14 / 28
王妃とセオドア
しおりを挟む
「また一緒に勉強したり、遊んだりできるようになるのですか?」
「……たぶん、まだ少し難しいかもしれないが、そのうち父様と医師が許せば、できるようになるかと思う」
「早く兄様と一緒に勉強したいです! その時はヒロも一緒ですよ?」
ルカはにこにこと話し、セオドアが優しくて良い子だと言ったのも頷けるとヒロは思った。ただ久しぶりの兄に、はしゃいでいると言えばそれまでだが、ルカなりに、この場を繋ごうとしているのかもしれない。
「立ちっぱなしでは疲れるでしょう。こちらに来て座りなさい。ヒロもこちらへ」
「いえ! 私は立っております!」
王妃からすれば、異世界から来た客人だと理解しての同席の許しだが、周りから見たら一般の世話役が王家と共にお茶を飲むのは疑問でしかないだろう。そのせいで爪弾きものにされるのは勘弁だと、ヒロは断った。
「このように、セオドア様の後ろに控えております」
セオドアを連れて席へと座らせ、そのすぐ後ろに控える。エナもそれに続いた。
「もしもセオドア様が倒れることがあったらすぐ動けますから」
王妃はそれで納得したようだった。
久しぶりの家族団欒になるのかと思いきや、話の中心はヒロだった。そういえば、王妃に呼ばれたのはセオドアではなく自分だったと思い出す。
「ヒロはどのようにセオドアを治しているの?」
「大それたことはしておりません。清潔感と、温度と湿度を大事にして、あとはしっかりご飯を食べれるように努めているだけで。ほとんどはセオドア様自身の頑張りでございます」
「医学の心得は?」
「ありません。基本的な処置、というのでしょうか。熱にかかった時の対処法を、セオドア様にはさせていただきました」
「それで治るものなのね……」
王妃はほう、と息をついた。普通ならいろいろと思うところがあるだろうが、おそらく異世界から召喚されたという部分が効いているのだと思う。でないと、こんな簡単に納得するはずがない。
大っぴらにしてはいないようだが、ヒロが異世界から来たことはどこまで知れ渡っているのだろうかと、ふと思った。ローガンはもちろん、アルフィ、ジェンソン国王、それから王妃くらいまでだろうか。何も言われていないし、他言しないようにとも言われていないのでよく分からない。ヒロ自身は、周りに言いふらすつもりはなかったため、このまま黙っていようと思ってはいるが。
「ヒロを呼んだのは、セオドアの様子を聞きたかったからだったけれど、セオドア自身が来てくれたから、しっかり様子を確認できて良かったわ」
声音柔らかに王妃が言うので、ヒロはセオドアと何か確執があるように思えたのは気のせいだったかと考える。
と、こほこほとセオドアが咳をした。
「兄様、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ、気にするな」
「セオドア様、帰りましょうか。いつもより長い時間、外を出歩いておいでですから」
ヒロが王妃を見ると、オリビアは頷いた。
「そうしなさい、セオドア」
「分かりました……」
「また元気な時にゆっくり話しましょう」
エナが王妃と王子たちに深く頭を下げたのにならって、ヒロもお辞儀をする。そうして、エナの案内のもと、セオドアを部屋に連れ帰った。
ベッドに横たわらせたセオドアは、浮かない顔をしていた。
「……セオドア様、少し眠りましょうか」
「……うん」
何か思うところがあるのが分かった。でも、セオドアに話す気がないなら、無理に聞くまでもない。話したくなったら話すだろう。
ヒロは、掛け布団の上から、セオドアの胸を優しく叩く。疲れていたらしく、彼はすとんと眠りに落ち、ヒロは邪魔にならないように、エナとそっと部屋を出た。
「……たぶん、まだ少し難しいかもしれないが、そのうち父様と医師が許せば、できるようになるかと思う」
「早く兄様と一緒に勉強したいです! その時はヒロも一緒ですよ?」
ルカはにこにこと話し、セオドアが優しくて良い子だと言ったのも頷けるとヒロは思った。ただ久しぶりの兄に、はしゃいでいると言えばそれまでだが、ルカなりに、この場を繋ごうとしているのかもしれない。
「立ちっぱなしでは疲れるでしょう。こちらに来て座りなさい。ヒロもこちらへ」
「いえ! 私は立っております!」
王妃からすれば、異世界から来た客人だと理解しての同席の許しだが、周りから見たら一般の世話役が王家と共にお茶を飲むのは疑問でしかないだろう。そのせいで爪弾きものにされるのは勘弁だと、ヒロは断った。
「このように、セオドア様の後ろに控えております」
セオドアを連れて席へと座らせ、そのすぐ後ろに控える。エナもそれに続いた。
「もしもセオドア様が倒れることがあったらすぐ動けますから」
王妃はそれで納得したようだった。
久しぶりの家族団欒になるのかと思いきや、話の中心はヒロだった。そういえば、王妃に呼ばれたのはセオドアではなく自分だったと思い出す。
「ヒロはどのようにセオドアを治しているの?」
「大それたことはしておりません。清潔感と、温度と湿度を大事にして、あとはしっかりご飯を食べれるように努めているだけで。ほとんどはセオドア様自身の頑張りでございます」
「医学の心得は?」
「ありません。基本的な処置、というのでしょうか。熱にかかった時の対処法を、セオドア様にはさせていただきました」
「それで治るものなのね……」
王妃はほう、と息をついた。普通ならいろいろと思うところがあるだろうが、おそらく異世界から召喚されたという部分が効いているのだと思う。でないと、こんな簡単に納得するはずがない。
大っぴらにしてはいないようだが、ヒロが異世界から来たことはどこまで知れ渡っているのだろうかと、ふと思った。ローガンはもちろん、アルフィ、ジェンソン国王、それから王妃くらいまでだろうか。何も言われていないし、他言しないようにとも言われていないのでよく分からない。ヒロ自身は、周りに言いふらすつもりはなかったため、このまま黙っていようと思ってはいるが。
「ヒロを呼んだのは、セオドアの様子を聞きたかったからだったけれど、セオドア自身が来てくれたから、しっかり様子を確認できて良かったわ」
声音柔らかに王妃が言うので、ヒロはセオドアと何か確執があるように思えたのは気のせいだったかと考える。
と、こほこほとセオドアが咳をした。
「兄様、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ、気にするな」
「セオドア様、帰りましょうか。いつもより長い時間、外を出歩いておいでですから」
ヒロが王妃を見ると、オリビアは頷いた。
「そうしなさい、セオドア」
「分かりました……」
「また元気な時にゆっくり話しましょう」
エナが王妃と王子たちに深く頭を下げたのにならって、ヒロもお辞儀をする。そうして、エナの案内のもと、セオドアを部屋に連れ帰った。
ベッドに横たわらせたセオドアは、浮かない顔をしていた。
「……セオドア様、少し眠りましょうか」
「……うん」
何か思うところがあるのが分かった。でも、セオドアに話す気がないなら、無理に聞くまでもない。話したくなったら話すだろう。
ヒロは、掛け布団の上から、セオドアの胸を優しく叩く。疲れていたらしく、彼はすとんと眠りに落ち、ヒロは邪魔にならないように、エナとそっと部屋を出た。
9
あなたにおすすめの小説
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです
修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜
長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。
コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。
ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。
実際の所、そこは異世界だった。
勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。
奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。
特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。
実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。
主人公 高校2年 高遠 奏 呼び名 カナデっち。奏。
クラスメイトのギャル 水木 紗耶香 呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。
主人公の幼馴染 片桐 浩太 呼び名 コウタ コータ君
(なろうでも別名義で公開)
タイトル微妙に変更しました。
ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~
うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」
探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。
探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼!
単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。
そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。
小さな彼女には秘密があった。
彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。
魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。
そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。
たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。
実は彼女は人間ではなく――その正体は。
チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~
あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい?
とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。
犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!
面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜
蝋梅
恋愛
仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。
短編ではありませんが短めです。
別視点あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる