首を切られた人形師、実家で見つけた機械生命体が現れるダンジョンでメカニックとして覚醒する

水色の山葵

文字の大きさ
7 / 8

第7話 残骸

しおりを挟む

 気絶した俺はレイに家まで運ばれた。
 翌日もう一度ダンジョンに入ると機械生命体シリコクルス達の残骸は残っていた。

 ダンジョンモンスターの再復活《リポップ》時間は24時間。
 それはレイドダンジョンでも変わらない法則で、やはりこのダンジョンもその例外には洩れていないようだ。

 頭部パーツ。
 腕甲パーツ。
 脚部パーツ。
 電撃砲パーツ。

 その他、様々なパーツが各二百個ほど手に入った。
 倒した数は千体以上居そうだったが、しかし戦いの破損で使えないパーツも結構あったからな。

 比較的損傷の少ない個体から得られたレアドロップと呼べる物もあった。

 魔素吸収式発電機マジック・ジェネレーター
 これは空気中の魔素を電力に変換する特殊機構だ。

 それらを持ち帰り、裏ダンジョンの補給空間セーフエリアに戻った俺は、それらを確認しながら自分のスキルの進化を感じていた。


 【傑作人形製造クラフト・スペリオドール】。
 それは人形師の代名詞とも呼べるスキル。
 人形その物を製造する事ができるスキル。

 指人形も、ハニワも、形代も、レイも。
 全てはこのスキルによって生み出された。
 俺のスキルは総じて「人形」という弾丸を消費する物。

 このスキルが無ければそれらは使う事もできないのだから最重要と言って良いだろう。

「新たに何か作れるのですか?」

 パーツを並べて胡坐を組む俺を、覗き込む様にレイが聞いて来る。

「レシピが色々増えたからな」

 傑作人形製造クラフト・スペリオドールによって製造できる物。
 それはこのスキルが解析した構造だ。

 俺の戦闘や得たパーツの分解や再構築など、様々な『解析』によってレシピは増える。

 機械生命体シリコクルスの構造はレイ作成時に把握した。
 そして大量の機械生命体シリコクルスを目視し、その攻撃や動きを俺が見た事によってレシピが増えたのだろう。
 何度も経験のある事だ。

 今の解析度ではまだ鉄や銅、金などの素材そのものからパーツを作る事はできない。
 部品を素材にして兵器の作成がやっとだ。

 よし、閃いた!

「全身に砲台を付けたら、全方位攻撃可能な最強個体になるぞ!」

「クロウ、貴方は馬鹿ですか。
 関節が死にます。
 重量オーバーです。
 供給魔力量が足りません。
 あと、ダサいです」

 バカ……
 ダサ……

「はい、ごめんなさい……」

 泣いてない。俺は泣いて無いんだ。
 これは汗……

「しかし、私に武装が足りないのは事実。
 獲得したレシピの武装の取り付けをお願いできますか?」

 だよな!?
 そうだよな!
 必要だよな新しい武器!

 っていうか、メカって聞くと興奮するのは何なんだろ。

「おう、任せろ!」

 喜々として俺はスキルを発動させる。

傑作人形製造クラフト・スペリオドール!」

 レイの周りの空中に魔法陣が発生。
 更に必要なパーツも輝いて浮き始める。
 その魔法陣が何を行っているのかは正直分からない。

 けれど、この力は俺の技術能力を完全に無視して、必要な素材パーツから完成品を生成する。


 右腕武装「雷撃剣」
 左腕武装「雷撃砲」
 背面武装「ジェット推進機」
 視覚機能「赤外線カメラ」

 そして、ジェネレーターを使用した魔力機構マナチップ、【赤雷】。


 全ての装着が一瞬で完了した。

「感覚的に武器の使用感が理解できます。
 まるで技術に関するソフトウェアをインストールしたように」

 レイの見た目も変化した。
 元々、レイには雷撃砲の機能が無かった。
 俺の再構築が完璧では無く、レイの蘇生だけを念頭に置いていたから不要な部分を再現しなかった。

 だが、今のレイは違う。
 背面には4つのジェット推進機を装着。
 空を翔け、上空から攻撃も可能だ。

 しかも、近接戦闘能力も付与されてある。
 知性AI性能は、敵よりレイの方が格段に上。
 なら、レイが負ける理由は最早数だけだ。

「お、お前……」

 驚きながら俺は呟く。

「何か変でしょうか?」

「めっちゃカッケェェェ!!」

「……あ、はい」

 冷ややかな眼を向けられた気がする。
 いや、気のせいだ。絶対そうだ。

 メタリック装甲。
 各種武装。
 背負うジェットパック。

 見た目も変化している。
 左腕が銀色の砲門となり、右腕は手のままだが雷の剣を掌から生成する為の穴の様な物が開いている。

 背面の4つの白いジェットは一体化して背負うように存在する。
 眼光は青と緑の二眼に変化していた。

「クロウ、一つ提案……というよりお願いがあります」

「おう、なんだ?」

「魔力は既に回復していますよね」

「あぁ、ちゃんと10時間くらい寝たからな」

「では、もう一度結界外へ侵入し残存勢力と戦闘させてくれませんか?」

「残りとって、そりゃ今行けばリポップはまだだから昨日よりは楽だろうが……」

 正直、昨日の戦いはギリギリだった。
 荷重暴走オーバーロードの連続使用。
 1日であれだけの回数使ったのは初だ。
 それに重ね掛けの時は、消費魔力も9倍だからな。

 それだけやって、気絶までして、それでも全滅は無理だった。

 それを……

「今の私なら、単騎でも勝負になるかと」

「マジで?」

「はい」



 ◆



 って訳で、もう一回来て見た訳だけど。

「マジかあいつ……」

 上空を縦横無尽に飛び回るレイ。
 それに攻撃を命中させるのは困難。
 次々と赤い雷撃砲が打ち下ろされる。
 機械生命体シリコクルスの装甲には雷に対してある程度の耐性がある。

 しかし、赤雷は別だ。

 赤い雷にはパルス波の様な性質がある。
 その攻撃はある種の電磁パルス攻撃。
 攻撃を受けた電子機器は、一時的にその機能を麻痺させる。

 機械生命体シリコクルスの電気機構は=で命と連結している機械生命体シリコクルスにとって、その攻撃は致命傷だ。

 あとは魔力消費速度だが。
 感覚的に後1時間程度の継戦は可能。

「完全回避に機械特攻。
 しかも高度AI搭載。
 なんなら俺のスキルも使える。
 なんだあのSFロボット」

 俺、ハニワで守られるだけなんだが……

 主人としての威厳、ゼロ!

「この涙は嬉し泣きか悲しくて泣いてるのか……」

 まぁ、どっちでもいいや。

「がんばれー」

 ハニワと一緒に俺は声援を送る。
 ハニワ君たちも武器をカチャカチャと鳴らしてレイを応援している。
 こいつら結構ノリいいな。

 デバイスから何か変な感覚がした。
 同時にレイの呟きがデバイスに通信され、俺の頭に響く。

『【赤雷指人形パペット・エレキショット】』

 赤い雷を纏った指人形が、敵の密集地に落ちる。

 直後、直径5mほどの赤雷の半球が形成。
 その中の敵を沈黙させる。
 3秒間持続する範囲AOE電磁パルスEMP攻撃。

 わー。
 スキル進化しちゃったぁ……

 俺とレイのスキルは共有状態にある。
 それは、レイの行った行動による熟練度も俺のスキルに蓄積されていくって事だ。

 それも、俺が若くして高位探索者になれた理由だろう。


 第四段階【赤雷指人形パペット・エレキショット】。


 けど、そんなポンポン進化しない筈なんだけどな。

荷重暴走オーバーロード

 パルスの範囲が一気に三倍。
 15メートルへ拡大する。
 数十体の機械生命体シリコクルスが嵐に飲まれる。

 更に、レイから通信が入る。

『クロウ、敵残数100体を低下。
 レイドボスを発見しました』

「おぉ、無理するなよ?」

『レイドボスの能力を偵察してみます』

 決してできるとは言わない。
 レイドボスは通常エネミーとは別格の強さを持つ。
 レイが敗北した巨人もレイドボスだった。

 甘い相手では無いと自覚している筈。

 俺も気を引き締める。
 レイが安全に撤退できるように。

「あれか……」

 レイが発見したレイドボス。
 それが、俺の居る結界の入り口付近から見えた。

 巨大な獅子の形をした白い機械。
 『機械生命体シリコクルス獅子レオ』ってとこか。

 レイが何処までやれるか。
 そして、このダンジョンの強さ。
 確かめてやる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜

夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。 絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。 一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。 無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...