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とにかくなんとかしないと……。あいつはなんとしても俺が守ってやるんだ――
斧田正行は下を向きながら、おぼつかない足取りで目的の場所へ向かっていた。
道すがら、ふと横から騒音が聞こえた。実に甘美で魅力的な音。反射的に顔を上げる。
「こんなところにもあったのか」
ちょうど誰かが入店したのだろう。開いた自動扉から中の様子がうかがえた。小さめの店内だが、かなりの客でにぎわっているようだ。外から見る限り、ほとんど満席だった。
「なんだって、こんなところに……」
斧田は店の前で立ち止まった。少しの逡巡の後、扉の前に足を運んだ。
「見るだけだ……」
自動扉が再びゆっくりと開く。店内から流れ出してくる心地よい騒音とタバコの芳香。斧田は懐かしい高揚感に包まれた。先ほどまでの憂鬱な気分は完全に吹き飛んでいた。
狭い店内は多くの客でにぎわっていた。4列に背中合わせに並んだ台は奥行に10台ほど、全部でざっと80台といったところか。ほぼ全席に人が座っている。すごい繁盛ぶりだ。
「そんなに出るのか? この店……」
斧田は店内をゆっくりと見て回った。誰もこちらになど関心を示さない。興味があるのは目の前の出玉だけだ。
ところどころ人がいない席を見つけだが、一服しているところなのだろう。プレイ中の札が掲げてある。
店内を回り、最後の列に差し掛かったところで、一つの空席を見つけた。札も立っていない。
『見るだけ』
もちろんその言葉はすでにどこかに消え去っていた。斧田はほぼ無意識でその台の前に腰を下ろしていた。
横目でちらりと隣の様子をうかがう。足元には4つのケースが積まれている。かなり出ているようだ。20代後半と思しきその男は後頭部を手のひらで撫でながら、顔をほころばせて目の前の台に見入っている。
これは期待できそうだ。
――
いったいこれまで何度繰り返したことだろう。
斧田は不要なレシートだけが残った財布の札入れを眺めながらそんなことを考えていた。
『見るだけ』
そう自分に言い聞かせて入った結果、これである。改めて自分の意志の弱さに嘆き、やり場のない怒りと悲しみに包まれた。
「ちくしょう!」
店を出た斧田は右足を上げ、コンクリートの地面を思い切り踏みつけた。当然ながらその固い地面はびくともすることなく、その衝撃はそのまま自分に返ってくる。
「ちくしょう……」
斧田が結婚したのは15年前。職場で知り合った女性だった。40歳と、やや遅めの結婚ではあったが、しばらくしてから子供もできた。元気な男の子だった。
まともな仕事と妻子ある家庭。今思えばあれが『幸せ』というやつだったのだろう。大好きだったギャンブルも、家族がいたからこそ自制することができた。
しかし――
それは突然だった。20年勤めた運送会社を辞めざるを得なくなってしまったのだ。結果的に依願退職にされたものの、実質的には解雇に違いなかった。
斧田の過去を引っ張り出し、会社の業績不振による員削減の標的にされたのだ。
そして、それを機に妻が出て行ってしまった。
わが子を置いて――
ふと気が付くと住宅街を歩いていた。自宅とは違う方向だった。
あたりはすっかり暗くなっている。早く帰らなくては。小学校3年になる息子が家で待っているはずだ。
大きな家が軒を連ねるその住宅街からは、点々と温かい灯りが漏れている。そのオレンジ色の灯りを脇目に見ながら、斧田の中に様々な感情が込み上げてきた。妬み、悲しみ、後悔。
ゆっくりと自宅に向けて歩いていたところで、その並んだ暖色の光が一カ所だけ途切れているのに気が付いた。
財布は空っぽ。貯蓄も底を尽きかけていた。何とかしなくてはいけない。息子は自分がなんとしても守らねば……。
斧田は玄関先の灯りが消えているその家の前に立ち、インターホンを押した。
中から反応はない。
もう一度押す。やはり返事はない。留守だ。
斧田は右の手のひらを見つめた。
(一度だけだ……)
斧田はすばやく周囲を見渡すと、家の庭を囲んでいる垣根の隙間を見つけ、そこに頭から体を滑り込ませた。なるべく音を立てないよう、ゆっくりと垣根を通り抜ける。
外から見た印象よりも小さな庭だった。屈みながら、少しの間呼吸を整える。ポケットから薄手の手袋を取り出して両手にはめた。
(一度だけ……)
庭に面している窓を端から順に確認していく。期待は薄いが、鍵がかかっていない方がありがたい。
正面から右回りに調べていった。
ちょうど半周し、裏側に回ったところに、頭の高さにある横に細長い小さめの窓を見つけた。おそらく台所だろう。外から見ると、クレセント錠が斜めを向いており、半開きの状態に見えた。
(ここだ!)
斧田は窓の縁に手をかけ、軽く力を入れてみた。開かない。もう少し力を強める。駄目だ。
それならば、と斧田は窓のサッシを両手で抱えるようにつかみ、上下に揺らしてみた。やがてクレセント錠は誰かに開けられたように軽快な音を立てて回転した。
(よし……)
斧田は逸る気持ちを抑え、窓に手をかけてゆっくりと力を加えていった。
徐々に力を強めていくと、あるところで急に抵抗がなくなった。それまで入れていた力で、窓が滑るように勢いよく開いたのだ。
心が弾んだ、その時だ。大きな電子音が窓の縁から周囲に響き渡った。周囲の家にも聞こえるほどの十分な大音量だ。
(警報機だ!)
外からは気が付かなかったが、窓の内側に侵入者対策用の小さな警報機が見えた。その小さな外形とは裏腹に、耳をつんざくような大音量を発している。
一瞬弾んだ心は、まったく異なる鼓動となって斧田の心を打ち鳴らした。
(やばい!)
斧田は窓を閉めてみたが、もちろん音は収まらない。だめだ。
裏手は家に囲まれている。侵入してきた正面から出るしかない。
斧田は再び正面の庭に回り、先ほど入ってき垣根の隙間に戻った。
音を気にしている場合ではない。飛び込むように体を投げ込んだ。体をくねらせ、もがくように通り抜けようとした。
おかしい、なかなか体が進まない。ズボンが引っ張られているように感じた。どうやらポケットが垣根の枝に引っかかったようだ。
(ちくしょう!)
さらに大きく体を揺らし、無理やり通過しようとした。しかし、なかなか進めない。
「どうしました?」
もがいている間に、どこかの家の扉が開く音とともに、声が聞こえた。
斧田はさらに大きく体を揺らし、渾身の力を込めて前へと這い出ようする。
ようやく枝が折れる音がして、身体が軽くなった。しかし、それと同時に大きな声が警報機の音に混じって声が聞こえた。
「泥棒ー!」
斧田は垣根から抜け出た後、声の聞こえた方をとは反対方向に走り出した。
「泥棒だー!」
こんな事態だが、斧田はその言葉になぜか懐かしさのようなものを感じていた。
すぐ後ろに追ってくる人の気配がする。斧田は見向きすることなくただ全力で走り続けた。
大通りが見えてきた。あそこを渡ってしまえば、路地が入り組んでいる。まず捕まることはないだろう。
追手が迫っている。左右の車を確認する暇などない。斧田は路地から見える車の交通量を見ておそらく大丈夫だと判断し、そのまま大通りに飛び出した。
『おそらく大丈夫』
その言葉はある意味正しかった。つまりは駄目な場合もある、ということだ。いや、過去を振り返ると駄目な場合の方が多かったのではないか? そして、今回もまたその『駄目な場合』だった。
右手からスピードに乗ったトラックがすぐ目の前に迫っていた。
無理だ。避けられない。
斧田は息子の顔を思い浮かべながら、自分の来た道を振り返った。
そこには追手の姿など見えなかった。
「まったくついていない――」
斧田正行は下を向きながら、おぼつかない足取りで目的の場所へ向かっていた。
道すがら、ふと横から騒音が聞こえた。実に甘美で魅力的な音。反射的に顔を上げる。
「こんなところにもあったのか」
ちょうど誰かが入店したのだろう。開いた自動扉から中の様子がうかがえた。小さめの店内だが、かなりの客でにぎわっているようだ。外から見る限り、ほとんど満席だった。
「なんだって、こんなところに……」
斧田は店の前で立ち止まった。少しの逡巡の後、扉の前に足を運んだ。
「見るだけだ……」
自動扉が再びゆっくりと開く。店内から流れ出してくる心地よい騒音とタバコの芳香。斧田は懐かしい高揚感に包まれた。先ほどまでの憂鬱な気分は完全に吹き飛んでいた。
狭い店内は多くの客でにぎわっていた。4列に背中合わせに並んだ台は奥行に10台ほど、全部でざっと80台といったところか。ほぼ全席に人が座っている。すごい繁盛ぶりだ。
「そんなに出るのか? この店……」
斧田は店内をゆっくりと見て回った。誰もこちらになど関心を示さない。興味があるのは目の前の出玉だけだ。
ところどころ人がいない席を見つけだが、一服しているところなのだろう。プレイ中の札が掲げてある。
店内を回り、最後の列に差し掛かったところで、一つの空席を見つけた。札も立っていない。
『見るだけ』
もちろんその言葉はすでにどこかに消え去っていた。斧田はほぼ無意識でその台の前に腰を下ろしていた。
横目でちらりと隣の様子をうかがう。足元には4つのケースが積まれている。かなり出ているようだ。20代後半と思しきその男は後頭部を手のひらで撫でながら、顔をほころばせて目の前の台に見入っている。
これは期待できそうだ。
――
いったいこれまで何度繰り返したことだろう。
斧田は不要なレシートだけが残った財布の札入れを眺めながらそんなことを考えていた。
『見るだけ』
そう自分に言い聞かせて入った結果、これである。改めて自分の意志の弱さに嘆き、やり場のない怒りと悲しみに包まれた。
「ちくしょう!」
店を出た斧田は右足を上げ、コンクリートの地面を思い切り踏みつけた。当然ながらその固い地面はびくともすることなく、その衝撃はそのまま自分に返ってくる。
「ちくしょう……」
斧田が結婚したのは15年前。職場で知り合った女性だった。40歳と、やや遅めの結婚ではあったが、しばらくしてから子供もできた。元気な男の子だった。
まともな仕事と妻子ある家庭。今思えばあれが『幸せ』というやつだったのだろう。大好きだったギャンブルも、家族がいたからこそ自制することができた。
しかし――
それは突然だった。20年勤めた運送会社を辞めざるを得なくなってしまったのだ。結果的に依願退職にされたものの、実質的には解雇に違いなかった。
斧田の過去を引っ張り出し、会社の業績不振による員削減の標的にされたのだ。
そして、それを機に妻が出て行ってしまった。
わが子を置いて――
ふと気が付くと住宅街を歩いていた。自宅とは違う方向だった。
あたりはすっかり暗くなっている。早く帰らなくては。小学校3年になる息子が家で待っているはずだ。
大きな家が軒を連ねるその住宅街からは、点々と温かい灯りが漏れている。そのオレンジ色の灯りを脇目に見ながら、斧田の中に様々な感情が込み上げてきた。妬み、悲しみ、後悔。
ゆっくりと自宅に向けて歩いていたところで、その並んだ暖色の光が一カ所だけ途切れているのに気が付いた。
財布は空っぽ。貯蓄も底を尽きかけていた。何とかしなくてはいけない。息子は自分がなんとしても守らねば……。
斧田は玄関先の灯りが消えているその家の前に立ち、インターホンを押した。
中から反応はない。
もう一度押す。やはり返事はない。留守だ。
斧田は右の手のひらを見つめた。
(一度だけだ……)
斧田はすばやく周囲を見渡すと、家の庭を囲んでいる垣根の隙間を見つけ、そこに頭から体を滑り込ませた。なるべく音を立てないよう、ゆっくりと垣根を通り抜ける。
外から見た印象よりも小さな庭だった。屈みながら、少しの間呼吸を整える。ポケットから薄手の手袋を取り出して両手にはめた。
(一度だけ……)
庭に面している窓を端から順に確認していく。期待は薄いが、鍵がかかっていない方がありがたい。
正面から右回りに調べていった。
ちょうど半周し、裏側に回ったところに、頭の高さにある横に細長い小さめの窓を見つけた。おそらく台所だろう。外から見ると、クレセント錠が斜めを向いており、半開きの状態に見えた。
(ここだ!)
斧田は窓の縁に手をかけ、軽く力を入れてみた。開かない。もう少し力を強める。駄目だ。
それならば、と斧田は窓のサッシを両手で抱えるようにつかみ、上下に揺らしてみた。やがてクレセント錠は誰かに開けられたように軽快な音を立てて回転した。
(よし……)
斧田は逸る気持ちを抑え、窓に手をかけてゆっくりと力を加えていった。
徐々に力を強めていくと、あるところで急に抵抗がなくなった。それまで入れていた力で、窓が滑るように勢いよく開いたのだ。
心が弾んだ、その時だ。大きな電子音が窓の縁から周囲に響き渡った。周囲の家にも聞こえるほどの十分な大音量だ。
(警報機だ!)
外からは気が付かなかったが、窓の内側に侵入者対策用の小さな警報機が見えた。その小さな外形とは裏腹に、耳をつんざくような大音量を発している。
一瞬弾んだ心は、まったく異なる鼓動となって斧田の心を打ち鳴らした。
(やばい!)
斧田は窓を閉めてみたが、もちろん音は収まらない。だめだ。
裏手は家に囲まれている。侵入してきた正面から出るしかない。
斧田は再び正面の庭に回り、先ほど入ってき垣根の隙間に戻った。
音を気にしている場合ではない。飛び込むように体を投げ込んだ。体をくねらせ、もがくように通り抜けようとした。
おかしい、なかなか体が進まない。ズボンが引っ張られているように感じた。どうやらポケットが垣根の枝に引っかかったようだ。
(ちくしょう!)
さらに大きく体を揺らし、無理やり通過しようとした。しかし、なかなか進めない。
「どうしました?」
もがいている間に、どこかの家の扉が開く音とともに、声が聞こえた。
斧田はさらに大きく体を揺らし、渾身の力を込めて前へと這い出ようする。
ようやく枝が折れる音がして、身体が軽くなった。しかし、それと同時に大きな声が警報機の音に混じって声が聞こえた。
「泥棒ー!」
斧田は垣根から抜け出た後、声の聞こえた方をとは反対方向に走り出した。
「泥棒だー!」
こんな事態だが、斧田はその言葉になぜか懐かしさのようなものを感じていた。
すぐ後ろに追ってくる人の気配がする。斧田は見向きすることなくただ全力で走り続けた。
大通りが見えてきた。あそこを渡ってしまえば、路地が入り組んでいる。まず捕まることはないだろう。
追手が迫っている。左右の車を確認する暇などない。斧田は路地から見える車の交通量を見ておそらく大丈夫だと判断し、そのまま大通りに飛び出した。
『おそらく大丈夫』
その言葉はある意味正しかった。つまりは駄目な場合もある、ということだ。いや、過去を振り返ると駄目な場合の方が多かったのではないか? そして、今回もまたその『駄目な場合』だった。
右手からスピードに乗ったトラックがすぐ目の前に迫っていた。
無理だ。避けられない。
斧田は息子の顔を思い浮かべながら、自分の来た道を振り返った。
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