社内恋愛にご注意!!

ミミリン

文字の大きさ
14 / 107

瑠美ちゃんとよし君

しおりを挟む
やっぱり、よし君と瑠美ちゃんの距離って近いと思う。


瑠美ちゃんはあからさまによし君と接点を持とうとしている。

よし君との時間は仕事よりも優先順位が高いようで、自分の仕事を投げ出してまでよし君の手伝いをわざわざ買って出ている。


「田所さーん。お疲れ様ですう。今日も契約決めたみたいですね。流石ですね。やっぱり田所さんすごい!瑠美、すっごい田所さんのこと尊敬してるんですよ。」


「ええ?本当に?瑠美ちゃんにそう言ってもらえると嬉しいなあ。でも、俺まだまだそんな偉そうに言えるような立場じゃないよ。」


「も~。謙遜しちゃって。そんなところが素敵なんですよね~。フフフ。何か田所さんと一緒にいると瑠美、元気が湧いてきます。やだ…私ばっかり田所さんに良くしてもらってるな。田所さん、何かお仕事お手伝いしますよ。あっ、この契約書の整理私がしておきますよ。田所さんゆっくり休んでくださいね。」


「え?良いの?これの保管方法けっこう複雑だから時間かかるよ?大丈夫?瑠美ちゃんも仕事あるでしょ?」

「ううん。大丈夫ですよ!ちゃっちゃとやっつけますよ!こう見えても瑠美は仕事に燃える女なんですよ。」

瑠美ちゃんは可愛らしくガッツポーズを見せる。



会話聞こえてますけど…。瑠美ちゃんがちゃっちゃと仕事できるって初耳ですよ。

いっつも単純な作業にものすごく時間かけて進めているよね?しかもミス多いし、お手洗いって言って携帯見に行っているの私知っているよ。

「そっか~。瑠美ちゃんえらいなあ。流石俺の後輩。いい奥さんになるだろうな。彼氏は幸せ者だな。」

「そんな…。瑠美全然モテないし…。実は、今付き合ってる彼氏とも上手くいってないんです…。束縛がすごくて。田所さんみたいに心の広い包容力のある人だったら良かったのに…。」


「そ、そうなんだ。ごめんねしんどい事思い出させて。今精神的につらいんじゃない?この仕事しなくてもいいよ。そもそも俺の仕事だし。」


瑠美ちゃんはファイルを胸にぎゅっと抱きしめて健気そうな表情でよし君を見つめた。

「大丈夫です。瑠美仕事とプライベートはちゃんと分けてるんで。社会人だから当たり前ですよ。だから、この仕事ちゃんとさせてもらいます。」と可愛いく輝くような笑顔をお見舞いしている。


「本当に?ありがとう。今度瑠美ちゃんになにかお礼しなくちゃいけないな。」


「えっ、そんなのいりませんよ。お礼目当てでお仕事手伝うわけではないんで。あっ、でも…。」

「何?」

瑠美ちゃんはよし君の耳にそっと近づいて近距離からつぶやいた。

「彼氏の事でしんどくなったら愚痴とか聞いてもらえますか?」

「う、うん。もちろん。いつでも俺に言ってきてくれていいから。」

よし君焦ってるけど何か嬉しそうだな…。

「良かった。一人で悩んでるとすごくしんどくなるんです。男の人の気持ちよく分らないから、田所さんからアドバイスもらえれば助かります。」


「あ、ああ。そうだね。瑠美ちゃんまだ若いしね。俺、人に何か教えてあげるのそこそこ得意だからいつでも相談に乗るよ。」

「ええ~。嬉しい…。田所さんと一緒に働けて本当に良かった。」

瑠美ちゃんはほっと安心した表情だ。あんな顔見たら誰だってこの子の力になりたいって思うよ。


その時よし君は上司呼ばれた。

「あっ、呼ばれたから行ってくるね。じゃあ、その仕事無理しないでねって言いながら契約から3日以内には完成させないといけないから、無理そうだったら早めに教えてね。」

「はい。大丈夫です。行ってらっしゃい。」瑠美ちゃんはよし君に可愛く手を振ってお見送りスタイルだ。

よし君も瑠美ちゃんに微笑みながら手を振って上司の元に行った。

ああ、何かこの二人見てて辛い…。



瑠美ちゃんはよし君と私が付き合っていることは知らない。

だから多少好意を向けて近づくのは仕方がないかもしれない。露骨すぎるけど。


よし君は私が目の前に居てても瑠美ちゃんにデレデレしている。

何度かよし君に行動を改めてほしいって相談したけど、3回目くらいに私が怒られてしまった。


「じゃあ、マコに聞くけど、新卒で仕事がよく分っていない状態の子が一生懸命頑張っているのにそっけない態度をとれというのか?マコはそんな冷たい人間だったの?」


「マコが瑠美ちゃんにパワハラめいた行動をとったって営業で一時話題になってたよ。俺が絡んでいるとしても、仕事に、しかも立場の弱い後輩に八つ当たりは良くないだろ?もう瑠美ちゃんの話はやめてほしい。気分が悪くなる。」


とかいろいろ言われてあの日は一日中口を聞いてもらえなかった。



この前のマコは頑張っているって言ってくれたのは夢だったのかな?



思い出すと心が締め付けられる。


社会人として失格だけど、それらしい理由見つけてしばらく別室作業中心に仕事させてもらおう。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

花里 美佐
恋愛
冷淡財閥御曹司VS失業中の華道家 結婚に興味のない財閥御曹司は見合いを断り続けてきた。ある日、祖母の師匠である華道家の孫娘を紹介された。面と向かって彼の失礼な態度を指摘した彼女に興味を抱いた彼は、自分の財閥で花を活ける仕事を紹介する。 愛を知った財閥御曹司は彼女のために冷淡さをかなぐり捨て、甘く変貌していく。

課長と私のほのぼの婚

藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。 舘林陽一35歳。 仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。 ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。 ※他サイトにも投稿。 ※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

愛想笑いの課長は甘い俺様

吉生伊織
恋愛
社畜と罵られる 坂井 菜緒 × 愛想笑いが得意の俺様課長 堤 将暉 ********** 「社畜の坂井さんはこんな仕事もできないのかなぁ~?」 「へぇ、社畜でも反抗心あるんだ」 あることがきっかけで社畜と罵られる日々。 私以外には愛想笑いをするのに、私には厳しい。 そんな課長を避けたいのに甘やかしてくるのはどうして?

Melty romance 〜甘S彼氏の執着愛〜

yuzu
恋愛
 人数合わせで強引に参加させられた合コンに現れたのは、高校生の頃に少しだけ付き合って別れた元カレの佐野充希。適当にその場をやり過ごして帰るつもりだった堀沢真乃は充希に捕まりキスされて…… 「オレを好きになるまで離してやんない。」

処理中です...