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183 断罪後のエンド
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苦悩に歪む端正な顔。ああ…こんな時までイケメンだなんて…罪な男だよジェロームは。
「…こんな感情のままあなたの想いに応えていいものかどうか、それはとても軽率なのではないか…私は事情を知って以来それを悩み続けています…」
…なるほどそういうことか。例えて言うなら元カレに未練を残したまま目の前の今カレ候補者に告られてオッケーしていいかどうか、っていう話だな。確かにそれは悩ましい…
「ジェロームがそこまでハッキリお話くださったので僕も率直にお話ししますね」
「ええもちろん。シャノン様、あなたのお心をぜひお聞かせください」
僕はあの春の夜ジェロームに言われたことを全然分かってなかった。
ポンコツな自分にガッカリされたらどうしようって…僕はそればかりに焦ってジェロームが伝えようとした、一番大事な部分に気が付かなかった。
もちろん僕がジェロームにがっかりする何てこと、どんな姿を見たって…絶対絶対、ぜーったいに無い!断言する!
だけどあの日…溺れかけた僕の走馬灯には優しく微笑むジェロームしか浮かばなくって…、僕はジェロームの内面をちっとも見ていなかったんだな、ってやっと気付いた。
…理想が服を着たような姿に一目で舞い上がってウキウキとつれまわして…ちょっと、いや、かなり反省、大反省…
それでもジェロームは僕の大好きな人。それはホントだ。今だって…見てるだけでドキドキするし。けどジェロームの前で被ったネコが脱げないって時点で、何か違うんだろうって…何となく分かる。
「僕はジェロームが大好きです。でも…ジェロームが言った「幻想だけを見てたらダメ」っていう意味はやっとわかりました。ジェロームは大人だから…、子供の僕が憧れだけで暴走してるって心配してたんですね…」
「シャノン様、私はあなたの言葉が本当に嬉しかった。まるで奇跡のようで。だからこそ私は」
「ううん、付け込まない紳士なジェロームがやっぱり大好きです」
さすが僕のこの鍛え抜いたこの腐眼力で好きになっただけのことはある。
だってこちとら天下のプリチャード侯爵家ご子息、『神託』シャノン様だよ?とことん誠実。さすがエンブリーの血統。脱帽だ…
僕は覚えてる。ジェロームはあの夜、「耐え忍び気高く気丈なあなたを支えたかった」と言った。つまりジェロームの心に居いるのは昔のシャノン、シェイナのことだ。
…ジェロームにそれを言わせちゃダメだ…。ジェロームからはそれを言えないだろうし、言ったとしたら自分を責める。
……うんよし。大丈夫。鋼のメンタルが僕のチャームポイントだ、切り替えて行こう!
「そんなジェロームを見込んでお願いがあります!」
「お願い…ですか?」
貯水槽事件の後、シェイナから事情を聞いて僕はうっすら考えていた。
ジェロームがシェイナの秘密を知ったのなら…
これでもう隠し事は無し。それなら直球こそが僕のあるべき姿だって!
「僕の、えー、恋心の是非は一旦置いといて…、それでも僕はジェロームを他の誰かに渡したくない」
「シャノン様…」
「けど頑固なお父様はジェロームのお見合いを諦めない」
「私は…、後継の為だけに誰かを娶ろうなどとは考えません。両親も祖父母も愛し合う夫婦でしたので」
かー!このセリフ、どっかの王家に聞かせてやりたいよ!
「なら…シェイナの成長を待ってあげてくれませんか。シェイナにもワンチャンください。お願いします」ペコリ
「ノーン!!!dfghjkl!!!」
「何を仰いますか!」
え…?ここまで平常心を失ったシェイナを初めて見た気がする。真っ赤な顔でズカズカと頭から煙を出してこっちに向かってくるが…あ、イタ。イタイってばシェイナ。
「ジェロームがまだよちよち歩きのシェイナにそういう感情抱けないのは当然です。っていうか抱いたら怖い。でもあと十数年もしたらシェイナは花もほころぶ美少女になります。どうでしょう」
「馬鹿なことを!シェイナが十五になるころ私は四十の声を聞く。そんな年寄り相手ではシェイナが可哀想ではありませんか!」
そんなこと言ったら四十オーバーのお父様が年寄りみたいじゃないか。あんなに若若し…いいや、やめとこう。
僕は断固として主張した。お父様とニコールさんが双子に恵まれたのは二人揃って四十過ぎだ。だから後継問題には全然間に合うって。むしろピチピチのシェイナのほうがお産も安全といえる。
「そういうことではありません!若く美しいシェイナには若い貴公子がきっと群がります。なのに年の離れた私に嫁ぐなど…シェイナにはもっと相応しい人が現れるでしょうに!」
「でもシェイナは金平糖の君をずっと一途に想ってる!」
「それ、は…」
「シェイナはジェロームが惹かれた僕です!そうでしょ?違いますか?」
「何も違わない!私はあなたを想い続けてきた!初めて手紙を手にした時から…鮮明に思い出せるあの震える背中を温めたいと、今までそう想い続けてきた…。だがシェイナは…ああ…私はどうすれば…」
「ジェローム!どうかチャンスだけでも!十年!九年、いやせめて八年待って!」
「で、ですがそもそもプリチャード侯がなんと仰るか…」
揺れた!い、イケるか?
「だからこそ約束通り僕と結婚してください。僕が鉄壁のディフェンスになりますから」
「アレイスター殿下はどうされるのです…」
「…以前も気にしていましたね。…アレイスターは恋愛も結婚も自由気ままって訳にはいかないんですよ」
「なにか事情がおありになるのですね…」
「ア…アレイスターはこの際関係ないでしょ!お父様には僕から話します。だから…、あーもう!シェイナも何とか言って!ここまできてまだ黙ってるの?せっかく生まれ変わったのにまた後悔するつもり?」
「ノン…」
「おにいちゃん本気で怒るよ!僕がここに居る意味を無駄にしないの!」
「 ‼ 」
そうだよ。僕はリカバリーディスク。シャノンに選ばれ、シャノンの生きる世界を正統派BLゲーに戻すための修正ワクチン。
断罪イベントを終えたシャノンは三つのうちのどれかのルートに進むわけで…だけどこれがシェイナのノベルゲーなら…そのシャノンは僕じゃなくシェイナだ。
「シェイナ!自分のエンドは自分で選ぶんだよ!」
僕の大声に意を決して顔をあげるシェイナ。口を開こうとして…その滑舌を思い出してウィジャ盤を持つ。
ージェリー、僕の宝石。暗闇で見つけた金平糖ー
「シェイナ…」
ー何年たってもきっと僕の心は揺るがないー
「そんなことは…」
ーあなたが好き。ジェローム、あなただけが僕の光…ー
言った…。ついにシェイナが心を見せた。剥き出しの心を…
どんな辛い時もどんな悲しい時も、全ての感情を押し隠してきたシェイナが…心を…伝えた。
ーだからお願い。大きくなるまで待って。あの時の僕をほんの少しでも好きでいてくれたなら…ー
「ああシェイナ、ほんの少しどころか私はあの背中を忘れたことは無かったよ」
「ジェリー…」
目を瞑り天井を向いたまま逡巡するジェローム。でもその目を開いた時、彼はいつものように微笑んでいた。
「…いいでしょう。いずれシェイナも歳の近い貴公子に心を奪われる日がきっと来る。それを待つくらい…どうということもない」
こ、この潔さ…!
でもジェローム読みが甘いな。シェイナはお父様より頑固だよ。
「ありがとう…それからごめんなさい。無茶言って」
「それは私の方です。あなたの好意を無下にするなど…」
「ううんジェローム、何ひとつ無下になんかされてません。だって僕とシェイナはいつでも二人で一人だから」
「シャノン様…やはりあなたは素晴らしいお方だ」
あーあ、やっぱりいい男だな…。大好きジェローム。…僕の黒髪。
「…こんな感情のままあなたの想いに応えていいものかどうか、それはとても軽率なのではないか…私は事情を知って以来それを悩み続けています…」
…なるほどそういうことか。例えて言うなら元カレに未練を残したまま目の前の今カレ候補者に告られてオッケーしていいかどうか、っていう話だな。確かにそれは悩ましい…
「ジェロームがそこまでハッキリお話くださったので僕も率直にお話ししますね」
「ええもちろん。シャノン様、あなたのお心をぜひお聞かせください」
僕はあの春の夜ジェロームに言われたことを全然分かってなかった。
ポンコツな自分にガッカリされたらどうしようって…僕はそればかりに焦ってジェロームが伝えようとした、一番大事な部分に気が付かなかった。
もちろん僕がジェロームにがっかりする何てこと、どんな姿を見たって…絶対絶対、ぜーったいに無い!断言する!
だけどあの日…溺れかけた僕の走馬灯には優しく微笑むジェロームしか浮かばなくって…、僕はジェロームの内面をちっとも見ていなかったんだな、ってやっと気付いた。
…理想が服を着たような姿に一目で舞い上がってウキウキとつれまわして…ちょっと、いや、かなり反省、大反省…
それでもジェロームは僕の大好きな人。それはホントだ。今だって…見てるだけでドキドキするし。けどジェロームの前で被ったネコが脱げないって時点で、何か違うんだろうって…何となく分かる。
「僕はジェロームが大好きです。でも…ジェロームが言った「幻想だけを見てたらダメ」っていう意味はやっとわかりました。ジェロームは大人だから…、子供の僕が憧れだけで暴走してるって心配してたんですね…」
「シャノン様、私はあなたの言葉が本当に嬉しかった。まるで奇跡のようで。だからこそ私は」
「ううん、付け込まない紳士なジェロームがやっぱり大好きです」
さすが僕のこの鍛え抜いたこの腐眼力で好きになっただけのことはある。
だってこちとら天下のプリチャード侯爵家ご子息、『神託』シャノン様だよ?とことん誠実。さすがエンブリーの血統。脱帽だ…
僕は覚えてる。ジェロームはあの夜、「耐え忍び気高く気丈なあなたを支えたかった」と言った。つまりジェロームの心に居いるのは昔のシャノン、シェイナのことだ。
…ジェロームにそれを言わせちゃダメだ…。ジェロームからはそれを言えないだろうし、言ったとしたら自分を責める。
……うんよし。大丈夫。鋼のメンタルが僕のチャームポイントだ、切り替えて行こう!
「そんなジェロームを見込んでお願いがあります!」
「お願い…ですか?」
貯水槽事件の後、シェイナから事情を聞いて僕はうっすら考えていた。
ジェロームがシェイナの秘密を知ったのなら…
これでもう隠し事は無し。それなら直球こそが僕のあるべき姿だって!
「僕の、えー、恋心の是非は一旦置いといて…、それでも僕はジェロームを他の誰かに渡したくない」
「シャノン様…」
「けど頑固なお父様はジェロームのお見合いを諦めない」
「私は…、後継の為だけに誰かを娶ろうなどとは考えません。両親も祖父母も愛し合う夫婦でしたので」
かー!このセリフ、どっかの王家に聞かせてやりたいよ!
「なら…シェイナの成長を待ってあげてくれませんか。シェイナにもワンチャンください。お願いします」ペコリ
「ノーン!!!dfghjkl!!!」
「何を仰いますか!」
え…?ここまで平常心を失ったシェイナを初めて見た気がする。真っ赤な顔でズカズカと頭から煙を出してこっちに向かってくるが…あ、イタ。イタイってばシェイナ。
「ジェロームがまだよちよち歩きのシェイナにそういう感情抱けないのは当然です。っていうか抱いたら怖い。でもあと十数年もしたらシェイナは花もほころぶ美少女になります。どうでしょう」
「馬鹿なことを!シェイナが十五になるころ私は四十の声を聞く。そんな年寄り相手ではシェイナが可哀想ではありませんか!」
そんなこと言ったら四十オーバーのお父様が年寄りみたいじゃないか。あんなに若若し…いいや、やめとこう。
僕は断固として主張した。お父様とニコールさんが双子に恵まれたのは二人揃って四十過ぎだ。だから後継問題には全然間に合うって。むしろピチピチのシェイナのほうがお産も安全といえる。
「そういうことではありません!若く美しいシェイナには若い貴公子がきっと群がります。なのに年の離れた私に嫁ぐなど…シェイナにはもっと相応しい人が現れるでしょうに!」
「でもシェイナは金平糖の君をずっと一途に想ってる!」
「それ、は…」
「シェイナはジェロームが惹かれた僕です!そうでしょ?違いますか?」
「何も違わない!私はあなたを想い続けてきた!初めて手紙を手にした時から…鮮明に思い出せるあの震える背中を温めたいと、今までそう想い続けてきた…。だがシェイナは…ああ…私はどうすれば…」
「ジェローム!どうかチャンスだけでも!十年!九年、いやせめて八年待って!」
「で、ですがそもそもプリチャード侯がなんと仰るか…」
揺れた!い、イケるか?
「だからこそ約束通り僕と結婚してください。僕が鉄壁のディフェンスになりますから」
「アレイスター殿下はどうされるのです…」
「…以前も気にしていましたね。…アレイスターは恋愛も結婚も自由気ままって訳にはいかないんですよ」
「なにか事情がおありになるのですね…」
「ア…アレイスターはこの際関係ないでしょ!お父様には僕から話します。だから…、あーもう!シェイナも何とか言って!ここまできてまだ黙ってるの?せっかく生まれ変わったのにまた後悔するつもり?」
「ノン…」
「おにいちゃん本気で怒るよ!僕がここに居る意味を無駄にしないの!」
「 ‼ 」
そうだよ。僕はリカバリーディスク。シャノンに選ばれ、シャノンの生きる世界を正統派BLゲーに戻すための修正ワクチン。
断罪イベントを終えたシャノンは三つのうちのどれかのルートに進むわけで…だけどこれがシェイナのノベルゲーなら…そのシャノンは僕じゃなくシェイナだ。
「シェイナ!自分のエンドは自分で選ぶんだよ!」
僕の大声に意を決して顔をあげるシェイナ。口を開こうとして…その滑舌を思い出してウィジャ盤を持つ。
ージェリー、僕の宝石。暗闇で見つけた金平糖ー
「シェイナ…」
ー何年たってもきっと僕の心は揺るがないー
「そんなことは…」
ーあなたが好き。ジェローム、あなただけが僕の光…ー
言った…。ついにシェイナが心を見せた。剥き出しの心を…
どんな辛い時もどんな悲しい時も、全ての感情を押し隠してきたシェイナが…心を…伝えた。
ーだからお願い。大きくなるまで待って。あの時の僕をほんの少しでも好きでいてくれたなら…ー
「ああシェイナ、ほんの少しどころか私はあの背中を忘れたことは無かったよ」
「ジェリー…」
目を瞑り天井を向いたまま逡巡するジェローム。でもその目を開いた時、彼はいつものように微笑んでいた。
「…いいでしょう。いずれシェイナも歳の近い貴公子に心を奪われる日がきっと来る。それを待つくらい…どうということもない」
こ、この潔さ…!
でもジェローム読みが甘いな。シェイナはお父様より頑固だよ。
「ありがとう…それからごめんなさい。無茶言って」
「それは私の方です。あなたの好意を無下にするなど…」
「ううんジェローム、何ひとつ無下になんかされてません。だって僕とシェイナはいつでも二人で一人だから」
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