コスプレ令息 王子を養う

kozzy

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とある兄妹の会話

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「カタリーナ、衣装部屋で何をしているんだい?」

「お兄様…、エヴァに頼まれ、いえ、なんでもないわ。それよりお兄様にお礼を言わなくては」

「エヴァの事だね?」
「そうよ。彼女を寄越してくださって感謝するわ」
「魅力的な娘だろう?」

「ええ。とても不思議な雰囲気を纏った娘ね。この大国サルディーナの姫であるわたくしを前にして萎縮することなく、かといって媚びることも顔色を伺うこともない。彼女はとても自然体で、そして思いやりに満ち…、まるでこの愛と自由の国サルディーニャを体現しているようだわ」

「随分気に入ったものだね」

「ええ。わたくしたちすっかりお友達になりましたの。彼女には月に一度〝心の診療”カウンセリング に来てもらうつもりですわ」

「それはいい!ならばその際は私も同席しよう」

「まあお兄様!女性の歓談に割って入るなど失礼なこと!でもそうね…ニコラなどという胡散臭げな治癒師にのぼせあがっているよりは幾分マシかしら?」

「おや?ではエヴァならば応援してくれると、君はそう言うのかい?」

「馬鹿ねお兄様。わたくし応援も反対しませんわ。愉快な喜劇を観て愉しむだけです。だってエヴァは恐らくお兄様より一枚も二枚も上手ですもの」

「言うねカタリーナ。私はこれでも皆が憧れるこの国の王太子だよ」

「ではその手に持った物は何かしら」

「エヴァに渡すショコラータだ」
「オホホホホ!お兄様健気ね」

「これだけ尽くしても彼女は私の誘いに応じてはくれないのだ。一度レストランテで食事を、と何度も誘っているのだが…」
「アハハハハ!お兄様無様ね」

「エヴァは「僕は皆の心を照らす白衣の天使」なのだと…そう言うのだよ。抜け駆けすれば私の身が危ないと…」
「でしょうね。彼女は本物よ。わたくしのもとにですら噂が届くほどですもの。ところでお兄様、わたくしを部屋から連れ出したエヴァへの報酬は何かしら?そのショコラータとは別なのでしょう?どんな大それたお願いを彼女は申し出たのかしら…」

「ああ。それが予想外のお願いでね」
「というと?」

「彼女の従兄、衛兵のフランコを私の催す勉強会に一度招待してほしいと」
「それはどういうことかしら?」

「従兄は庶民と言っても学院の卒業生で見識のある男だとか。従兄の生家は庶民街で一番の腕を誇る鍛冶工房だ。彼は生家の品を貴族街に広めたいと考えているらしい。そこでエヴァはなんとか力になりたいと、そう言うのだよ」

「まあ…従兄想いなのね」

「招待だけで特に口添えは必要ないと言うのでね、それならば、と承諾したのだが…私の勉強会に集うのはこの国でも最高峰の貴公子たちだ。だが従兄はそもそも貴族との社交に不慣れ、そこで貴族層の友人を二人同伴させたいと頼まれてね」

「無理もないわ」

「一人は衛兵仲間で同居の男爵子息。だがその彼も高位貴族には不慣れだ。そこでもう一人、伯爵位を持つ温和な友人を同伴したいらしい。どう思う?」

「…良いのじゃないかしら?…あ…いいえ!とても良い考えだわ!お兄様!エヴァの従兄とそのご友人がお見えになったら会わせてくださいましね!わたくしとても興味があるの!ぜひお会いしたいわ!」

「カタリーナ、君は本当にエヴァが気に入ったのだね。エヴァの従兄を優遇でもしてやるつもりかい?いいだろう。当日時間を設けるとしよう」

「嬉しい!大好きよお兄様!…ところで次の勉強会はいつのご予定?」
「エヴァから指定があってね。来月第二週の週末だ」
「あら、その日はパンクラツィオの催すキツネ狩りの日では無くて?」

「ああ。だがエヴァがどうしてもその日が良いと言って張ってね。キツネ狩りに人を取られてしまうからパンクラツィオを筆頭に参加の数は減るが良いかと聞いたのだが、「野蛮な人が来ないならむしろ大歓迎です」だと。エヴァは狩りが嫌いらしい」

「わたくしも好きではありませんわ。キツネを追い回して何が楽しいのか…殿方の趣味は分かりかねます…」

「ではこの話はここまでにしよう。私はもう行くよ」


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「ふふ、伯爵位を持つエヴァの従兄の友人…楽しみね。ふふ、エヴァったら「イヴァーノ様は面会を辞退したいそうです」だなんて。でもこれで…ふふふ、とても楽しみだわ。エヴァはどんな顔をするかしら?うふふふふ」







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