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魔界<人間の村>
仕立屋をあとにして
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皇女様は優しい心の持ち主だから、そんなことは思いもしねぇんだろうけどさ。ババアが辛い目にあったと知って、孤独が少しでも薄れればいいと思う。
皇女様、同性の友達なんざいなかったからな。随分と歳上なのは気がかりだが、いないよりはマシだろ。俺はババアの意志など関係なく、勝手に皇女様の友人として扱おうと決めた。
「はい、採寸終わり。クソガキも、チャチャッと測っちまおう」
「ハレルヤ、おまたせ!もう、目を開けていいよ!」
皇女様が首元に両腕を絡ませ、椅子に座って目を閉じていた俺の膝上に腰をおろす。恐る恐る目を開けば、ベビードールを着用している皇女様と目があった。
変態と罵られることは、避けられたみたいだな……。
「こら、皇女。クソガキに纏わりついてたら、うまく測れないじゃないか」
「お姉さん!私もお手伝いするー!」
「はいよ。じゃあ、端っこ持ちな」
「はーい!あ、そうだ!お姉さん、キサネでいいよ!」
「気が向いたら呼んでやる」
「ええー。今すぐがいいのに……」
皇女様は持ち前の明るさを使えば、誰とでも仲良くなれる。ある意味で天才だ。
その才能が、なんで命を狙う輩には通用しなかったのかが不思議で堪らねぇんだよなぁ。皇女様七不思議の一つだ。
「ハレルヤ、お疲れ様~!」
俺はババアと皇女様によって、洋服の寸法を測るために好き勝手身体を弄られた俺はどっと疲れて椅子に寄りかかる。
ドサクサに紛れて胸板をペタペタと手で直接触れられたときは、どうしてやろうかと思った。ババアに感謝だな。
いなかったら今頃、理性が弾け飛んでやべぇことになってる。
「皇女様は元気だな」
「ハレルヤ、連れてきてくれてありがとう!私、お姉さんに会えてよかった!」
「そいつはドレスを手にしてから、いっとくれ」
「あっ。そう、だよね……ごめんなさい」
「謝る必要はないよ。あんたらは、あたいのローブと仮面に驚かないんだね」
「訳ありなんだろ」
「お姉さんは声がハスキーで心地いいから、警戒する必要なんてないよ!」
声がハスキーで聞き心地のいいからって、不審者の格好に疑問を抱かない……わけじゃねぇよなぁ。
ちょっとズレてる皇女様のかわいらしい答えを聞いて、ババアは声を上げて笑った。
「あはは!あんた、本当に面白い子だね。気に入ったよ。クソガキ!2週間後に、金と魔力で錬成した材料を用意しな。追加で作ってやる」
「ほんと?やったー!お姉さん、大好き!」
服の仕立てにやる気を出してくれたのは願ってもねぇ話だけど、皇女様から大好きって叫ばれて嬉しそうにしてんのはムカつくんだよなぁ。
俺は空返事を返すと、皇女様を抱き上げた。
「おい、クソガキ。あたいの妹を泣かせたら、容赦しないよ」
「てめぇの妹じゃねぇし……」
ババアが皇女様を妹だって称するなら、皇女様は俺の花嫁だぞ。
ゆくゆくは旦那になるんだから、血の繋がってねぇ自称姉妹よりもよっぽど絆は深いに決まってる。
はっ。俺の勝ちだな?
「お姉さん、お洋服ありがとう!2週間後に、またお願いね?」
「あいよ。クソガキになんかされたら、すぐあたいの所まで逃げてくるんだよ!」
「はーい!」
こら、皇女様。クソババアに返答を返すんじゃねーよ。
俺はそそくさと皇女様を抱き上げ、仕立屋をあとにした。
皇女様、同性の友達なんざいなかったからな。随分と歳上なのは気がかりだが、いないよりはマシだろ。俺はババアの意志など関係なく、勝手に皇女様の友人として扱おうと決めた。
「はい、採寸終わり。クソガキも、チャチャッと測っちまおう」
「ハレルヤ、おまたせ!もう、目を開けていいよ!」
皇女様が首元に両腕を絡ませ、椅子に座って目を閉じていた俺の膝上に腰をおろす。恐る恐る目を開けば、ベビードールを着用している皇女様と目があった。
変態と罵られることは、避けられたみたいだな……。
「こら、皇女。クソガキに纏わりついてたら、うまく測れないじゃないか」
「お姉さん!私もお手伝いするー!」
「はいよ。じゃあ、端っこ持ちな」
「はーい!あ、そうだ!お姉さん、キサネでいいよ!」
「気が向いたら呼んでやる」
「ええー。今すぐがいいのに……」
皇女様は持ち前の明るさを使えば、誰とでも仲良くなれる。ある意味で天才だ。
その才能が、なんで命を狙う輩には通用しなかったのかが不思議で堪らねぇんだよなぁ。皇女様七不思議の一つだ。
「ハレルヤ、お疲れ様~!」
俺はババアと皇女様によって、洋服の寸法を測るために好き勝手身体を弄られた俺はどっと疲れて椅子に寄りかかる。
ドサクサに紛れて胸板をペタペタと手で直接触れられたときは、どうしてやろうかと思った。ババアに感謝だな。
いなかったら今頃、理性が弾け飛んでやべぇことになってる。
「皇女様は元気だな」
「ハレルヤ、連れてきてくれてありがとう!私、お姉さんに会えてよかった!」
「そいつはドレスを手にしてから、いっとくれ」
「あっ。そう、だよね……ごめんなさい」
「謝る必要はないよ。あんたらは、あたいのローブと仮面に驚かないんだね」
「訳ありなんだろ」
「お姉さんは声がハスキーで心地いいから、警戒する必要なんてないよ!」
声がハスキーで聞き心地のいいからって、不審者の格好に疑問を抱かない……わけじゃねぇよなぁ。
ちょっとズレてる皇女様のかわいらしい答えを聞いて、ババアは声を上げて笑った。
「あはは!あんた、本当に面白い子だね。気に入ったよ。クソガキ!2週間後に、金と魔力で錬成した材料を用意しな。追加で作ってやる」
「ほんと?やったー!お姉さん、大好き!」
服の仕立てにやる気を出してくれたのは願ってもねぇ話だけど、皇女様から大好きって叫ばれて嬉しそうにしてんのはムカつくんだよなぁ。
俺は空返事を返すと、皇女様を抱き上げた。
「おい、クソガキ。あたいの妹を泣かせたら、容赦しないよ」
「てめぇの妹じゃねぇし……」
ババアが皇女様を妹だって称するなら、皇女様は俺の花嫁だぞ。
ゆくゆくは旦那になるんだから、血の繋がってねぇ自称姉妹よりもよっぽど絆は深いに決まってる。
はっ。俺の勝ちだな?
「お姉さん、お洋服ありがとう!2週間後に、またお願いね?」
「あいよ。クソガキになんかされたら、すぐあたいの所まで逃げてくるんだよ!」
「はーい!」
こら、皇女様。クソババアに返答を返すんじゃねーよ。
俺はそそくさと皇女様を抱き上げ、仕立屋をあとにした。
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