オムニバス 〜恋愛短編集〜

さの茶丸

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後日談

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~もう師匠って呼ばないで~


「なん、なんでですか!?俺何かしちゃいました!?俺なんでもするんで嫌わないでください!俺、俺、師匠いなくなったら俺...」


否定の言葉が彼の口から呟かれるたびに周りの温度が上昇していく
闇の精霊との契約を解除し元々持っていた炎属性が精神不安から暴走し始めているようだ
ちなみにこんな状態でも私を慕う気持ちからか燃え始めた草木を横目に
私自身一切熱さを感じない

瞳からハイライトが消え
ルゥと呼ぶと虚ろな目を僅かにこちらに向けた


「そういう意味じゃなくて。もう2年も旅したら師弟っていうより仲間じゃない?
だから名前で呼んでって言いたかったの」


そう、別に鬱陶しいとかそういうんじゃない。ずっと一緒にいるのに、好きだ好きだと好意を示してくるのに彼は一向に名前で呼ぼうとせず師匠と呼んでくる
それが少し寂しいのだ



言葉の意味が分かったのか
炎の力が弱まっていくようで
彼の瞳にも光が射した
それどころか顔を真っ赤に染めワタワタと慌て始めていた

「え!?し、師匠を!?名前で...俺耐えられるかな...名前呼んだら愛し過ぎて押し倒して閉じ込めて...!!俺、名前呼ぶ時は師匠と結婚する時って決めてたんです!一回俺のもんだってなったら他の男の目に晒すとか絶対嫌なんで!!旅も終わっちゃうなって...でも師匠がそう言ってくれるなら一生俺の側に師匠がいるって言うのも有りかなって!それならマ「やっぱなし!師弟関係素敵!」...チッ」



名前を言われたら最後監禁ルートまっしぐらだったよ...
ってか最後舌打ちしたよね!?




~好きな人ができた~


「...師匠。俺師匠のことなんでも大好きです。でもふざけた事いう師匠は好きじゃないです。
好きな人ができた?誰ですか?俺は師匠の唯一の弟子ですから知る権利ありますよね?
一度会ってみたいなぁ。握手した時に手加減間違えて潰しちゃったらどうしよう気をつけますね。一体どこで師匠にであったんですか?師匠と目を合わせるだけでも殺したいくらいなのに師匠に好かれるなんてただ殺すだけじゃ納得できません、そうだ死なない程度に痛め付けないと。まずは指の先から...」


虚ろな瞳で口元だけ弧を描きながらノンブレスで言い続けるルゥ


「うそ!嘘だから!
私の周りに魅力的な人なんてルゥ以外にいないから!...あ」


「師匠...それって...!!」



沸点が低かろうが
従順そうに見えて腹黒だろうが
ヤンデレだろうが魔王だろうが
結局私はルーカスのことが好きなのだ



Fin.


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