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Sランク冒険者
十六話 クエスト
しおりを挟む俺達は冒険者ギルドに来ていた。
と言ってもノルは留守番でアリルはノルを一人にしないために置いてきた。
メンバーは女神と魔王と俺、という通常ではあり得ない面子である。
今回ギルドに来たのはミーナへの挨拶と俺のレベルアップの方法を何か聞き出せないか、という打算からである。
強い敵を求めてきたと言えば、聞こえはいいのだろうか。
取り敢えずミーナを見つけたので、そのカウンターに向かう。
なぜかフィーナに睨まれたが、気にしない事にする。
「久しぶりミーナ」
「あ、シル様。いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか?」
「そんなつれない事言わなくてもいいじゃん。ミーナの顔が久しぶりに見たくなっ!!……たん、だっ!?よ」
「そ……そうですか?」
両隣から足を物凄い威力で踏み抜かれた。
体力ゲージがガリガリ減ってる。
フィーナはともかくレティに関しては何だよ?
あと感知系のスキル、仕事しろ。
それと絶対危機回避どこ行った。
「バカ……」
「シルは私だけ見ておればいいのだ」
ボソっと何か言っているが。
「言いたいことがあるならもう少し大きな声で言わないと聞こえないぞ?」
そうフィーナにだけ聞こえるような声で言うと。
「知らない!」
と割と大きな声で返されてしまった。
フィーナに上目遣いアンド涙目の攻撃を受けた俺は精神的に死にそうです。
何となく虐めてしまった。
後でお菓子でも焼いてやろう。
さっさと本題に入るか。
「なんか強い奴と戦えるクエストとか無い?」
「腕試しですか? 強い魔物と言っても勿論Sランクには年中出されているような災害魔物は沢山いますが、現在Bランクのシル様が受けられるような高難度依頼はBランクの物だけです。つまり如何に強いと言われようがBランク依頼の魔物ではご期待には沿えないかと……」
「そうか。ならBランクで一番ランクが上がりそうな依頼を紹介してくれ」
「招致しました。Bランクで最もギルドポイントが多い依頼はホワイトパンサー討伐、ヘルハウンド討伐、キメラ討伐、ミスリルの採取です。この四つからお選びください」
「うん、取り敢えず全部受けてもいいか? 期限だけ教えてくれ」
「はい……期限はどれも二週間となっています。って、え!? 全部!?」
「どうしたんだミーナ前会った時はもう驚きませんからとか言ってたじゃないか」
「いや、流石に無理です。魔物の生息域の距離が遠すぎます、全てを二週間で終わらせるのは不可能かと」
「ミーナ、俺は基本なんでもできるから。転移で戻ってくるから安心しろ。それと、この話はオフレコで頼むぞ」
そのまま固まってしまったミーナに背を向けてギルドを後にする。
「兄ちゃん、Bランクなんだって? 俺らもそうなんだが、良かったらパーティーを組まないか?」
後にするつもりだったのだが、なんか絡まれた。
まあ、気配察知で解ってたけどな。
お前が俺の両脇の女を見ている事もな。
「すまんなおっさん、俺はこいつらと一緒に行動するから今は仲間は募集してねえんだ」
そういって二人の腰し手を回し、抱き寄せた。
レティとフィーナの腰まで伸びた髪に手を忍ばせると手触りのいい感触が伝わってきた。
フィーナの白いドレスとレティの黒を貴重にした服は二人の金髪と紫髪を良く引き立てる。
「ちょ、皆見てるから!」
「私はずっとこのまま歩いてもいいのじゃよ?」
「そういう事だ。他の奴を誘ってくれ」
「てめぇ馬鹿にしてんのか!」
どうやらやっと俺が最初からおっさんの狙いを看破していた事を理解したのか、今の行動をおちょくっていると、正しく判断したようだ。
「そもそも俺の女に手を出そうとして唯で済むとは思ってねえだろうな?」
そのまま無詠唱で威力を下げた魔法をぶつけた。
水の槍はおっさんにぶつかって吹っ飛ばした。
勿論俺達はそのまま外に出た。
腰の手を離す気は無い。
さて依頼を片付けよう。
一つ目はホワイトパンサーだな。
検索っと。『ホワイトパンサーの生息地へ転移』
『畏まりました。転移開始します』
俺はギルドを出て直ぐに人目を気にすることも無く、転移した。
魔王と女神を連れてる時点でアウトみたいなもんなんだから、二人は俺の影に隠れておとなしくしていて貰おう。
「レティ、魔物って言うのは魔王の配下なんだろ? 今から倒すんだが止めて置いた方が良いのか?」
「いや、魔物は無限湧きになっていてそれは各地にあるゲートをどうにかせねば収まらん。そもそも魔物は私たちが狙って人間を襲わせている訳では無いからの。だから魔物の生死は魔王側にも問題は無いの」
「なるほど……」
魔王達の来る時に開いた次元の裂け目からレティが前に居た世界の魔物が流れ込んでるのか。
一応『この星に存在する次元の裂け目の数』と検索しておく。
『382箇所存在します』
多いな。
一つじゃ無いのか。
もしかしたらレティ達の世界だけじゃ無いのかもな。
まあ、惑星一つに対して400個って事は面積的に考えればそこまで多い訳でも無いのか?
それを全てどうにかしろとか言われる事も無いだろうし、関係無いか。
最悪、検索からの転移ですぐ終わる。
「シル、私も戦っていいか?」
「私も戦うわ」
「いいけど。レティはともかくフィーナは戦えるのか……」
俺が言い終わる前に見た感じ音速より早い速度で二人は突進していった。
いや、索敵しろし。
それと〈経験値共有〉を獲得しておく。
このスキルは名前の通り対象三人までと経験値を共有するのだが、この世界で魔物を倒す事で経験値を稼げるのは俺ぐらいな物なので、計算式は人数分割る訳では無く、俺の総取りになる。
取り敢えず防御魔法を結界魔法と複合してフィーナにかけとく。
マップで観測出来ればバフやら魔法攻撃とかは出来るのだ。
防御魔法は対象を自分にしか取れない魔法だが、複合する事で結界魔法の人物指定を同時に使える。
要するに結界と防御を両方他人に付与できるって事だ。
観測不能も大変だぜ。
とか考えていると俺のレベルが上がった。
十分ほど待っていると二人が猛獣を抱えて帰って来た。
何体討伐すればいいのか聞きそびれたが、あれだけあれば足りるだろう。
その後は獣をストレージに放り込んで、二人を抱えて転移を繰り返した。
フィーナは下手したらレティより強かったので、結界と防御は要らないとの事でした。
ギルドに戻って報告するとミーナが気絶したのはご愛敬という奴だろう。
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