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目薬
ああ、目が染みる…。
私はミリア=スカータ。
生れはこの国随一、治安の悪い街だ。
父親は誰か知らない。
母親は居たけど他の男と過ごすのに夢中で私はほとんど放置されて生きてきた。
10歳を超えると現実がよく分る。
この国の女は二つに分かれるって事を。
一つは生まれながらに貴族として生きている人間で、
一つは私のように生まれた時から一生つまんない時間を過ごす女だ。
男だったら頭が良ければそこそこ安定した行政機関の仕事にありつけるけど、女がそれを目指すと男の10倍は努力が必要だ。
周りの女の子で必死に勉強している子がいるけど、はっきり言って無駄な努力でしょ。
まあ、努力している子は大体ブスなんだよね。
私みたいに顔が可愛ければお金持ちの男に養ってもらえるけど、そこまで可愛くなかったらそりゃ人生逆転を信じて勉強したくもなるか。
あ~あ、お疲れ様ってかんじ。
その後、私はもちろん男からはモテていたけど、どの男も低レベルだった。
全然お金持ちじゃない男ばっかりだ。
私の顔はこんなに可愛いのに。
16歳になると私の魔力が発動した。
発動って言っても水滴が2~3粒程度生み出すことが出来る程度だ。
けど、だけど、水だよ!
大人が言っていた。
この国で水属性は『選ばれし乙女』になれるって。
水属性なら『女神さまの水』を出せるって。
選ばれし乙女になれば貴族の男と結婚できるって!!
私はこのつまらない人生から逆転できるんだ。
そこから、水を何度も生み出す訓練を始めた。
けど、この行為は結構疲れるんだよね。
私は何事も積み重ねてするタイプじゃないし、すぐ飽きちゃうから訓練は出来る時にするって感じだった。
最終的にはワイン樽1つ程度の水は生み出せるようになった。
これ以上努力はしたくない。
だって疲れるの嫌なんだもん。
水を増やすのは大変だけど、操作するのは割と簡単だった。
私の可愛い顔をより美しく飾る水として利用すれば一番有効だもん。
陽の光の角度を確認して水滴が一番キラキラ輝く場所に散らせばいいんだ。
何度も鏡を覗き込み緻密な位置を確認する。
1ミリの狂いもなく水滴を散らす、そうすることで私は『選ばれし乙女』になるんだ。
ある夏の蒸し暑い昼間に母親がけだるそうに私のもとに帰ってきた。
相変わらずの不機嫌な態度だ。
でも、この顔だけはこの親から譲り受けたことを感謝している。
この女のおかげで私は愛らしい顔を手に入れたのだから。
私は母親の前で得意げに水魔法を披露した。
どう?暑さなんて吹き飛ぶほど美しいでしょ?
あなたが産んだ娘はこの国では希少な水属性なのよ?
さあ、私を敬うがいいわ。
母親は想像以上に驚き喜んだ。
さっきまでの不愛想な顔はなくなり満面の笑みを見せる。
「あんた、すごいじゃないか!!
水魔法が使えるのか?
ああ、今日初めて娘を産んで良かったと思うよ。
ははは、これで私の老後は安泰だわ。
あんたの容姿と水魔法ならこの辺の貴族はみんなあんたを欲しがるな。
…けど、どうせならもう少し水魔法使いらしくした方が箔が付くか。」
そう言って母親は私に特殊な目薬を使うよう指導してきた。
その目薬は私のもともと茶色がかった瞳を徐々に水色に変色させていった。
瞳の色が完璧な水色になったころ、母親は満足げに私を見つめていた。
「いいね、水属性はこうでなくっちゃ。
これで大貴族との結婚も夢じゃないよ。
まずは手ごろな貴族の養子に入るんだ。もう手配はしているからさ。
そこから出来る限り条件の良い貴族の男を捕まえるんだよ。
なんたってあんたは『選ばれし乙女』なんだからね。」
私は母親から養子に迎え入れられるまで名前で呼ばれることはなかった。
最後に言われた言葉は
「目薬はやり続けないとだめだからね。
そんで貴族の男と結婚したらすぐ連絡するんだよ!
あんたはあたしを楽にさせるために生きてることを忘れんじゃないよ!」
だった。
この目薬をさすたびにあの頃の思い出が頭に蘇る。
私はミリア=スカータ。
生れはこの国随一、治安の悪い街だ。
父親は誰か知らない。
母親は居たけど他の男と過ごすのに夢中で私はほとんど放置されて生きてきた。
10歳を超えると現実がよく分る。
この国の女は二つに分かれるって事を。
一つは生まれながらに貴族として生きている人間で、
一つは私のように生まれた時から一生つまんない時間を過ごす女だ。
男だったら頭が良ければそこそこ安定した行政機関の仕事にありつけるけど、女がそれを目指すと男の10倍は努力が必要だ。
周りの女の子で必死に勉強している子がいるけど、はっきり言って無駄な努力でしょ。
まあ、努力している子は大体ブスなんだよね。
私みたいに顔が可愛ければお金持ちの男に養ってもらえるけど、そこまで可愛くなかったらそりゃ人生逆転を信じて勉強したくもなるか。
あ~あ、お疲れ様ってかんじ。
その後、私はもちろん男からはモテていたけど、どの男も低レベルだった。
全然お金持ちじゃない男ばっかりだ。
私の顔はこんなに可愛いのに。
16歳になると私の魔力が発動した。
発動って言っても水滴が2~3粒程度生み出すことが出来る程度だ。
けど、だけど、水だよ!
大人が言っていた。
この国で水属性は『選ばれし乙女』になれるって。
水属性なら『女神さまの水』を出せるって。
選ばれし乙女になれば貴族の男と結婚できるって!!
私はこのつまらない人生から逆転できるんだ。
そこから、水を何度も生み出す訓練を始めた。
けど、この行為は結構疲れるんだよね。
私は何事も積み重ねてするタイプじゃないし、すぐ飽きちゃうから訓練は出来る時にするって感じだった。
最終的にはワイン樽1つ程度の水は生み出せるようになった。
これ以上努力はしたくない。
だって疲れるの嫌なんだもん。
水を増やすのは大変だけど、操作するのは割と簡単だった。
私の可愛い顔をより美しく飾る水として利用すれば一番有効だもん。
陽の光の角度を確認して水滴が一番キラキラ輝く場所に散らせばいいんだ。
何度も鏡を覗き込み緻密な位置を確認する。
1ミリの狂いもなく水滴を散らす、そうすることで私は『選ばれし乙女』になるんだ。
ある夏の蒸し暑い昼間に母親がけだるそうに私のもとに帰ってきた。
相変わらずの不機嫌な態度だ。
でも、この顔だけはこの親から譲り受けたことを感謝している。
この女のおかげで私は愛らしい顔を手に入れたのだから。
私は母親の前で得意げに水魔法を披露した。
どう?暑さなんて吹き飛ぶほど美しいでしょ?
あなたが産んだ娘はこの国では希少な水属性なのよ?
さあ、私を敬うがいいわ。
母親は想像以上に驚き喜んだ。
さっきまでの不愛想な顔はなくなり満面の笑みを見せる。
「あんた、すごいじゃないか!!
水魔法が使えるのか?
ああ、今日初めて娘を産んで良かったと思うよ。
ははは、これで私の老後は安泰だわ。
あんたの容姿と水魔法ならこの辺の貴族はみんなあんたを欲しがるな。
…けど、どうせならもう少し水魔法使いらしくした方が箔が付くか。」
そう言って母親は私に特殊な目薬を使うよう指導してきた。
その目薬は私のもともと茶色がかった瞳を徐々に水色に変色させていった。
瞳の色が完璧な水色になったころ、母親は満足げに私を見つめていた。
「いいね、水属性はこうでなくっちゃ。
これで大貴族との結婚も夢じゃないよ。
まずは手ごろな貴族の養子に入るんだ。もう手配はしているからさ。
そこから出来る限り条件の良い貴族の男を捕まえるんだよ。
なんたってあんたは『選ばれし乙女』なんだからね。」
私は母親から養子に迎え入れられるまで名前で呼ばれることはなかった。
最後に言われた言葉は
「目薬はやり続けないとだめだからね。
そんで貴族の男と結婚したらすぐ連絡するんだよ!
あんたはあたしを楽にさせるために生きてることを忘れんじゃないよ!」
だった。
この目薬をさすたびにあの頃の思い出が頭に蘇る。
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