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第4章『猫耳貴族を復興させる事にした』

特別ルールと黒ローブ

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「ニュクスへようこそ、生命遊戯リヘロゲームの参加希望者ですね」
「ではこちらの用紙に参加チームの人数と国での参加ならば国名をご記入してください」

コロッセオの中に入り受付へ向かうと淡々と受付嬢が進めていく
ユートが何か言う前に来た理由を言い当ててその為の手続きを行う…相当この仕事に慣れていなければ出来ない事なのだろう

「聞きたいんだが、既に無くなった国名を記入しても大丈夫か?」
ユートの質問に眉一つ動かさずに受付嬢は質問に答える

「はい、その国の王の血族の方がいれば可能です」
「ですが、それを行う場合は二つの特別なルールが課せられます」
一つ、その血族の者もゲームに参加する
二つ、参加する際の参加料の増加…その代わりに優勝した際の賞金も倍以上になる

「以上のルールが課せられますが…よろしいですか?」
このルールを課すのには理由は、既に無くなっているという事はその王は一度人生を失敗している者だからだ

その様な人間にゲームに参加する権利など普通ならばありはしないのだが…他の参加者よりも参加条件を重くする事で他の王族貴族との権利と均一にしているのだ

しかし、ただ参加条件を厳しくするだけでは流石に反感を買ってしまう為優勝した際のリターンを大きくしているのだ

「クロウディアに確認を取った方がいいな」
ユートはそう言ってコロッセオを出ようとした時

「因みに、参加する為にコロッセオに入場した後に参加手続きを済ませずに退場した場合は今ゲームに参加する事は不可能となりますがよろしいですか?」
「これは女王様が考案したルールです」
最後にユートが聞き返そうとした事を付け足した受付嬢に対してユートは苦笑いをする選択しかなくなった

「クロウディア殿はマトモに戦えるのでござるか?」
オウミは不安そうにユートに尋ねるが…
ユートもクロウディアの戦ってる所を見た事がない…

「…だが参加しない事には始まらないしな」
「祈るしか無いだろ…リーザスも戦えたんだ…いけるだろ」
ユートはクロウディアが戦える事を祈りながら用紙に記入をする

「はい、生命遊戯リヘロゲームへの参加の希望確認しました」
「それでは、参加料の金貨100枚…いえ、特別ルールにより増加しましたので…『金貨1000枚』をお願いします」
ユートはサイフの中身を確認するが…やはり足りなかった

さっき女を助けた為…圧倒的に足りなくなっていたのだ
それを察していたユートは先にすまないとアルカに謝っていたのだ


ユートが頭を抱えていると後ろから黒いローブの男が割って入り金貨1000枚を取り出して受付嬢に支払った

「はい、『金貨1000枚』確かに受け取りました」
「これで参加手続きを終了致します…これから生命遊戯リヘロゲームまでの二ヶ月の間、ニュクスの街をお楽しみください」
受付嬢はそう言ってユート達に深くお辞儀をする

「あぁ僕も参加するよ…参加料は100枚だったね」
黒いローブの男はそう言って用紙に記入した後に受付嬢に参加料を手渡す

「はい、金貨100枚確かに受け取りました」
「これで参加手続きを終了致します…これから生命遊戯リヘロゲームまでの二ヶ月の間、ニュクスの街をお楽しみください」
受付嬢は先程ユート達に行ったのと同様に深いお辞儀をする

「ちょっと待て、話がある」
黒いローブの男はそのままどこかへ行こうとしたのをユートは肩を掴んで静止する

「何だい?あぁお金の事なら別に返さなくても良いから」
黒いローブの男はそう言ってユートの手を外してコロッセオの外に出ていった
ユートはスグにあとを追いかけたが…既に男の姿はなかった

「ユート!…今の男の人は一体…」
アルカはユートの後に続いて外に出てユートに尋ねるが…当然ユートは正体がわからない為そう答えるしかなかった

「…あの男警戒しといた方が良いな」
実はユートは男の肩を掴んだ時は絶対に逃がさない様に少しだけ劣化を解除していた…それをいとも簡単に外したのだ

「それではクロウディア殿の馬車に一度戻るでござる」
オウミはそう言って馬車に向けて歩き出す
ユートはそんな姿を見て小さくため息をついてついて行った
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