コスプレ令息 王子を養う

kozzy

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驚きの出会い ②

目の前にいるアマーディオは、口の中を調べたり僕が締め上げた胴部を調べたり、一通りの診察を終えるとそのまま特別室でくつろぎ始めた。

ここは病室…と言ってもいわゆる王族専用VIP室。応接セットの付いたスイート仕様だ。
そして診察を終えたドクターが退室するとVIP室に残る病院関係者は院長と看護師長、そして僕の三人のみ。

「ああ君、名前は何と言ったかな?」
「エヴァです」

「その君という人を体現したかのような真白のワンピース…、君はここの看護師なのだね」

「そのとおりです殿下。彼女は当院の看護師でございます」

前のめりな院長は満面の笑みでそう答えた。よしっ!大事なことは二度言われたからこれでもう大丈夫だろう。

「エヴァか。私もそう呼ばせてもらっても構わないだろうか?」
「え?ええまあ…」

いきなり馴れ馴れしいな…。けど一国の王子にそう言われて断れるだろうか?答えはノーだ。

「良ければ君もそこにかけてくれたまえ」
「…いえ。僕は仕事中なので」
「真面目なのだね。良い心がけだ」

看護師長の視線が突き刺さりそうに痛い…。王族の命令だし…って気はするが、上司からの第一印象は今後を左右する。自重自重っと。

「エヴァ、実に見事な手際だった。君は優秀なナースなのだね。看護師長の教えが良いのだろう」

「ええそれはもう。期待の新人ですわ。彼女を選んだわたくしの目に狂いはありません」
「流石はこの王立病院で長年師長を努めるだけの事はある」
「まあ殿下、それほどでもございませんわ。ホホホ」

ご機嫌で微笑む看護師長…。これが手のひら返しか…

「君は毎日ここに居るのかい?」

え?ええと、そこまで話が進んでなくってね…

チラ「取り合えず週四、午前十時から午後三時まで。それ以上は応相談ですけど」

これでどうだ!
無言でうなずく院長。交渉成立!

「…ふむ、どうだろう院長。私はしばらく通院が必要だとは思わないか?」
「そうでございますね。様子見という意味で当分の通院をお勧めします」

んん?んー、まあ窒息しかけたんだし様子見は必要?つか、二コラの治療院行けばいいのに…

「院長、日程は後ほど連絡を」
「畏まりました」

「エヴァ、もう一度脈をとってくれないか?」
「脈…さっきドクターがとってませんでした?」
「乱れているのではないかと思ってね」

念には念をってこと?意外と繊細だな…

トクトクトク「正常です」
「ふふ、小さな手だね。可愛らしい」

……もしかして僕は今セクハラを受けているんだろうか?まあ?ナースを前にした男などこんなものか。恐るべしナースコスの威力。

「エヴァ」
「はい」
「今日は穀物庫へ視察の途中でね。残念ながらもう行かねば」
「あ、はい」
「だがまた会おう。ここで」チュ

げっ!手の甲にキスだと?何すんの!

ゴシゴシ「お待ちしています」

あー、そう言えばアマーディオってこんなキャラだったわー。
そつが無くて容姿端麗、女子と受け男に優しい王子様で、プリンス属性が振り切りすぎて若干チャラいに寄った感じ。
そのアマーディオにさえ敬遠されてたって、イヴァーノお前…


それはさておき、王子殿下アマーディオが去った病院は平静を取り戻した。
僕は改めて雇用条件を確認し、明日から出勤ということでとりあえずその日は病院を後にすることにした。

ガヤガヤ
「ねえ君、どうか診察室まで付き添ってもらえないかな。脚が痛くてね」
「いやそれよりほどけかけた私の包帯を巻きなおしてもらえないか」
ガヤガヤ

「ごめんんさーい。僕今日はもう退勤で…師長!師長!患者さんがお呼びですよー!」
「「そ、そんな…!」」

「また今度ね、ごめんね☆」バチコン

バタバタバタ

残念でした。これでも群がるカメ子をあしらうのには慣れているのだよ。




さて、帰宅する前に僕にはもう1ヵ所寄るところがある。それは…

拘置所である。
僕の考える二重生活。それを成功させるには外部の協力者が不可欠なのである。

え?フラヴィオじゃダメなのかって?
フラヴィオはどうもこう…頼りないし、何より僕がキュートな女の子になっている以上、不用意にフラヴィオと関係を疑われたらそれこそ不貞行為と思われる。

なので外部の、それも独身の協力者が必要なのだよ。

人間関係の破綻したイヴァーノと違って、幸い僕には友人がいる。
そう、拘置所の衛兵二人だ。

あの二人は連続夜勤も厭わない「気楽なシングル」と聞いているし、何より彼らからは「何かあったら何でも頼れ」と言質をとっている。…少し違ったかも知れないが、大枠で言ったら似たような事を言われている。
なのでその言葉にどっぷり甘えさせてもらうつもりだ。


今日の彼らは内勤である。
通常勤務中に衛兵を呼ぼ出すのは駄目らしいのだが…厳つい顔した受付の衛兵はキュートな笑顔とウインクひとつですぐさま彼らを呼びに走った。ふっ、カワイイは正義だ。

「ヤッホー!セルジオ、フランコ!今日もお仕事ご苦労様。元気だった?」

「すっごいかわいこちゃんが訪ねて来てるって聞いたが…マジか…」
「俺たちどこかで会ったかな?こんな美人忘れるわけないんだが…」

ヨシヨシ。四十八時間を共にした盟友どもが気付かないならこのコスは完璧ということだな。うんうん。

「バーカ!僕だよ、イヴァーノだってば!」
「ウソだろ!」
「おい!どうなってんだよ!」

目を白黒させる二人。僕は後ろで様子をうかがう同僚たちに聞こえないよう、声のボリュームを下げそのまま話を続けた。

「いいからすこし時間無い?込み入った話があるんだけど」
「お、おう…。あと少しで業務終わりだからそこで待ってろ」
「フラフラするなよ!いいな!ここは危険がいっぱいだからな!」

拘置所に危険がいっぱい…悪人がいっぱい拘留されてるってことでオケ?


三十分も待っただろうか?制服を脱いでやって来た二人と拘置所を後にしようとしたのだが…群がる男どもで入り口が塞がれてしまってはどうしようもない。

「ねね、君ナースだよね?どこの病院に勤めてるの?」
「…王立病院ですけど…」
「可愛いね~。名前は?名前は何て言うの?」
「…エヴァ…」
「あいつらとどういう関係?良かったら今度俺とお茶しない?」
「……」

男ってやつはどうしてこう…

「退けお前ら!」
「行こう!」

自分で言うのも何だが…可愛くし過ぎてしまったらしい…
この様子を見るに、そこいらのカフェでは同じ状況が予想される。そこで僕は彼らの家にお邪魔することにした。


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