63 / 93
10・公爵の愛娘、悪徳養父を成敗する
養父の語る真実
「これから会うのって、そうだよね?」
「はい」
「よかったー!」
ロルティはほっとしたような声を出して喜んだが、父親の心中は穏やかではない。
幼子はジェナロが明らかに不機嫌になった理由に気づくことなく、再び獣とともに美しい歌声を奏でた。
「なぜロルティは、俺以外の人間を父と呼んでいる」
「司祭がそう呼ぶようにと、ロルティ様へ強制したのです。理由は、本人に聞くのがよろしいかと」
「そうだな」
大人達の会話を気にする様子もない幼子はカイブルが足を止めたのをきっかけに、やっと最深部に到着したのだと気づく。
すっかりテンションの上がっているロルティは、今なら自身を虐げた恐ろしい養父と顔を合わせて危害を加えられたとしても、必死に抵抗できるくらいにやる気に満ち溢れていた。
「ロルティ様。無理はしないでください」
「大丈夫! おとうしゃまとカイブルが一緒なら、わたしはへっちゃらだよ!」
「では、参りましょう」
カイブルは勢いよく地下室へ繋がる扉を開く。
そして――。
「ようこそ、地獄へ」
主を長年いたぶっていた諸悪の根源と、顔を合わせることになった。
「俺のロルティを、自分の娘のように扱ったそうだな」
「挨拶もせずにいきなり本題に入るとは……。貴族の風上にも置けないですぞ」
「一体なんの権限があって、俺の娘に父と呼ばせていたんだと聞いている!」
「ひゃ……っ」
幼いながらにこうなることはある程度予測していたが、まさかここまでジェナロが怒り狂うなど思いもしなかったのだろう。
ロルティは父親の怒鳴り声を耳にしてビクリと身体を揺らすと、両耳を塞いで怯えた。
「実の娘を大切にしている割には、怖がらせることになんの罪悪感も感じぬとは……。やはりあなたは、彼女の父親失格です」
「ロルティの父は、俺だけだ! 貴様にそう名乗る資格はない……!」
「話にならぬ。ロルティだって、私が父であった方がよい暮らしを出来たはずだ。そうだな?」
ロルティは耳を塞いでいるため、司祭の問いかけに答えられるはずもないのだが――。
ガンウは自分の都合がいいように受け取ったらしく、満足そうに口元を緩めた。
「彼女もそう言っています」
「怯えているのが見えないのか!?」
「返事をしないと言うことは、そういうことです」
「自身の都合のいいように受け取る男が、俺の愛娘に幸せな暮らしをさせてやれるわけがない!」
「それこそ決めつけではありませぬか。あなたは愛する人の妊娠を知りもしなかったのでしょう? そんな男が今更聖女の父親として名乗り出てくるなど……。おかしいとは思わないのですか?」
「違う! 俺は妻と子を愛している! 彼女が俺の好意に気づいてさえいてくれたら、絶対にこんな未来は訪れなかった!」
「妻が居ながらメイドに手をつけた男の都合のいい妄想を聞くために、私は地下へ籠もっていたわけではないのですがねぇ……」
小さな手で耳を塞ぎきれなかったロルティには、司祭が口にした嫌味ったらしい言葉がよく聞こえてきた。
(おかあしゃまの話、してるの……?)
幼子の理解能力には限界がある。
大人のように、言われたままの言葉をそのまま飲み込むことは簡単ではないのだ。
だからこそ、幼子の頭の中はパンク寸前だった。
わけがわからなくなって、瞳にはじんわりと涙が浮かぶ。
「おお……! 我の義娘! 聖女ロルティよ! 大粒の涙を流して水溜りを作り、天界に繋がる聖門を開き給え!」
その様子を目にした司祭は、興奮を隠しきれない様子でロルティに向かって祈りを捧げた。
(そうだ……。おとうしゃんは、いつもこうだった……)
ロルティは唇を噛み締め、涙をぐっと堪える。
泣くことを、ガンウが望んでいると思い出したからだ。
『床の上に小さな水溜りができるくらい、涙を流すことこそが君の使命だ!』
ロルティは涙を流さなければならない理由を知らされていなかったが、思わぬ人物からそれが語られた。
「ロルティ様が涙を流せば、聖獣が生まれるからですよね」
「ええ。聖獣を山程生み出し支配下に置いて恐怖で支配すれば、私はこの国の新たな王となれる!」
「貴様は聖獣をなんだと思っているんだ。私利私欲のために動く、便利な道具ではないんだぞ!?」
「この世に召喚した聖女を守るだけに生き続けるなど、もったいない。私は有効活用してやりたいだけですよ」
愛娘の特別な力を自身の欲望を満たすためだけに使おうとする司祭に怒りをいだいた父親が怒鳴りつければ、ガンウは肩を竦めて吐き捨てる。
「聖女が涙を流さなければ聖獣を召喚できぬなど、コスパが悪すぎますからねぇ……。初めて義娘が生み出したウサギを用いてさまざまな実験をしたのですが、すべて失敗してしまいまして……」
「うさぎしゃん……?」
「わふ! わふん!」
ロルティは頭の中で、パズルのピースがカチンと音を立てて嵌ったような気がした。
「はい」
「よかったー!」
ロルティはほっとしたような声を出して喜んだが、父親の心中は穏やかではない。
幼子はジェナロが明らかに不機嫌になった理由に気づくことなく、再び獣とともに美しい歌声を奏でた。
「なぜロルティは、俺以外の人間を父と呼んでいる」
「司祭がそう呼ぶようにと、ロルティ様へ強制したのです。理由は、本人に聞くのがよろしいかと」
「そうだな」
大人達の会話を気にする様子もない幼子はカイブルが足を止めたのをきっかけに、やっと最深部に到着したのだと気づく。
すっかりテンションの上がっているロルティは、今なら自身を虐げた恐ろしい養父と顔を合わせて危害を加えられたとしても、必死に抵抗できるくらいにやる気に満ち溢れていた。
「ロルティ様。無理はしないでください」
「大丈夫! おとうしゃまとカイブルが一緒なら、わたしはへっちゃらだよ!」
「では、参りましょう」
カイブルは勢いよく地下室へ繋がる扉を開く。
そして――。
「ようこそ、地獄へ」
主を長年いたぶっていた諸悪の根源と、顔を合わせることになった。
「俺のロルティを、自分の娘のように扱ったそうだな」
「挨拶もせずにいきなり本題に入るとは……。貴族の風上にも置けないですぞ」
「一体なんの権限があって、俺の娘に父と呼ばせていたんだと聞いている!」
「ひゃ……っ」
幼いながらにこうなることはある程度予測していたが、まさかここまでジェナロが怒り狂うなど思いもしなかったのだろう。
ロルティは父親の怒鳴り声を耳にしてビクリと身体を揺らすと、両耳を塞いで怯えた。
「実の娘を大切にしている割には、怖がらせることになんの罪悪感も感じぬとは……。やはりあなたは、彼女の父親失格です」
「ロルティの父は、俺だけだ! 貴様にそう名乗る資格はない……!」
「話にならぬ。ロルティだって、私が父であった方がよい暮らしを出来たはずだ。そうだな?」
ロルティは耳を塞いでいるため、司祭の問いかけに答えられるはずもないのだが――。
ガンウは自分の都合がいいように受け取ったらしく、満足そうに口元を緩めた。
「彼女もそう言っています」
「怯えているのが見えないのか!?」
「返事をしないと言うことは、そういうことです」
「自身の都合のいいように受け取る男が、俺の愛娘に幸せな暮らしをさせてやれるわけがない!」
「それこそ決めつけではありませぬか。あなたは愛する人の妊娠を知りもしなかったのでしょう? そんな男が今更聖女の父親として名乗り出てくるなど……。おかしいとは思わないのですか?」
「違う! 俺は妻と子を愛している! 彼女が俺の好意に気づいてさえいてくれたら、絶対にこんな未来は訪れなかった!」
「妻が居ながらメイドに手をつけた男の都合のいい妄想を聞くために、私は地下へ籠もっていたわけではないのですがねぇ……」
小さな手で耳を塞ぎきれなかったロルティには、司祭が口にした嫌味ったらしい言葉がよく聞こえてきた。
(おかあしゃまの話、してるの……?)
幼子の理解能力には限界がある。
大人のように、言われたままの言葉をそのまま飲み込むことは簡単ではないのだ。
だからこそ、幼子の頭の中はパンク寸前だった。
わけがわからなくなって、瞳にはじんわりと涙が浮かぶ。
「おお……! 我の義娘! 聖女ロルティよ! 大粒の涙を流して水溜りを作り、天界に繋がる聖門を開き給え!」
その様子を目にした司祭は、興奮を隠しきれない様子でロルティに向かって祈りを捧げた。
(そうだ……。おとうしゃんは、いつもこうだった……)
ロルティは唇を噛み締め、涙をぐっと堪える。
泣くことを、ガンウが望んでいると思い出したからだ。
『床の上に小さな水溜りができるくらい、涙を流すことこそが君の使命だ!』
ロルティは涙を流さなければならない理由を知らされていなかったが、思わぬ人物からそれが語られた。
「ロルティ様が涙を流せば、聖獣が生まれるからですよね」
「ええ。聖獣を山程生み出し支配下に置いて恐怖で支配すれば、私はこの国の新たな王となれる!」
「貴様は聖獣をなんだと思っているんだ。私利私欲のために動く、便利な道具ではないんだぞ!?」
「この世に召喚した聖女を守るだけに生き続けるなど、もったいない。私は有効活用してやりたいだけですよ」
愛娘の特別な力を自身の欲望を満たすためだけに使おうとする司祭に怒りをいだいた父親が怒鳴りつければ、ガンウは肩を竦めて吐き捨てる。
「聖女が涙を流さなければ聖獣を召喚できぬなど、コスパが悪すぎますからねぇ……。初めて義娘が生み出したウサギを用いてさまざまな実験をしたのですが、すべて失敗してしまいまして……」
「うさぎしゃん……?」
「わふ! わふん!」
ロルティは頭の中で、パズルのピースがカチンと音を立てて嵌ったような気がした。
あなたにおすすめの小説
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!
山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。
「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」
周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。
アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。
ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
【完結】帳簿令嬢の答え合わせ ~その不正、すべて帳簿が覚えています~
Lihito
ファンタジー
公爵令嬢アイリスは、身に覚えのない罪で婚約破棄され、辺境へ追放された。
だが彼女には秘密がある。
前世は経理OL。そして今世では、物や土地の「価値」が数字で見える能力を持っていた。
公爵家の帳簿を一手に管理していたのは、実は彼女。
追い出した側は、それを知らない。
「三ヶ月で破産すると思うけど……まあ、私には関係ないわね」
荒れ果てた辺境領。誰も気づかなかった資源。無口な護衛騎士。
アイリスは数字を武器に、この土地を立て直すことを決意する。
——追い出したこと、後悔させてあげる。
※毎日18時更新
※表紙画像はAIにて作成しています
※ 旧題:婚約破棄された令嬢ですが、帳簿があれば辺境でも無双できます
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
追放された悪役令嬢、規格外魔力でもふもふ聖獣を手懐け隣国の王子に溺愛される
黒崎隼人
ファンタジー
「ようやく、この息苦しい生活から解放される!」
無実の罪で婚約破棄され、国外追放を言い渡された公爵令嬢エレオノーラ。しかし彼女は、悲しむどころか心の中で歓喜の声をあげていた。完璧な淑女の仮面の下に隠していたのは、国一番と謳われた祖母譲りの規格外な魔力。追放先の「魔の森」で力を解放した彼女の周りには、伝説の聖獣グリフォンをはじめ、可愛いもふもふ達が次々と集まってきて……!?
自由気ままなスローライフを満喫する元悪役令嬢と、彼女のありのままの姿に惹かれた「氷の王子」。二人の出会いが、やがて二つの国の運命を大きく動かすことになる。
窮屈な世界から解き放たれた少女が、本当の自分と最高の幸せを見つける、溺愛と逆転の異世界ファンタジー、ここに開幕!
一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
大きなスタンビートが来るため、領民全てを引き連れ避難する事になった。
しかし、着替えを手伝っていたメイドが別のメイドに駆り出された後、光を避けるためにクローゼットの奥に行き、朝早く起こされ、まだまだ眠かった僕はそのまま寝てしまった。用事を済ませたメイドが部屋に戻ってきた時、目に付く場所に僕が居なかったので先に行ったと思い、開けっ放しだったクローゼットを閉めて、メイドも急いで外へ向かった。
全員が揃ったと思った一行はそのまま領地を後にした。
クローゼットの中に幼い子供が一人、取り残されている事を知らないまま
無能令嬢、『雑役係』として辺境送りされたけど、世界樹の加護を受けて規格外に成長する
タマ マコト
ファンタジー
名門エルフォルト家の長女クレアは、生まれつきの“虚弱体質”と誤解され、家族から無能扱いされ続けてきた。
社交界デビュー目前、突然「役立たず」と決めつけられ、王都で雑役係として働く名目で辺境へ追放される。
孤独と諦めを抱えたまま向かった辺境の村フィルナで、クレアは自分の体調がなぜか安定し、壊れた道具や荒れた土地が彼女の手に触れるだけで少しずつ息を吹き返す“奇妙な変化”に気づく。
そしてある夜、瘴気に満ちた森の奥から呼び寄せられるように、一人で足を踏み入れた彼女は、朽ちた“世界樹の分枝”と出会い、自分が世界樹の血を引く“末裔”であることを知る——。
追放されたはずの少女が、世界を動かす存在へ覚醒する始まりの物語。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――