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お前を殺すのはもったいない
しおりを挟む私の生まれた街はご近所付合いも良くてこれと言って何かあるわけでもないけど、
お年寄りも子供も沢山いるしとても住み心地のいいところ。
うちはよく親戚同士で集まる家系で
おばあちゃんもやさしいしよくお菓子をくれたり
美味しいご飯をママと叔母さん達が作ってくれたり
私はこの街が大好き。
でも、少し変わってるところもある。
この街では昔から伝わる郷土料理があるんだけど
私はどうしてもそれが好きになれない。
「臓の子肉スープ」
私はこの料理がどうしても好きになれない。
毎回何かの時に出されるのだけれど、何の日だったのかも覚えていないし、
どうしてそれを食べるのかもわからない・・・。
ただ、みんなこのスープが大好きで喜んで食べるのだ。
「今日は臓の子肉スープよ~」って。
一回これ何の肉なの?って聞いてみたことがあったけど
「臓の子肉は臓の子肉よ~」ってみんなして笑うだけだった。
あの時確かにみんなが一瞬止まったのを私はその光景があまりにも異様すぎたものだから忘れられないでいた・・・
ある日のこと、私が外出から帰ってきたときにそれは起こった。
いつも通りのどかな日だった。
近所のおばさんがベランダで洗濯物を干していて、自転車をこいでいる私に手を振ってくれた。
「今日はいい天気ね」って。
私も「ほんとに今日はいい天気!最高の誕生日!」って返した。
そして玄関のドアを開けて「ただいまー」っていつも通りにいったの。
でも、何も声は帰ってこなくって
それなのにリビングの方を見るとパパがいるのよ。
「なにしてるの?パパ?」
見るからに様子がおかしいわ。
フーッフーッって呼吸も荒くって、ずっと台所のあたりごそごそしてるの。
ソファーの陰でよく見えないから私は近づくことにした。
「パパ?そこで何してるの?」
ようやくパパがゆっくりこちらを振り返った。
私はその瞬間この状況の異常さと急に張り詰めた緊迫感に吐きそうになった。
振り返ったパパは口の周りが血だらけで白目を剥いていた。
「何してるの!?」
私はパパに駆け寄った。
その時左の視界に嫌なものが見えた気がした。
そのまま思わず左を向いてしまう。
視線の先には無残な姿のママがいた。
キッチンから追いやられて廊下の向こう側でやられたんだ・・・
でも誰に?
何のために?
「パパ?何があったの?」
「フーッフーッ」
パパは返事をしてくれない。
私はママのもとに駆け寄った。
携帯電話を取り出してボーイフレンドに助けを求めながらママが生きていないか確認した。
でもママは喉元の肉が抉り取られていてもう息をしていなかった。
「ママ・・・ママが死んでてパパもおかしいの!とにかく何が起きてるのかわからないけどうちに来て!警察にも電話してほしい!私パパのこと見ててあげなきゃ・・」
電話の途中で急に後ろから殴られた。
ドンッと鈍い音が廊下に響いた。
誰っ!?
振り返るとそこにはパパが立っていた。
右手を振り上げてまた何か攻撃をしようとしているのがわかった。
「パパ?!やめて!!!」
私の叫び声が聞こえているのかいないのか、彼は「あー!!!」と叫んで襲い掛かってきた。
まるでゾンビ映画化かなにかのようだ。
でもパパはまだ温かくて生きているはずなのだ。
その時私めがけて振り下ろされた右腕にアイスピックが握られていることに気付いた。
私のことを殺そうとしている?!
とっさに避けようとしたが左肩あたりにアイスピックが刺さった。
パパはそれをすぐに抜いてまた腕を高く上げ攻撃の準備をしていた。
私が彼の左脇をすり抜けるとほぼ同時にボーイフレンドの声がした。
私はそのままリビングに向かい彼と合流した。
すぐに後ろからパパが追いかけてくる。
「警察は?」
「呼んだけどそんなにすぐには来ないよ!あっ、あぶない!後ろ!!!」
振り返るとパパがフォークを持って私に襲い掛かろうとしていた。
もう駄目だと思って体を丸め目を閉じた瞬間
背後から銃声が聞こえた。
目を開けるとパパのお腹に銃で撃たれた跡があって血が噴き出していた。
パパはそれでも立っていた。
私と向かい合ったままパパは急に目玉にフォークを刺して
抉り取った目玉を私に差し出してきてこう言った。
「こんなに素敵な臓の子肉、たべないの?」
私は思わずその場で嘔吐した。
パパは自分の目玉をもったいなさそうに嘗め回している。
「ママ・・・」
急にボーイフレンドがママと言い出した。
振り返ると彼の様子がなんだかおかしい。
パパに向かってママって言ってる。
そしてパパを車の後部座席に座らせて車を出すって言いだした。
警察に行くのかと思って私は嫌だったけどその車に乗った。
パパはゆっくり少しずつ目玉を食べていた。
車を出して一つ目の信号で止まった時。
彼の様子がおかしくなった。
ママっていいながら前後に揺れだした。
後ろを見たらパパも揺れてた。
「ママ・・・ママ・・・・」
気持ち悪い・・・。
「ねぇ!しっかりしてよ!どうしちゃったの?ママはもういないしあなたのママもここにはいない!」
私は彼を強く揺さぶった。
するといったん二人共動きを止めたかと思うと
一斉に私に手を伸ばしてきた。
「ママー!!!ママ!ママ!!!」
私は悲鳴を上げて車から飛び出た。
どこに行けばいいかもわからなくてとにかくあの二人に追いつかれたり回られたりしないように住宅街を走り回った。
静かになったのでもう追われてないだろうと思ったら銃声が聞こえた。
実は彼女の父親はもうすぐそこまで迫っていたのだ。
銃声で彼女が何かアクションを起こすのを待っていたのだ。
しかし、彼女は銃声が聞こえたときとっさに近くにあった大きい窓の家に上がり込みかくまってもらって難を逃れたかのように思えた。
彼女をかくまった優しい女性の家には男の子が一人いた。
しかしその時家にいた二人とも優しく彼女をかばってくれたのであった。
その家に彼女の父親が訪ねてきたときも、わからないと断ってくれた。
その場を離れるときに父親が残した言葉が
「お前を殺すのはもったいない」
その日の夜は臓の子肉スープの夜でした。
街中の子供たちが覚醒し
生贄の子供の家に玄関から、窓から、壁を張って犇めき合い、
生贄の子供の肉を喰らうために集まっていました。
生贄の子供の母親はその姿を目の前にしながら
「どうぞお召し上がりください」と涙ながらに言うのでした。
その街の子供はみな同じ顔をしており男の子でした。
生贄に群がり、食らいつく姿はもう人間には見えませんでした。
その晩の生贄が何人だったのかも、生贄は子供だけだったのかもわかりませんが
最後に分かったのは
その街の男性は何らかの理由でみなクローンとして生まれ
成長の過程で共喰いを必要とし、その風習が街をおかしくしたというストーリーだったのかなと作者は解釈しております。
主人公がのちにどうなったのかも、かくまってくれた家でその夜恐ろしいことは起きなかったのかもわかりません。
これはあくまで作者が見た夢ですので、みなさんの納得いく物に仕上がっているかはわかりませんが、最後まで読んで何か感じていただけるものがあればと思います。
ちなみに、私はこの夢見た日気持ちが悪くて体調も崩してしまいましたw
食欲も失せたし、しばらくねぎしのテールスープが飲めなくなってしまってしんどかったですw
読者の方々には良い夢見があらんことを。
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