俺の事嫌いなんですよね?

ミミリン

文字の大きさ
26 / 29

草野優成の苦悩

しおりを挟む
そうして迎えた新人研修の付き添い人だったが、この日俺は涼君に対して焦りをもつこととなった。


ミーティング中、涼君に難癖をつける技術部の市川が気になりグループに参加した俺だったが、そこで池崎成美という新人女性社員に涼ちんと呼ばれていたことにショックを受けた。

しかも、涼君はその女性の事を成美ちゃんと呼び、親しくしているではないか。


そして当の涼君は企画部の新人にデレデレしている始末。

何とか収集をつけてミーティングを修正したが、その後涼君は皆から涼さんと慕われていた。


そうだった。涼君はあの大人気の『石橋君』だった。

どこにいても物腰が柔らくて周りの空気をやわらげ、和を作る雰囲気を持っている。みんなが涼君との時間を心地よいと感じてしまうんだ。


カレー作りの時にはしれっと涼君のグループに入り、火の番をしている涼君の隣に居座ることが出来た。

火の熱さで頬が赤くなっている涼君を見ていると、その火照りが気になり無意識に彼の頬に手を伸ばしていた。

この頬はこんなふうに赤くなるのか。

もしかして、情事の時もこんなふうに頬を赤らめて乱れるんだろうか…。


そんな考えが湧き出そうなとき、女性の掛け声で現実に戻ってしまった。

振り向くと声の主は池崎成美だ。

もしかして、俺と涼君の状況にわざと割って入ったのか?

そして、涼君と彼女の会話の中から池崎成美とは二人で飲みに行くような仲に進展していることを聞かされ焦りが更に加速した。

この池崎成美はギャル風の軽いノリで身を固めているが、実は高学歴と言う手ごわい女性だ。

涼君からの信頼も厚そうだし、頭が悪いように見せかけて会話のテンポは彼女に流れるような頭の回転の良さを持っている。

あの涼君を入社式の間に目を付けた眼力(がんりき)も脅威だ。

この女性がライバルになる前に早めに彼女を攻略しなければ…。

そう思い、積極的に友好的な振る舞いを見せて俺はライバルの卵を味方につけた。

池崎成美は非常に俺に協力的で涼君が今アフタヌーンティーに行きたがっていることを教えてくれた。
この恋が成就したら彼女に何かしらお礼をしなければならないな。


バレーではミーティングで突っかかってきた技術部の市川が俺に負けず劣らず活躍している。

オタクな奴が多い技術部だが、新しい風を入れたかったのか市川は技術部らしからぬ風貌と運動神経を持ち合わせていた。

そして、そんな市川が涼君に接近していたのを俺は見逃さなかった。

こっそり見つからない場所で話を聞かせてもらう。分かっている、これは非常に気持ち悪い奴のすることだと。

だが、涼君の話となるとそれは別問題なんだ。

盗み聞きした話から、涼君はこれから市川と交流する機会が出来てしまったようだ。


彼も、涼君の後輩ポジションからどう転んでくるか分からない男だ。

相談に乗ってもらうきっかけに、ほだされて上手くまとまってしまう可能性だってあり得る。


だから、良い感じの雰囲気を壊すようにわざとらしく、会話に割って入ってやった。

肝試しがあるから戻れと。


その肝試しのペアはもちろん俺が操作したものだけどな。

役職の特権はこういう時に使うのもだ。

俺は部下の仕事を横取りするような非情な上司ではない。だが、肝試しのペアの操作くらい可愛いものだろう?

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

神様は僕に笑ってくれない

一片澪
BL
――高宮 恭一は手料理が食べられない。 それは、幸せだった頃の記憶と直結するからだ。 過去のトラウマから地元を切り捨て、一人で暮らしていた恭一はある日体調を崩し道端でしゃがみ込んだ所を喫茶店のオーナー李壱に助けられる。 その事をきっかけに二人は知り合い、李壱の持つ独特の空気感に恭一はゆっくりと自覚無く惹かれ優しく癒されていく。 初期愛情度は見せていないだけで攻め→→→(←?)受けです。 ※元外資系エリート現喫茶店オーナーの口調だけオネェ攻め×過去のトラウマから手料理が食べられなくなったちょっと卑屈な受けの恋から愛になるお話。 ※最初だけシリアスぶっていますが必ずハッピーエンドになります。 ※基本的に穏やかな流れでゆっくりと進む平和なお話です。

経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!

中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。 無表情・無駄のない所作・隙のない資料―― 完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。 けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。 イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。 毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、 凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。 「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」 戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。 けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、 どこか“計算”を感じ始めていて……? 狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ 業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

処理中です...