7 / 38
最強は最強へと
五話 今更ながら確認
しおりを挟むギルドに来た。
昨日の査定が終わってるか確かめるためだ。
時間は指定されなかったからな。
朝一は早すぎただろうか。
まあ、まだだったらまだだったで暇つぶしの宛てはある。
ミーナを見つけたのでそこへ行く。
「査定は終わってるか?」
「すいません。今のペースで行くと昼頃には終わると思うんですけど」
こいつも結構砕けた言葉遣いになって来たな。
まあ俺は最初からそうだし敬語を求めている訳でも無いのでどうでもいい。
「解った。昼までギルドの中の酒場に居るから、終わったら声かけてくれ」
「解りましたー」
手を振ってミーナと別れ、ギルドに設置されている割と大きめの酒場に移動した。
流石に朝一から飲んでいる奴は3人しか居なかったが、人数が少ない方が実験がしやすいので幸運と言える。
適当な席に座り、ウェイトレスの女性にアルコールの入っていないジュースを注文する。
今のところ酒を飲むつもりは全くない。
さて、俺はメニューから検索を開く。
『 』
そこには検索バーのような物が表示されていて、その中に調べたいワードを思い浮かべると女神の声が答えてくれる『システム』だ。
ググるに近いイメージだが、質問版みたいな使い方も可能だ。
まずは『国』と検索してみる。
『この世界には全49ヶ国が存在します。人の国が大半を占め、その他に魔族や獣人の国が存在します。他にもゴブリンなどの上位種が国を立ち上げる事もあり、魔物・外的要因の国も多々存在します』
やはり女神の知識には世界情勢などもあるようだ。
これを使えばダンジョンの場所も解ったのでは無いかとも思うが、忘れる事にした。
自分の能力を理解できないとはこういう事か。
何日も費やして作ったシステムなんだから忘れてる部分があっても仕方が無い。
次だ次。
『ドラゴン』を検索してみる。
『外的要因の最高戦力。強大な身体と多彩な特殊能力を有し、世界最強の敵と言っても過言では無い。個の力で抵抗できるのは、悪魔や天使のみである』
やっぱ居るんだな。
天使や悪魔についても調べとくか。
『天界に生息する光の種族。その力は強大でドラゴンや悪魔と並ぶ能力を持っている。世界最強と言っても過言では無い』
『魔界に生息する闇の種族。その力は強大でドラゴンや天使と並ぶ能力を持っている。世界最強と言っても過言では無い』
まあ、何だとにかく強いって事は解った。
それと悪魔は外的要因じゃ無いんだな。
この世界に存在する種族という括りな訳か。
まあ基本的に鑑定で出力すればわかる事か。
次はここに来る冒険者を適当に鑑定にかけていく。
名前 ロイ
種族 人間
年齢 24
体力 592
MP 150
攻撃力 832(220)
防御力 1210(700)
敏捷性 209(-200)
魔力値 320
スキル 〈身体強化〉〈剣術〉〈盾術〉〈火魔法〉
称号 〈元騎士〉〈冒険者〉〈ダンジョンシーカー〉
装備 〈ミスリルの剣〉〈ミスリルの盾〉〈オリハルコンの鎧・上下〉〈オリハルコンの籠手〉〈オリハルコンのグリーブ〉
俺と比べると、職業やスキルが無い。
ゴールドとスキルポイントの項目も消えているな。
『レベルを測定する事は可能か?』と入力。
『肉体情報から仮想経験値を出力する事で可能です』
『やってくれ』と検索バーに書き込む。
するとレベルが表示されて16と出た。
やはり俺の能力はチートだな。
同じ要領で彼の戦闘の方向性、職業を出力する。
結果は騎士。
重装甲で攻撃力と守備力が上がりやすいバランス型だ。
一次職では無難なチョイスだな。
まあ俺にしてみればって前提の話だが。
そんなペースでギルドに入ってくる冒険者を鑑定していく。
あわよくばレアなスキルをコピーしておきたかったが、なさそうだな。
そんな考えでいると、冒険者の数が一気に増えた。
依頼が貼ってあるボードの前なんかは暴動である。
そんな中1人の女冒険者が入って来た。
ギルドの狂騒がざわめきに変わり、彼女の進む先に居た冒険者は道を譲る様に二つに分かれた。
なんだあの女。
こっからじゃ良く見えねえ。
まあ鑑定しとくか。
名前はルシア。
平均ステータスは3000ちょいで確かに強い。
魔力が多いな。
後衛職か?
職業は魔導士になっている。
三次職だ。
もう強い。
けど問題はスキルと称号だ。
〈転移者〉〈転生者〉の称号を持ち、スキルには〈最強魔法〉と書かれていた。
確かによく見ると黒髪黒目で日本人風の顔をしている。
女神が転生させるのって日本人だけなのか?
まあ目の前に居る奴が転生者なのは間違いない。
それでいてこの都市での地位も高そうだ。
俺は偽装で金髪碧眼になってるから見破られる事は無いだろうが、あの能力欲しいな。
最強のってスキルはコピーに凄い量の時間と情報を要する。
設定では12時間同行してそのスキルを何回か見る必要がある。
パーティーに誘いたいところだが、今の俺には切れるカードが少ないし、あの女は危険人物に変わりない。
ディスペルが有れば何とかなるか?
いや、相手は最強魔法だ。
安易な考えで行動するべきじゃない。
はあ。
今あるポイントで取り敢えずスキルを取るか。
それに二次職が解放された職業は付け直したいし。
二次職は一レベル上昇するごとにスキルポイントが20貰えるからかなりお得だ。
ステータスは下がるけど仕方ない。
あの女の事は後でミーナに聞こう。
黒髪黒目のルシアという女は受付と少し話して外に出て行った。
そういや鑑定で表示される名前って周りの認知度で決まる様に設定したんだったな。
日本名も知りたいところだが、まあこの世界ではあの名前なんだ問題無いよな。
俺はジュースとつまみも食べながら鑑定を続けた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
698
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる