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何で浮気したの?
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営業部のフロアに着くと、まず瑠美ちゃんから挨拶してきた。
「マコせんぱーい。おはようございまーす。先日はありがとうございましたー。何かお家のもの色々美味しくいただいちゃって、すみませーん。美味しかったですよ、何もかも。
あっ、でもー、もうマコ先輩のお家じゃなくなるのかな?
お家だけじゃなくて何もかも。ふふふっ。あれ?マコ先輩ご実家から出勤ですか?」
「…。おはよう。」
「も~、マコ先輩朝から暗いですよ。お盆休暇色々あったのかな?仕事とプライベートちゃんと分けないといけないですよ~、社会人なんだからあ。」
「…。」
「そうそう、私この前間違ってマコ先輩にメッセージ送っちゃったんですけど、あれ見ました?もう取り消したんですけどね。」
「…。ちゃんと、見てない。」
「へ~、そっか。なら良いんですよ。結構きわどいものもあったから保存されてたら嫌だな~って思って。」
「…。もう、良い?出張報告申請したいから行くね。」
「あ、どうぞ、どうぞ。出張お疲れさまでした。うふっ。」
色々と気持ち悪かったり引っ掛かることはあるけど、まず目の前のやるべきことはしよう。
私は出張報告の申請書を作成する。
「おい。」
聞きなれた声がした。振り向くとよし君が目の前に立っている。
妙な緊張感が全身をこわばらせる。
「何でしょう?田所さん。」
「ちょっとあっちで話をするぞ。」いつも人気が少ない応接室を指さした。
本当は会社であっても二人きりになりたくない。
でも、引っ越しの準備はあるし家具や私物は取りに行かなくちゃいけない。仕方がないか…。
「分かりました。」私とよし君は応接室に移動する。
応接室のプレートを使用中にしてドアを閉める。
「お前、あの写真保存したのか?」
またお前って言う。何様なんだろう。それに、第一声がそれなんだ。
自分が女の子を家に入れ込んだこと、お取り寄せしたものを勝手にふるまったこと、グラスを勝手に使ったこと、体の関係になったこと、いっぱいあるのに謝罪とかはする気なさそうだな。
「写真?ちゃんと見てない。」
「まあ、いっつもオドオドしているお前の事だからびっくりしている間に取り消されたか
。なら良い。今後あの家は瑠美と住むからお前の私物どうにかしろよ。」
「分かってます。服とか私の部屋の家具は持っていきます。パソコンも。」
「はあ?何でお前があのパソコン持っていくんだよ?あれは置いて行けよ。瑠美が資料作れないだろ?」
「え?あのパソコンは私が使ってたんだよ?これから使いたい機能もあるから…」
「だめだ。そもそもあのパソコンは二人の結婚資金から出したんだろ?ならあの貯金は二人の共同の金だ。俺にも権利がある。」
「そんな…。よし君が奨学金を払ってるからってほとんど私のお給料を入れてたんだよ。」
「何だよ、恩着せがましい言い方するな。取り合えず、あのパソコンは絶対だめだ!新しく買ったら初期設定とかややこしいし絶対譲らない。」
睨まれながら威圧される。怖くて反論ができない。
「…。」
「はい、パソコンの話はこれでおしまい。今週末俺と瑠美でテーマパーク行くからその間にさっさと実家にでもお前の荷物だけ運べよ。勝手に俺や瑠美のもの持っていったら訴えるからな。」
「…。今週末行きます。」
「最後ちゃんと合鍵も返却しろよ。ポスト入れておけばいいから。あと何かあるか?」
怖いけど、後悔しないように聞きたいこと…。
「何で浮気したの?」
「ははははっ。浮気?ああ、今回のは浮気って言うのか。あのさ、マコって何かババ臭いんだよね。
髪の毛もいつも同じでさ、化粧もしないし出かける時スニーカーだぜ?おばさんじゃん。
話す内容も仕事の事かスーパーの野菜の話ばっかり。だんだんうざい母親と話している気分になったんだよな。
マコがそんなんだから、瑠美が近づいてきたときは瑠美が本命になっただけの話だ。
だから、これは浮気じゃない。俺と瑠美に嫉妬して変な噂流すなよ。
ただでさえお前は瑠美にあたりがきついからな。
瑠美みたいに可愛くて健気で一生懸命な子の方が男はみんな好きになるんだよ。さあ、これで分かった?平井さん。」
歪んだ、馬鹿にしたような笑顔で呼ばれた。この瞬間よし君は田所さんになった。
私、そんなふうに思われてたんだ…。
「…。分かりました。」
「まあ、次に男作った時はせいぜいババ臭いところバレないように頑張ってね、平井さん。じゃ、引っ越しの件よろしく~。」
田所さんは私の肩をポンと馴れ馴れしく叩いて出て行った。
もう、一体何なの…。頭の中ぐちゃぐちゃだ…。
頭と心を整理しないと…。
「マコせんぱーい。おはようございまーす。先日はありがとうございましたー。何かお家のもの色々美味しくいただいちゃって、すみませーん。美味しかったですよ、何もかも。
あっ、でもー、もうマコ先輩のお家じゃなくなるのかな?
お家だけじゃなくて何もかも。ふふふっ。あれ?マコ先輩ご実家から出勤ですか?」
「…。おはよう。」
「も~、マコ先輩朝から暗いですよ。お盆休暇色々あったのかな?仕事とプライベートちゃんと分けないといけないですよ~、社会人なんだからあ。」
「…。」
「そうそう、私この前間違ってマコ先輩にメッセージ送っちゃったんですけど、あれ見ました?もう取り消したんですけどね。」
「…。ちゃんと、見てない。」
「へ~、そっか。なら良いんですよ。結構きわどいものもあったから保存されてたら嫌だな~って思って。」
「…。もう、良い?出張報告申請したいから行くね。」
「あ、どうぞ、どうぞ。出張お疲れさまでした。うふっ。」
色々と気持ち悪かったり引っ掛かることはあるけど、まず目の前のやるべきことはしよう。
私は出張報告の申請書を作成する。
「おい。」
聞きなれた声がした。振り向くとよし君が目の前に立っている。
妙な緊張感が全身をこわばらせる。
「何でしょう?田所さん。」
「ちょっとあっちで話をするぞ。」いつも人気が少ない応接室を指さした。
本当は会社であっても二人きりになりたくない。
でも、引っ越しの準備はあるし家具や私物は取りに行かなくちゃいけない。仕方がないか…。
「分かりました。」私とよし君は応接室に移動する。
応接室のプレートを使用中にしてドアを閉める。
「お前、あの写真保存したのか?」
またお前って言う。何様なんだろう。それに、第一声がそれなんだ。
自分が女の子を家に入れ込んだこと、お取り寄せしたものを勝手にふるまったこと、グラスを勝手に使ったこと、体の関係になったこと、いっぱいあるのに謝罪とかはする気なさそうだな。
「写真?ちゃんと見てない。」
「まあ、いっつもオドオドしているお前の事だからびっくりしている間に取り消されたか
。なら良い。今後あの家は瑠美と住むからお前の私物どうにかしろよ。」
「分かってます。服とか私の部屋の家具は持っていきます。パソコンも。」
「はあ?何でお前があのパソコン持っていくんだよ?あれは置いて行けよ。瑠美が資料作れないだろ?」
「え?あのパソコンは私が使ってたんだよ?これから使いたい機能もあるから…」
「だめだ。そもそもあのパソコンは二人の結婚資金から出したんだろ?ならあの貯金は二人の共同の金だ。俺にも権利がある。」
「そんな…。よし君が奨学金を払ってるからってほとんど私のお給料を入れてたんだよ。」
「何だよ、恩着せがましい言い方するな。取り合えず、あのパソコンは絶対だめだ!新しく買ったら初期設定とかややこしいし絶対譲らない。」
睨まれながら威圧される。怖くて反論ができない。
「…。」
「はい、パソコンの話はこれでおしまい。今週末俺と瑠美でテーマパーク行くからその間にさっさと実家にでもお前の荷物だけ運べよ。勝手に俺や瑠美のもの持っていったら訴えるからな。」
「…。今週末行きます。」
「最後ちゃんと合鍵も返却しろよ。ポスト入れておけばいいから。あと何かあるか?」
怖いけど、後悔しないように聞きたいこと…。
「何で浮気したの?」
「ははははっ。浮気?ああ、今回のは浮気って言うのか。あのさ、マコって何かババ臭いんだよね。
髪の毛もいつも同じでさ、化粧もしないし出かける時スニーカーだぜ?おばさんじゃん。
話す内容も仕事の事かスーパーの野菜の話ばっかり。だんだんうざい母親と話している気分になったんだよな。
マコがそんなんだから、瑠美が近づいてきたときは瑠美が本命になっただけの話だ。
だから、これは浮気じゃない。俺と瑠美に嫉妬して変な噂流すなよ。
ただでさえお前は瑠美にあたりがきついからな。
瑠美みたいに可愛くて健気で一生懸命な子の方が男はみんな好きになるんだよ。さあ、これで分かった?平井さん。」
歪んだ、馬鹿にしたような笑顔で呼ばれた。この瞬間よし君は田所さんになった。
私、そんなふうに思われてたんだ…。
「…。分かりました。」
「まあ、次に男作った時はせいぜいババ臭いところバレないように頑張ってね、平井さん。じゃ、引っ越しの件よろしく~。」
田所さんは私の肩をポンと馴れ馴れしく叩いて出て行った。
もう、一体何なの…。頭の中ぐちゃぐちゃだ…。
頭と心を整理しないと…。
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