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草野優成の苦悩
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そうして迎えた新人研修の付き添い人だったが、この日俺は涼君に対して焦りをもつこととなった。
ミーティング中、涼君に難癖をつける技術部の市川が気になりグループに参加した俺だったが、そこで池崎成美という新人女性社員に涼ちんと呼ばれていたことにショックを受けた。
しかも、涼君はその女性の事を成美ちゃんと呼び、親しくしているではないか。
そして当の涼君は企画部の新人にデレデレしている始末。
何とか収集をつけてミーティングを修正したが、その後涼君は皆から涼さんと慕われていた。
そうだった。涼君はあの大人気の『石橋君』だった。
どこにいても物腰が柔らくて周りの空気をやわらげ、和を作る雰囲気を持っている。みんなが涼君との時間を心地よいと感じてしまうんだ。
カレー作りの時にはしれっと涼君のグループに入り、火の番をしている涼君の隣に居座ることが出来た。
火の熱さで頬が赤くなっている涼君を見ていると、その火照りが気になり無意識に彼の頬に手を伸ばしていた。
この頬はこんなふうに赤くなるのか。
もしかして、情事の時もこんなふうに頬を赤らめて乱れるんだろうか…。
そんな考えが湧き出そうなとき、女性の掛け声で現実に戻ってしまった。
振り向くと声の主は池崎成美だ。
もしかして、俺と涼君の状況にわざと割って入ったのか?
そして、涼君と彼女の会話の中から池崎成美とは二人で飲みに行くような仲に進展していることを聞かされ焦りが更に加速した。
この池崎成美はギャル風の軽いノリで身を固めているが、実は高学歴と言う手ごわい女性だ。
涼君からの信頼も厚そうだし、頭が悪いように見せかけて会話のテンポは彼女に流れるような頭の回転の良さを持っている。
あの涼君を入社式の間に目を付けた眼力(がんりき)も脅威だ。
この女性がライバルになる前に早めに彼女を攻略しなければ…。
そう思い、積極的に友好的な振る舞いを見せて俺はライバルの卵を味方につけた。
池崎成美は非常に俺に協力的で涼君が今アフタヌーンティーに行きたがっていることを教えてくれた。
この恋が成就したら彼女に何かしらお礼をしなければならないな。
バレーではミーティングで突っかかってきた技術部の市川が俺に負けず劣らず活躍している。
オタクな奴が多い技術部だが、新しい風を入れたかったのか市川は技術部らしからぬ風貌と運動神経を持ち合わせていた。
そして、そんな市川が涼君に接近していたのを俺は見逃さなかった。
こっそり見つからない場所で話を聞かせてもらう。分かっている、これは非常に気持ち悪い奴のすることだと。
だが、涼君の話となるとそれは別問題なんだ。
盗み聞きした話から、涼君はこれから市川と交流する機会が出来てしまったようだ。
彼も、涼君の後輩ポジションからどう転んでくるか分からない男だ。
相談に乗ってもらうきっかけに、ほだされて上手くまとまってしまう可能性だってあり得る。
だから、良い感じの雰囲気を壊すようにわざとらしく、会話に割って入ってやった。
肝試しがあるから戻れと。
その肝試しのペアはもちろん俺が操作したものだけどな。
役職の特権はこういう時に使うのもだ。
俺は部下の仕事を横取りするような非情な上司ではない。だが、肝試しのペアの操作くらい可愛いものだろう?
ミーティング中、涼君に難癖をつける技術部の市川が気になりグループに参加した俺だったが、そこで池崎成美という新人女性社員に涼ちんと呼ばれていたことにショックを受けた。
しかも、涼君はその女性の事を成美ちゃんと呼び、親しくしているではないか。
そして当の涼君は企画部の新人にデレデレしている始末。
何とか収集をつけてミーティングを修正したが、その後涼君は皆から涼さんと慕われていた。
そうだった。涼君はあの大人気の『石橋君』だった。
どこにいても物腰が柔らくて周りの空気をやわらげ、和を作る雰囲気を持っている。みんなが涼君との時間を心地よいと感じてしまうんだ。
カレー作りの時にはしれっと涼君のグループに入り、火の番をしている涼君の隣に居座ることが出来た。
火の熱さで頬が赤くなっている涼君を見ていると、その火照りが気になり無意識に彼の頬に手を伸ばしていた。
この頬はこんなふうに赤くなるのか。
もしかして、情事の時もこんなふうに頬を赤らめて乱れるんだろうか…。
そんな考えが湧き出そうなとき、女性の掛け声で現実に戻ってしまった。
振り向くと声の主は池崎成美だ。
もしかして、俺と涼君の状況にわざと割って入ったのか?
そして、涼君と彼女の会話の中から池崎成美とは二人で飲みに行くような仲に進展していることを聞かされ焦りが更に加速した。
この池崎成美はギャル風の軽いノリで身を固めているが、実は高学歴と言う手ごわい女性だ。
涼君からの信頼も厚そうだし、頭が悪いように見せかけて会話のテンポは彼女に流れるような頭の回転の良さを持っている。
あの涼君を入社式の間に目を付けた眼力(がんりき)も脅威だ。
この女性がライバルになる前に早めに彼女を攻略しなければ…。
そう思い、積極的に友好的な振る舞いを見せて俺はライバルの卵を味方につけた。
池崎成美は非常に俺に協力的で涼君が今アフタヌーンティーに行きたがっていることを教えてくれた。
この恋が成就したら彼女に何かしらお礼をしなければならないな。
バレーではミーティングで突っかかってきた技術部の市川が俺に負けず劣らず活躍している。
オタクな奴が多い技術部だが、新しい風を入れたかったのか市川は技術部らしからぬ風貌と運動神経を持ち合わせていた。
そして、そんな市川が涼君に接近していたのを俺は見逃さなかった。
こっそり見つからない場所で話を聞かせてもらう。分かっている、これは非常に気持ち悪い奴のすることだと。
だが、涼君の話となるとそれは別問題なんだ。
盗み聞きした話から、涼君はこれから市川と交流する機会が出来てしまったようだ。
彼も、涼君の後輩ポジションからどう転んでくるか分からない男だ。
相談に乗ってもらうきっかけに、ほだされて上手くまとまってしまう可能性だってあり得る。
だから、良い感じの雰囲気を壊すようにわざとらしく、会話に割って入ってやった。
肝試しがあるから戻れと。
その肝試しのペアはもちろん俺が操作したものだけどな。
役職の特権はこういう時に使うのもだ。
俺は部下の仕事を横取りするような非情な上司ではない。だが、肝試しのペアの操作くらい可愛いものだろう?
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