埃っぽくないかな?汗臭くないかな?ああ!シャワー浴びたかった!
「たった今到着したばかりです。今日はプリチャード侯と共に証言の打ち合わせをしていたので閣下がお誘いくださったのですよ」
お父様グッジョブ!え?これはご褒美?勤労の報酬なの?!シェイナやったね!小さな指で親指を立てるシェイナ。何故そんなポーズを知ってるかって?…教えたのは僕だ。
僕とシェイナには答えを見つけたというなんとも不思議な確信があった。
救世主は何事もなく執務に戻る。双子生誕一周年記念パーティーの準備があるからだ。
「シェイナ…、エンブリー初代の奥さんが、もしもどこか高貴な令嬢の侍女とかだったりしたら…」
ー献身的な女性なら主人を追いかけて来たかもしれないね。それなら修道生活に悲壮感が無いのもうなずけるし恋人が出来て還俗したのも理解できるー
「もし、もしもだよ?そのご令嬢がだんざ…」
ーノン!主人からの手紙はない?探して!ー
「けどさっきそれっぽいのは無かったよ?」
修道院に訳アリで貴族の子女が送られる場合、その扱いは軟禁生活となる。質素な服に質素な食事。押し込められる部屋は…まぁ色々だが、たいていは薄暗い明かり取りの窓しか無いような部屋か、酷いところだと半地下だったりする。
投獄されるよりはマシだけど、それでも修道院の敷地から出ることは許されないし、外部との接触、つまり面会や手紙のやり取りなんかも制限されていたりする。
つまり断罪令嬢の手紙も必ず検閲されたはずだ!簡単に手紙なんて…
んん?待てよ…
「シェイナ。修道院のご友人からは何通も手紙が届いているよね?」
ーうんー
「エンブリーが紙を無駄にしないよう大切にしていたように、修道院だって紙は貴重だったはずだよね?」
ーそうだろうね。当時なら相当高価なものだったと思うー
「いくら修道院が修練の場だとして、私的な手紙にホイホイ紙が使えたかな?切手だって必要だし」
ー何が言いたいの?ー
「修道院に入れられる貴族はお金の力でそこそこ待遇をあげてもらうことできるよね?それって断罪令嬢は…」
ー本来財は持ち込めない。だけど実際は多くの修道院で多少の賄賂はまかり通っている。そうでなければ修道院側もわざわざ面倒を引き受けないよー
…倫理観の薄いこの世界観の修道院ならありがちなこと…か。どこも運営はカツカツだ。
「じゃあ紙を与えたのは断罪令嬢、もとい主人だ」
ーそうか!友人からの手紙を集めて!ー
集めた手紙をシェイナはじっと見ている。何が見えるんだろう…?
ーこの友人からの手紙。これこそが多分主人からの手紙だよ。修道女にお金を握らせて代筆させたんだー
「差出人を誤魔化すために?」
ー多分ー
検閲をかいくぐるためにお。念には念を。余程の事をしたんだろうけど…
けど、そうと分かれば手紙の見方が変わってくる。あれも…これも…何通か残っている楽し気な文面には違う側面があるのかもしれない。きっと友人同士の他愛無い文通に見えるよう、敢えて楽し気に書かれているのだろう。
そして分かった事は、初代夫人の還俗と結婚を後押ししたっぽいのは主人だということ。
『あなたは馬鹿ね。私は前から思ってたわ。こんな田舎にどうして来ちゃったの?って』
『今度こそあなたはあなたの幸せを掴むべきだわ』
『ジョスはあなたに似合いの善良な人よ。どれほど貧しくとも他人のために全てを投げうつ。二人はそっくりね』
そこから読めるのは主人が彼女を巻き込んだことに後悔していて、彼女を解放したいと望んでいたこと。
それからジョスと呼ばれる男は定住地を持たない自由民で、頻繁に修道院へ出入りしていたということ。文面的にボランティア的な…?
そっか…。ジェロームのあの性格は、全部祖先から受け継がれてきたものだったんだな…ホワホワ…
頭の中で展開されるハーレクインロマンス。
主人の為に自ら出家してついて来た優しい侍女。そこで出会ったボランティアの青年。二人は恋に落ち、彼女は主人の後押しもあって還俗し青年と夫婦になった。
彼らは東部の山合いに住み始めたんだろう。そして発見される溶岩石。それで妻は縁を切っていた生家に敢えて手紙を出した。この手柄を王様に知らせて欲しいと、愛する夫のために。
大きな功績。当時の王様はすぐに褒賞として叙爵と配領を決めた。そこに割り込むブラトワとフレッチャーの遠縁。
「初代の奥さんは生家と縁を切ってたのかな?」
ー貴族の志願修道女はそれなりに敬われる。それが還俗して平民の男に嫁ぐなんて…当主はきっと許さないー
平民の…田舎の…それも多分貧しい男…スリーアウトか。
ーだけど何故叙爵を見過ごしたかは分かった。妻の生家が口をきいた以上、一旦与えられた叙爵まで取り上げては社交界で余計な憶測を生むー
「叙爵させたことで夫人の生家に対する体裁は整えたってことだね」
ーそう。夫人と初代は与えられた土地が貧しいからと言って文句を言う人たちではなさそうだしー
「悪しき企みで配領された土地が違っていても、誰一人気づかなかったってことか…」
ーそうして歴史に埋もれていったんだよー
これがエンブリーとブラトワに流れ続けた因縁!ってことは…
「夫人の生家ってどこなんだろう?今も健在かな?」
ーどうかな?手紙の類は無かったから分からないなー
「あ、待って。エンブリーの紋章、二羽のカラスはどうしてカラスになったんだろう?黒髪だから?」
ーノンは馬鹿だね、王都にいる王がどうしてジョスの髪色を知っているの?ー
1歳児にバカ呼ばわりされるシャノン・プリチャード、もうすぐ17歳…
ー…だけど黒い羽の紋章を持つ一代貴族が過去にあったと思う。それが生家かな?ノン、探してみてー
「おーやシェイナ君、賢い君が覚えていないとは…」
ー消えた一代貴族のことまで全ては覚えていない!いいから探して!ー
カチンときたらしい。これは暗に現存なら全部覚えているという意味だ。このプライド高さこそオリジナルシャノン。
それにしても、探して!と言われたところで時間はすでに夕刻、一日中閉じこもっていた僕たちは夕食の時間だ。
ヘロヘロになりながらライブラリを出てさらにホールを抜けダイニングに向かおうとすると、おや?僕のアンテナが何かに反応を示している。
このかぐわしい香りはもしや…
「ああっ!やっぱりジェローム!い、いらしてたんですか!やだ!言ってくれたら良かったのに!」
一日中ライブラリに居て埃っぽくないかな?汗臭くないかな?ああ!シャワー浴びたかった!
「たった今到着したばかりです。今日はプリチャード侯と共に証言の打ち合わせをしていたので閣下がお誘いくださったのですよ」
お父様グッジョブ!え?これはご褒美?勤労の報酬なの?!シェイナやったね!小さな指で親指を立てるシェイナ。何故そんなポーズを知ってるかって?…教えたのは僕だ。
2,285
あなたにおすすめの小説
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
雫
ゆい
BL
涙が落ちる。
涙は彼に届くことはない。
彼を想うことは、これでやめよう。
何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。
僕は、その場から音を立てずに立ち去った。
僕はアシェル=オルスト。
侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。
彼には、他に愛する人がいた。
世界観は、【夜空と暁と】と同じです。
アルサス達がでます。
【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。
2025.4.28 ムーンライトノベルに投稿しました。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
姉の代わりに舞踏会に行ったら呪われた第三王子の初恋を奪ってしまった
近井とお
BL
幼少期、ユーリは姉によく似ていることから彼女の代わりに社交の場に出席することが多々あった。ある舞踏会の夜、中庭に姿を眩ませたユーリに誰かがぶつかってくる。その正体は呪われていると噂の第三王子であったが、ぶつかられたことに腹を立てたユーリは強気に接し、ダンスを踊った後、彼を捜している気配を感じてからかいながら立ち去る。
それから数年後、第三王子は初恋の令嬢を探し始めたが、それはユーリに違いなく……。
初恋の相手を捜す第三王子×軽口令息
嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する
SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる