俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~

風見 源一郎

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手続き

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「あの、これらの手続きにはどのくらいの時間がかかるんでしょうか?」

 商工会議所の担当者は少し考えてから答えた。

「早ければ一週間程度で済むこともありますが、通常は2~3週間はかかりますね。特に、あなたの場合は特殊な商品を扱うようですから、追加の審査が必要になるかもしれません」

 俺は愕然とした。そんなに長い時間がかかるのか。クラフトの時間に充てるのには長すぎる。

「何か、もっと早く始められる方法はないでしょうか?」

 担当者は同情的な目で俺を見た。

「無理ですね」
「無理か……」

 きっぱりだった。ほかの人は一時的な営業許可を取ることなら数日で始めることもできるそうだが、俺の場合は扱う素材がレア物だったりするので、不正販売競争防止の観点からギルド関係のところで審査が入るらしい。

「とりあえず手続きはしておきますね。こちらの書類に記入してください。それと、取り扱う商品のリストと、その商品の詳細な説明書も必要になります」

 俺は黙って頷き、書類に目を通し始めた。商品のリストと説明書……これは時間がかかりそうだ。クラフトスキルで作った武具の特殊能力を、どこまで詳しく書けばいいのだろうか。

 書類を埋めながら、俺は今後の予定を同時に考える。営業許可が降りるまでは、素材の確保のほうをどうするか考えよう。オーダーメイドで高額な物を売るのと、あくまでビギナー向けに徹して数を捌くのと、どっちのほうがより稼げて、そして何より、俺の性格に向いているのかを判断しなくてはならない。

「あっ。そうだ」

 担当者が唐突に声をあげる。丁寧な対応をする人ではあるが、どこか抜けてるところがあった。

「このあたりの物件とか、買ってもらえたら色々と省略できますよ」
「な、なぜ……?」
「特典です」

 担当者はニッコリと答えた。実に怪しい。

「まずなにより安い。借り入れなくても買えちゃうぐらい安い。物件斡旋所と直通です。しかも、商売にも使えるし審査期間も短縮されて、取り扱える商品の制限も緩和されますよ。税制面でも優遇。融資もいっぱい受けられます」
「して、その条件とは?」
「街の開発計画に参加していただきます」

そして、唐突に真顔になったりする。怖いって。

「あの、役所ですよね? ここ。営業してます?」
「国を上げての問題ですので」
「そりゃそうだろうけどさ……」

 しかし、どうなんだろう。こういうわけのわからないのに飛び込んでみるのも冒険なんじゃないのか。

「街の開発計画に参加するんですね。具体的にはどういったことをするんでしょうか?」

 担当者は嬉しそうに説明を続けた。

「主に三つあります。まず、定期的な会議への参加です。街の発展について意見を出し合います」
「めんどくさっ」
「代理を立てる人が多いですね」
「ほうほう」

 まあ、いいか。どうせもうダンジョンに潜っても刺激的な日々はやってこないんだ。俺はそもそも、これからどう生きるのかを考えなくてはならない。新しい生活として考えてみるのもありかもな。

「次に、事業を通じて街の活性化に貢献していただきます」
「具体的には?」
「ロアンさんの場合、事業計画書のどこかがそれに該当することを書いてもらえばいいですよ」
「なるほど」
「最後に、緊急時には街の防衛にも協力していただくことがあります」
「ぼ、ぼうえい……?」

 ロアンは眉をひそめた。

「防衛ですか?魔王は倒されたはずですが……」
「はいっ。なので、この条項は無視していただいて構いませんよ」
「ほう」

 まあ、これでも元はS級パーティで高難易度のダンジョンに潜ってたんだ。魔物の残党が攻めてくるようなことがあれば、いずれにせよ戦いに行くことになるだろう。物件を購入すれば手続きが簡略化され、すぐに商売を始められる。

「物件の場所を説明してもらえますか」
「もちろんです」
「できる限り安くて人通りもあるところを……」
「いえさすがにそんな場所となりますと……」

 俺は様々な候補を見せてもらい、とにかく土地優先で物件を探すことにした。
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