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二人は怒声を浴びる
王城内の敷地を専用の一回り小さな馬車で移動していく私たち。
整えられた林を抜け、その先に広がる小さな丘を越えると見えてきたのは豪奢な屋敷。王城の敷地内ということもあり警備は手薄なようだが、恐らく手薄に見えるだけなのだろう。
「珍しいなアマーディオ。なんだ、ビアジョッティ伯も一緒であられたか」
「悪いねいきなり。今少しいいかい?」
「かまわないが…フラヴィオ殿、旅行はいかがであった。あのイヴァーノのことだ。振り回されたのではないか?」
「いやそんなことは…」
無い、と果たして言えるだろうか?
…フラメンコなる躍りを生み出し牛に追われ…、腐敗貴族たちをトマトに沈めたかと思えばファブリチオ派をぐうの音も出ぬほどやり込めたイヴ…
私の人生を左右するあの出来事を除いても実り多き旅ではあったが、心休まる旅とはとても言い難い…
「言わずとも答えはわかった。全く貴殿は人の良い…」
「いや違うのだよ。彼は」
「パンクラツィオ、そんなことより部屋へ通してくれないか」
「ああすまない。ではこちらへ」
気丈なイヴと自尊心の高いパンクラツィオ殿…、言い争えばどちらも決して退かぬに違いない。私はこの旅でようやく彼らに何があったか、かなり正確な理解に至っていた。
それはさておき、さて…どこから説明したものか…
「パンクラツィオ…大切な話があるのだよ。実はだね…」
アマーディオ殿下の助け舟。彼は理路整然と説明を進めていく。
勉強会での交流を経て分ってはいたが、改めて感じる。彼は実に優秀な王太子だ。何事にもそつがなく、イヴの言葉にも納得の〝完璧王子”
殿下の口から語られる私の素性。パンクラツィオ殿は一瞬驚きを表しながらも高位貴族らしくすぐさま表情を戻す。
彼といい殿下といい、今や属国となったアスタリアの第三王子、それも側妃筋では敬意を示しこそすれ、己の優位は微塵も動かぬのだろう。
「そうであられたのかフラヴィオ殿下。いや、これまで通りビアジョッティ伯で構わぬのだな?」
「ええ勿論。そのためにこうしてこの国へ戻って参ったのですから」
「イヴァーノとは婚姻関係を続けるつもりか」
「私たちはすでに愛し合っておりますから」
「物好きなことだ。アレがおらねば妹を紹介してやったものを」
「パンクラツィオ!イヴァーノに非が無いとは言わないが君も大概一言多い!」
それだから二人は相容れぬのだろう。今更だが…
「ふん、事情は分かった。では私がアスタリアへ出向くと決まった際はさぞ驚いたであろう?」
「ふふ、それはもう飛び上がらんばかりに」
あの奇跡のようなエヴァの手腕は今思い返しても感嘆のため息しか出ない。
「もしやあの寄木細工の手紙入れは…」
「いえ。エヴァがあれを持ちこんだのは私も知らぬ全くの偶然でした。ですが…実は内部の手紙、あれだけは私によるものです」
ここで遂に種明かしだ。
どうにかして渡せぬものかと持ち歩いていた王宮、王家別邸の内部見取り図。それを偶然エヴァがあのタラセアを手に現れた時、そこに収められた意味をなさぬ古地図と急遽入れ替えたことを。
「そうだったのか…」
「出過ぎた真似とは思いましたが少しでもお力にたてれば…と」
それが功を奏しあの隠し通路は今も彼らには知られぬままだ。
「正直役にたった。特に別邸。あの見取り図あればこそ第二王子の裏をかけたようなものだ」
「パンクラツィオ!重ね重ね君は…」
「すまない…」
「いえ、かまいません。覚悟の上でお渡ししたのですから」
これは異母兄の命を差し出すも同然の行為。私の心情をおもんばかった殿下がパンクラツィオ殿をお嗜めになる。
「フラヴィオ殿、第二王子と話したいか」
重罪人の監視もタランティーノ公爵家の管轄。彼が父である公爵に一言いえばそれは容易いのだろう。だが…
「いえ。お気遣いくださいますな」
私の気持ちはあの日あの紙飛行機に乗せ既にカッシオへと届いたのだ。私たちの間にそれ以上何が必要だろう。
それにこの問いはパンクラツィオ公爵令息から私への、サルディーニャに対する恭順を測る試金石に思える。
「そうか」
「ですが一つだけ」
「なんだ」
私は小さな願望を口にした。牢から刑場へ運ばれるその馬車を見送りたいのだと…
カッシオはサルディーニャの王子ではない。彼が踏みにじったのはアスタリアでありこの国ではない。
彼は〝内乱へ関与”した事実を避け、形ばかり〝王族へ剣を向けた罪”で裁くためにこの国へと連れて来られたにすぎない。
そのため彼は市中を引き回されること無く、わずかばかりの敬意を払い人知れず刑場へと運ばれる。
「近くでとは申しません。長兄の最期には立ち会うことは出来ませんでしたのでせめて次兄だけでも…と。同じ血を持つ物としてけじめと思っております」
「道中でよいのか」
「むしろそのほうが」
「いいだろう」
「話はそれだけだ。忙しい所を悪かったね。もう行くよパンクラツィオ」
「お、お待ちを!最後にその、一つだけ…」
「まだなにか?」
「実はイヴから手紙を預かっておりまして…」
「なんだと!」
「なんだって!」
「寄こせ!」
「早く読め!」
「ふざけたことを!」
「何と書いてある!」
私の素性を知っても高貴な顔を崩さなかった二人が何故これ程までに…。イヴ、この国上位二人の貴公子から冷静さを奪い去るとは、彼の見えざる力は驚嘆に値する。
ワナワナワナ…グシャ!「クッ、ハーッハッハッハッ!面白い!受けてたってやる!」
部屋中に響き渡る公爵令息の声、これは開戦の合図だ。
「勝負は半年後!用意するのは性別年代問わず五十着!会場は王宮の大舞踏ホール!」
「パンクラツィオ、何を勝手に…」
「審査員は公平にタランティーノ派から十名、コレッティ派から十名、そして公明正大を良しとするアマーディオの選んだ十名!」
「何の話だ!」
「あとは貴族位、ミドルアッパーから選ばれた招待客七十名の合計百名!タランティーノ公爵家の名誉にかけ裏工作はさせぬ!ビアジョッティ伯、イヴァーノにそう伝えておけ!」
----------------------
さてさて、アスタリアチームに頼んだ美孤児の一団が到着するまで、選定一ヶ月、移動一ヶ月で多分二か月くらいだろう。
お針子の寮にはすでに人員増加の連絡済みだ。
「さあフランコ一家!張り切って行こー!」
「お前ふざけるな!うちの家族をなんだと思ってる!」
「フランコ!イヴァーノ様に何と言う口のきき方を!この馬鹿者が!」
「兄さん!我が家が〝王室認定鍛冶工房”の栄誉を頂けたのは誰のお陰だと思ってるんですか!」
「ぐっ!」
フフーン!それだけじゃない。
フランコ一家は僕がお願いして作ってもらったキッチン用品その他諸々により、売上を前年比十倍に伸ばし、弟子の数も増やし工房も拡大させている。
しかも、ちょっと僕が留守にしている間に彼らは大きな家を買ったらしいし、言ってみれば僕は恵比寿様、崇め称えひれ伏すが良い!
「お前…建て増すならいっそ引っ越せよ!伯爵家だろう!」
「ダメ!こんな良い立地は他に無いし、何故かフラヴィオもこの家気に入ってるし、旅行で貯金減っちゃったし!」
そもそも〝広いホールが無い”。これは夜会を開かないいい口実になる。数人程度の小さな…ほんの小さなお茶会なら、いずれ開いてやってもいい。口だけだけど。
「大体当主夫人が率先して金槌持つな!何考えてるんだ!」
「だから危険なのこぎりは譲ったでしょーが!」
それに現在僕が〝ひとつなぎ”の初期大工キャラに扮しているのはここだけの秘密だ。彼が仲間に加わらなかった事実を…僕は当時受け止めれきれなかった…こっちにしとけば良かったのに…
「いいからさっさと屋根降りろ!バカかお前は!」
「はぁ!? 」
不敬罪で捕まえてやろうか!衛兵仲間にしょっ引かれろ!
整えられた林を抜け、その先に広がる小さな丘を越えると見えてきたのは豪奢な屋敷。王城の敷地内ということもあり警備は手薄なようだが、恐らく手薄に見えるだけなのだろう。
「珍しいなアマーディオ。なんだ、ビアジョッティ伯も一緒であられたか」
「悪いねいきなり。今少しいいかい?」
「かまわないが…フラヴィオ殿、旅行はいかがであった。あのイヴァーノのことだ。振り回されたのではないか?」
「いやそんなことは…」
無い、と果たして言えるだろうか?
…フラメンコなる躍りを生み出し牛に追われ…、腐敗貴族たちをトマトに沈めたかと思えばファブリチオ派をぐうの音も出ぬほどやり込めたイヴ…
私の人生を左右するあの出来事を除いても実り多き旅ではあったが、心休まる旅とはとても言い難い…
「言わずとも答えはわかった。全く貴殿は人の良い…」
「いや違うのだよ。彼は」
「パンクラツィオ、そんなことより部屋へ通してくれないか」
「ああすまない。ではこちらへ」
気丈なイヴと自尊心の高いパンクラツィオ殿…、言い争えばどちらも決して退かぬに違いない。私はこの旅でようやく彼らに何があったか、かなり正確な理解に至っていた。
それはさておき、さて…どこから説明したものか…
「パンクラツィオ…大切な話があるのだよ。実はだね…」
アマーディオ殿下の助け舟。彼は理路整然と説明を進めていく。
勉強会での交流を経て分ってはいたが、改めて感じる。彼は実に優秀な王太子だ。何事にもそつがなく、イヴの言葉にも納得の〝完璧王子”
殿下の口から語られる私の素性。パンクラツィオ殿は一瞬驚きを表しながらも高位貴族らしくすぐさま表情を戻す。
彼といい殿下といい、今や属国となったアスタリアの第三王子、それも側妃筋では敬意を示しこそすれ、己の優位は微塵も動かぬのだろう。
「そうであられたのかフラヴィオ殿下。いや、これまで通りビアジョッティ伯で構わぬのだな?」
「ええ勿論。そのためにこうしてこの国へ戻って参ったのですから」
「イヴァーノとは婚姻関係を続けるつもりか」
「私たちはすでに愛し合っておりますから」
「物好きなことだ。アレがおらねば妹を紹介してやったものを」
「パンクラツィオ!イヴァーノに非が無いとは言わないが君も大概一言多い!」
それだから二人は相容れぬのだろう。今更だが…
「ふん、事情は分かった。では私がアスタリアへ出向くと決まった際はさぞ驚いたであろう?」
「ふふ、それはもう飛び上がらんばかりに」
あの奇跡のようなエヴァの手腕は今思い返しても感嘆のため息しか出ない。
「もしやあの寄木細工の手紙入れは…」
「いえ。エヴァがあれを持ちこんだのは私も知らぬ全くの偶然でした。ですが…実は内部の手紙、あれだけは私によるものです」
ここで遂に種明かしだ。
どうにかして渡せぬものかと持ち歩いていた王宮、王家別邸の内部見取り図。それを偶然エヴァがあのタラセアを手に現れた時、そこに収められた意味をなさぬ古地図と急遽入れ替えたことを。
「そうだったのか…」
「出過ぎた真似とは思いましたが少しでもお力にたてれば…と」
それが功を奏しあの隠し通路は今も彼らには知られぬままだ。
「正直役にたった。特に別邸。あの見取り図あればこそ第二王子の裏をかけたようなものだ」
「パンクラツィオ!重ね重ね君は…」
「すまない…」
「いえ、かまいません。覚悟の上でお渡ししたのですから」
これは異母兄の命を差し出すも同然の行為。私の心情をおもんばかった殿下がパンクラツィオ殿をお嗜めになる。
「フラヴィオ殿、第二王子と話したいか」
重罪人の監視もタランティーノ公爵家の管轄。彼が父である公爵に一言いえばそれは容易いのだろう。だが…
「いえ。お気遣いくださいますな」
私の気持ちはあの日あの紙飛行機に乗せ既にカッシオへと届いたのだ。私たちの間にそれ以上何が必要だろう。
それにこの問いはパンクラツィオ公爵令息から私への、サルディーニャに対する恭順を測る試金石に思える。
「そうか」
「ですが一つだけ」
「なんだ」
私は小さな願望を口にした。牢から刑場へ運ばれるその馬車を見送りたいのだと…
カッシオはサルディーニャの王子ではない。彼が踏みにじったのはアスタリアでありこの国ではない。
彼は〝内乱へ関与”した事実を避け、形ばかり〝王族へ剣を向けた罪”で裁くためにこの国へと連れて来られたにすぎない。
そのため彼は市中を引き回されること無く、わずかばかりの敬意を払い人知れず刑場へと運ばれる。
「近くでとは申しません。長兄の最期には立ち会うことは出来ませんでしたのでせめて次兄だけでも…と。同じ血を持つ物としてけじめと思っております」
「道中でよいのか」
「むしろそのほうが」
「いいだろう」
「話はそれだけだ。忙しい所を悪かったね。もう行くよパンクラツィオ」
「お、お待ちを!最後にその、一つだけ…」
「まだなにか?」
「実はイヴから手紙を預かっておりまして…」
「なんだと!」
「なんだって!」
「寄こせ!」
「早く読め!」
「ふざけたことを!」
「何と書いてある!」
私の素性を知っても高貴な顔を崩さなかった二人が何故これ程までに…。イヴ、この国上位二人の貴公子から冷静さを奪い去るとは、彼の見えざる力は驚嘆に値する。
ワナワナワナ…グシャ!「クッ、ハーッハッハッハッ!面白い!受けてたってやる!」
部屋中に響き渡る公爵令息の声、これは開戦の合図だ。
「勝負は半年後!用意するのは性別年代問わず五十着!会場は王宮の大舞踏ホール!」
「パンクラツィオ、何を勝手に…」
「審査員は公平にタランティーノ派から十名、コレッティ派から十名、そして公明正大を良しとするアマーディオの選んだ十名!」
「何の話だ!」
「あとは貴族位、ミドルアッパーから選ばれた招待客七十名の合計百名!タランティーノ公爵家の名誉にかけ裏工作はさせぬ!ビアジョッティ伯、イヴァーノにそう伝えておけ!」
----------------------
さてさて、アスタリアチームに頼んだ美孤児の一団が到着するまで、選定一ヶ月、移動一ヶ月で多分二か月くらいだろう。
お針子の寮にはすでに人員増加の連絡済みだ。
「さあフランコ一家!張り切って行こー!」
「お前ふざけるな!うちの家族をなんだと思ってる!」
「フランコ!イヴァーノ様に何と言う口のきき方を!この馬鹿者が!」
「兄さん!我が家が〝王室認定鍛冶工房”の栄誉を頂けたのは誰のお陰だと思ってるんですか!」
「ぐっ!」
フフーン!それだけじゃない。
フランコ一家は僕がお願いして作ってもらったキッチン用品その他諸々により、売上を前年比十倍に伸ばし、弟子の数も増やし工房も拡大させている。
しかも、ちょっと僕が留守にしている間に彼らは大きな家を買ったらしいし、言ってみれば僕は恵比寿様、崇め称えひれ伏すが良い!
「お前…建て増すならいっそ引っ越せよ!伯爵家だろう!」
「ダメ!こんな良い立地は他に無いし、何故かフラヴィオもこの家気に入ってるし、旅行で貯金減っちゃったし!」
そもそも〝広いホールが無い”。これは夜会を開かないいい口実になる。数人程度の小さな…ほんの小さなお茶会なら、いずれ開いてやってもいい。口だけだけど。
「大体当主夫人が率先して金槌持つな!何考えてるんだ!」
「だから危険なのこぎりは譲ったでしょーが!」
それに現在僕が〝ひとつなぎ”の初期大工キャラに扮しているのはここだけの秘密だ。彼が仲間に加わらなかった事実を…僕は当時受け止めれきれなかった…こっちにしとけば良かったのに…
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