25 / 107
何で浮気したの?
しおりを挟む
営業部のフロアに着くと、まず瑠美ちゃんから挨拶してきた。
「マコせんぱーい。おはようございまーす。先日はありがとうございましたー。何かお家のもの色々美味しくいただいちゃって、すみませーん。美味しかったですよ、何もかも。
あっ、でもー、もうマコ先輩のお家じゃなくなるのかな?
お家だけじゃなくて何もかも。ふふふっ。あれ?マコ先輩ご実家から出勤ですか?」
「…。おはよう。」
「も~、マコ先輩朝から暗いですよ。お盆休暇色々あったのかな?仕事とプライベートちゃんと分けないといけないですよ~、社会人なんだからあ。」
「…。」
「そうそう、私この前間違ってマコ先輩にメッセージ送っちゃったんですけど、あれ見ました?もう取り消したんですけどね。」
「…。ちゃんと、見てない。」
「へ~、そっか。なら良いんですよ。結構きわどいものもあったから保存されてたら嫌だな~って思って。」
「…。もう、良い?出張報告申請したいから行くね。」
「あ、どうぞ、どうぞ。出張お疲れさまでした。うふっ。」
色々と気持ち悪かったり引っ掛かることはあるけど、まず目の前のやるべきことはしよう。
私は出張報告の申請書を作成する。
「おい。」
聞きなれた声がした。振り向くとよし君が目の前に立っている。
妙な緊張感が全身をこわばらせる。
「何でしょう?田所さん。」
「ちょっとあっちで話をするぞ。」いつも人気が少ない応接室を指さした。
本当は会社であっても二人きりになりたくない。
でも、引っ越しの準備はあるし家具や私物は取りに行かなくちゃいけない。仕方がないか…。
「分かりました。」私とよし君は応接室に移動する。
応接室のプレートを使用中にしてドアを閉める。
「お前、あの写真保存したのか?」
またお前って言う。何様なんだろう。それに、第一声がそれなんだ。
自分が女の子を家に入れ込んだこと、お取り寄せしたものを勝手にふるまったこと、グラスを勝手に使ったこと、体の関係になったこと、いっぱいあるのに謝罪とかはする気なさそうだな。
「写真?ちゃんと見てない。」
「まあ、いっつもオドオドしているお前の事だからびっくりしている間に取り消されたか
。なら良い。今後あの家は瑠美と住むからお前の私物どうにかしろよ。」
「分かってます。服とか私の部屋の家具は持っていきます。パソコンも。」
「はあ?何でお前があのパソコン持っていくんだよ?あれは置いて行けよ。瑠美が資料作れないだろ?」
「え?あのパソコンは私が使ってたんだよ?これから使いたい機能もあるから…」
「だめだ。そもそもあのパソコンは二人の結婚資金から出したんだろ?ならあの貯金は二人の共同の金だ。俺にも権利がある。」
「そんな…。よし君が奨学金を払ってるからってほとんど私のお給料を入れてたんだよ。」
「何だよ、恩着せがましい言い方するな。取り合えず、あのパソコンは絶対だめだ!新しく買ったら初期設定とかややこしいし絶対譲らない。」
睨まれながら威圧される。怖くて反論ができない。
「…。」
「はい、パソコンの話はこれでおしまい。今週末俺と瑠美でテーマパーク行くからその間にさっさと実家にでもお前の荷物だけ運べよ。勝手に俺や瑠美のもの持っていったら訴えるからな。」
「…。今週末行きます。」
「最後ちゃんと合鍵も返却しろよ。ポスト入れておけばいいから。あと何かあるか?」
怖いけど、後悔しないように聞きたいこと…。
「何で浮気したの?」
「ははははっ。浮気?ああ、今回のは浮気って言うのか。あのさ、マコって何かババ臭いんだよね。
髪の毛もいつも同じでさ、化粧もしないし出かける時スニーカーだぜ?おばさんじゃん。
話す内容も仕事の事かスーパーの野菜の話ばっかり。だんだんうざい母親と話している気分になったんだよな。
マコがそんなんだから、瑠美が近づいてきたときは瑠美が本命になっただけの話だ。
だから、これは浮気じゃない。俺と瑠美に嫉妬して変な噂流すなよ。
ただでさえお前は瑠美にあたりがきついからな。
瑠美みたいに可愛くて健気で一生懸命な子の方が男はみんな好きになるんだよ。さあ、これで分かった?平井さん。」
歪んだ、馬鹿にしたような笑顔で呼ばれた。この瞬間よし君は田所さんになった。
私、そんなふうに思われてたんだ…。
「…。分かりました。」
「まあ、次に男作った時はせいぜいババ臭いところバレないように頑張ってね、平井さん。じゃ、引っ越しの件よろしく~。」
田所さんは私の肩をポンと馴れ馴れしく叩いて出て行った。
もう、一体何なの…。頭の中ぐちゃぐちゃだ…。
頭と心を整理しないと…。
「マコせんぱーい。おはようございまーす。先日はありがとうございましたー。何かお家のもの色々美味しくいただいちゃって、すみませーん。美味しかったですよ、何もかも。
あっ、でもー、もうマコ先輩のお家じゃなくなるのかな?
お家だけじゃなくて何もかも。ふふふっ。あれ?マコ先輩ご実家から出勤ですか?」
「…。おはよう。」
「も~、マコ先輩朝から暗いですよ。お盆休暇色々あったのかな?仕事とプライベートちゃんと分けないといけないですよ~、社会人なんだからあ。」
「…。」
「そうそう、私この前間違ってマコ先輩にメッセージ送っちゃったんですけど、あれ見ました?もう取り消したんですけどね。」
「…。ちゃんと、見てない。」
「へ~、そっか。なら良いんですよ。結構きわどいものもあったから保存されてたら嫌だな~って思って。」
「…。もう、良い?出張報告申請したいから行くね。」
「あ、どうぞ、どうぞ。出張お疲れさまでした。うふっ。」
色々と気持ち悪かったり引っ掛かることはあるけど、まず目の前のやるべきことはしよう。
私は出張報告の申請書を作成する。
「おい。」
聞きなれた声がした。振り向くとよし君が目の前に立っている。
妙な緊張感が全身をこわばらせる。
「何でしょう?田所さん。」
「ちょっとあっちで話をするぞ。」いつも人気が少ない応接室を指さした。
本当は会社であっても二人きりになりたくない。
でも、引っ越しの準備はあるし家具や私物は取りに行かなくちゃいけない。仕方がないか…。
「分かりました。」私とよし君は応接室に移動する。
応接室のプレートを使用中にしてドアを閉める。
「お前、あの写真保存したのか?」
またお前って言う。何様なんだろう。それに、第一声がそれなんだ。
自分が女の子を家に入れ込んだこと、お取り寄せしたものを勝手にふるまったこと、グラスを勝手に使ったこと、体の関係になったこと、いっぱいあるのに謝罪とかはする気なさそうだな。
「写真?ちゃんと見てない。」
「まあ、いっつもオドオドしているお前の事だからびっくりしている間に取り消されたか
。なら良い。今後あの家は瑠美と住むからお前の私物どうにかしろよ。」
「分かってます。服とか私の部屋の家具は持っていきます。パソコンも。」
「はあ?何でお前があのパソコン持っていくんだよ?あれは置いて行けよ。瑠美が資料作れないだろ?」
「え?あのパソコンは私が使ってたんだよ?これから使いたい機能もあるから…」
「だめだ。そもそもあのパソコンは二人の結婚資金から出したんだろ?ならあの貯金は二人の共同の金だ。俺にも権利がある。」
「そんな…。よし君が奨学金を払ってるからってほとんど私のお給料を入れてたんだよ。」
「何だよ、恩着せがましい言い方するな。取り合えず、あのパソコンは絶対だめだ!新しく買ったら初期設定とかややこしいし絶対譲らない。」
睨まれながら威圧される。怖くて反論ができない。
「…。」
「はい、パソコンの話はこれでおしまい。今週末俺と瑠美でテーマパーク行くからその間にさっさと実家にでもお前の荷物だけ運べよ。勝手に俺や瑠美のもの持っていったら訴えるからな。」
「…。今週末行きます。」
「最後ちゃんと合鍵も返却しろよ。ポスト入れておけばいいから。あと何かあるか?」
怖いけど、後悔しないように聞きたいこと…。
「何で浮気したの?」
「ははははっ。浮気?ああ、今回のは浮気って言うのか。あのさ、マコって何かババ臭いんだよね。
髪の毛もいつも同じでさ、化粧もしないし出かける時スニーカーだぜ?おばさんじゃん。
話す内容も仕事の事かスーパーの野菜の話ばっかり。だんだんうざい母親と話している気分になったんだよな。
マコがそんなんだから、瑠美が近づいてきたときは瑠美が本命になっただけの話だ。
だから、これは浮気じゃない。俺と瑠美に嫉妬して変な噂流すなよ。
ただでさえお前は瑠美にあたりがきついからな。
瑠美みたいに可愛くて健気で一生懸命な子の方が男はみんな好きになるんだよ。さあ、これで分かった?平井さん。」
歪んだ、馬鹿にしたような笑顔で呼ばれた。この瞬間よし君は田所さんになった。
私、そんなふうに思われてたんだ…。
「…。分かりました。」
「まあ、次に男作った時はせいぜいババ臭いところバレないように頑張ってね、平井さん。じゃ、引っ越しの件よろしく~。」
田所さんは私の肩をポンと馴れ馴れしく叩いて出て行った。
もう、一体何なの…。頭の中ぐちゃぐちゃだ…。
頭と心を整理しないと…。
0
あなたにおすすめの小説
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
恋は襟を正してから-鬼上司の不器用な愛-
プリオネ
恋愛
せっかくホワイト企業に転職したのに、配属先は「漆黒」と噂される第一営業所だった芦尾梨子。待ち受けていたのは、大勢の前で怒鳴りつけてくるような鬼上司、獄谷衿。だが梨子には、前職で培ったパワハラ耐性と、ある"処世術"があった。2つの武器を手に、梨子は彼の厳しい指導にもたくましく食らいついていった。
ある日、梨子は獄谷に叱責された直後に彼自身のミスに気付く。助け舟を出すも、まさかのダブルミスで恥の上塗りをさせてしまう。責任を感じる梨子だったが、獄谷は意外な反応を見せた。そしてそれを境に、彼の態度が柔らかくなり始める。その不器用すぎるアプローチに、梨子も次第に惹かれていくのであった──。
恋心を隠してるけど全部滲み出ちゃってる系鬼上司と、全部気付いてるけど部下として接する新入社員が織りなす、じれじれオフィスラブ。
好きの手前と、さよならの向こう
茶ノ畑おーど
恋愛
数年前の失恋の痛みを抱えたまま、淡々と日々を過ごしていた社会人・中町ヒロト。
そんな彼の前に、不器用ながら真っすぐな後輩・明坂キリカが配属される。
小悪魔的な新人女子や、忘れられない元恋人も現れ、
ヒロトの平穏な日常は静かに崩れ、やがて過去と心の傷が再び揺らぎ始める――。
仕事と恋、すれ違いと再生。
交錯する想いの中で、彼は“本当に守りたいもの”を選び取れるのか。
――――――
※【20:30】の毎日更新になります。
ストーリーや展開等、色々と試行錯誤しながら執筆していますが、楽しんでいただけると嬉しいです。
不器用な大人たちに行く末を、温かく見守ってあげてください。
Melty romance 〜甘S彼氏の執着愛〜
yuzu
恋愛
人数合わせで強引に参加させられた合コンに現れたのは、高校生の頃に少しだけ付き合って別れた元カレの佐野充希。適当にその場をやり過ごして帰るつもりだった堀沢真乃は充希に捕まりキスされて……
「オレを好きになるまで離してやんない。」
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
夢見るシンデレラ~溺愛の時間は突然に~
美和優希
恋愛
社長秘書を勤めながら、中瀬琴子は密かに社長に想いを寄せていた。
叶わないだろうと思いながらもあきらめきれずにいた琴子だったが、ある日、社長から告白される。
日頃は紳士的だけど、二人のときは少し意地悪で溺甘な社長にドキドキさせられて──!?
初回公開日*2017.09.13(他サイト)
アルファポリスでの公開日*2020.03.10
*表紙イラストは、イラストAC(もちまる様)のイラスト素材を使わせていただいてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる