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マコさんって呼んでいいですか?
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滝野瀬さんのお弁当はすごくバランスが考えられてて彩も良いお弁当だった。
「うわあ、すごく素敵なお弁当だね。自分で作ったの?」
「は、はい。料理の腕を上げたくて今修行中なんです。平井さんのお弁当も美味しそうですよね。」
「私は一人暮らしだから昨日のご飯の残りとか登場することが多いよ。一緒に食べてくれる人が居たらやる気も出るんだけどね。」
最近は自虐的にこんなことも言えるようになった。なんか、たくましくなったな私。
「え?平井さん彼氏いないんですか?こんなに素敵な女性なのに?」
「色々あったんだよね。でも、今は癒しのペットも居てるし仕事も楽しいし優しい人ばかりの環境だから楽しいよ。」
「あの、私に引継ぎしてくださるためにデザイン課から来られてるんですよね。すみません。平井さんの大切な仕事の時間奪ってしまって…。」
「大丈夫だよ。まだ異動して間もないから私が居なくてもデザイン課はあんまり変わらないから。それに滝野瀬さん飲み込み早いから引継ぎしていても楽しいんだ。だから気にしないで。」
「ありがとうございます。近藤さんに何でも聞いてって言われたんですけどほとんどデスクに居なくて…。でも私に任されそうな書類が山積みなんです。あの、近藤さんってどんな人なんですか?」
「あー、瑠美ちゃんね。まだそんな仕事のやり方してるんだ…。えっと、近藤さんには気を付けた方が良いよ。ダメなものは駄目って出来ない事は出来ないって言わないとなんて言うか…。」
「利用されてしまう感じですか?」
「まあ、そういう表現になるかな?ごめんね。私が抜けた負担を何も知らない滝野瀬さんが負うことになって。」
「いえ、平井さんは関係ありません。何となく近藤さんは警戒した方が良い人なんだろうなって思ってたんです。」
「滝野瀬さんって意外とたくましいんだね。でも、課長や人事の人にしっかり相談した方が良いよ。瑠美ちゃんってすごく立ち回りが上手なの。」
「大丈夫です。平井さんに来てもらうきっかけも課長に相談したからです。これから業務をしっかり把握して近藤さんや外勤の方にどのくらい仕事を振られてるのかとか近藤さんが席を外している時間とかちゃんと報告しますね。」
「そ、そうだね。本当にしっかりしてる。何か先輩として情けないな。」
「いえ、いえ。平井さんに引き継いでもらってものすごく感謝してるんです。教え方上手いし引継ぎ計画とかすごく考えてくださっているの分かります。あの、私もマコ先輩って呼んでも良いですか?」
「えっと…。マコ先輩って瑠美ちゃんに呼ばれてる気がしてちょっと怖いからマコさんはどうかな?」
「良いんですか?嬉しい。じゃあこれからマコさんって呼ばせてもらいます。」
「うん。そうして。あっそう言えば、滝野瀬さんが使ってるペンケースってハンドメイドだよね。すごく使い込んでる感じがするんだけど自分で作ったの?」
「あのペンケースですか?あれは昔友達が手縫いで作ってくれたプレゼントなんです。中学生の時にもらったからもうボロボロなんですけど友達がくれたっていうのが嬉しくてずっと使ってるんです。」
「へえ、思い出が詰まってるんだね。それに物を大切にするってすごく良い事だもんね。」
「ええ。でも、ずっと長く同じものを身に着けていたら時代に追い付いていないことを今自覚してます。この服も何年も前に親に買ってもらったものなんです。丈夫なのでずっと着ていても破れたりしないんで捨てられなくて。会社に居る私服の女性社員さん見るたび自分の時代錯誤な服装が恥ずかしくて…。お化粧もさっぱり分からないし…。」
「そっか。でも滝野瀬さんすごく肌綺麗だし目鼻立ちも綺麗だよ。今間近でみて再確認できた。滝野瀬さんは美人顔だ。」
「マコさんに言われると何かむずむずしますね。」
「え?どういう意味?」
「何か、嬉しくて照れるって言うか…。あの、良かったら私の事もめぐって呼んでください。」滝野瀬さんは顔を真っ赤にしながらぺこりと頭を下げた。何その可愛い反応…。
「え?いいの?じゃあ、めぐちゃんって呼ばせてもらおうかな。」
「は、はい!ああ、頭がくらくらする…。」
「大丈夫?そろそろ休憩終わるし業務に戻ろうか?」
「は、はい。私、色々満腹です。」
「そ、そうなの?良かったねめぐちゃん。」
「はいー。」
めぐちゃんはぽよぽよした表情で昼食を終えた。一度お互いのデスクに戻る。
山根君にまた送ってもらって営業部で引継ぎが始まった時にはめぐちゃんはキリっと引き締まった顔になり熱心に私の説明をメモに取りながら聞いてくれていた。
う~ん、めぐちゃんは優秀だなあ。
「うわあ、すごく素敵なお弁当だね。自分で作ったの?」
「は、はい。料理の腕を上げたくて今修行中なんです。平井さんのお弁当も美味しそうですよね。」
「私は一人暮らしだから昨日のご飯の残りとか登場することが多いよ。一緒に食べてくれる人が居たらやる気も出るんだけどね。」
最近は自虐的にこんなことも言えるようになった。なんか、たくましくなったな私。
「え?平井さん彼氏いないんですか?こんなに素敵な女性なのに?」
「色々あったんだよね。でも、今は癒しのペットも居てるし仕事も楽しいし優しい人ばかりの環境だから楽しいよ。」
「あの、私に引継ぎしてくださるためにデザイン課から来られてるんですよね。すみません。平井さんの大切な仕事の時間奪ってしまって…。」
「大丈夫だよ。まだ異動して間もないから私が居なくてもデザイン課はあんまり変わらないから。それに滝野瀬さん飲み込み早いから引継ぎしていても楽しいんだ。だから気にしないで。」
「ありがとうございます。近藤さんに何でも聞いてって言われたんですけどほとんどデスクに居なくて…。でも私に任されそうな書類が山積みなんです。あの、近藤さんってどんな人なんですか?」
「あー、瑠美ちゃんね。まだそんな仕事のやり方してるんだ…。えっと、近藤さんには気を付けた方が良いよ。ダメなものは駄目って出来ない事は出来ないって言わないとなんて言うか…。」
「利用されてしまう感じですか?」
「まあ、そういう表現になるかな?ごめんね。私が抜けた負担を何も知らない滝野瀬さんが負うことになって。」
「いえ、平井さんは関係ありません。何となく近藤さんは警戒した方が良い人なんだろうなって思ってたんです。」
「滝野瀬さんって意外とたくましいんだね。でも、課長や人事の人にしっかり相談した方が良いよ。瑠美ちゃんってすごく立ち回りが上手なの。」
「大丈夫です。平井さんに来てもらうきっかけも課長に相談したからです。これから業務をしっかり把握して近藤さんや外勤の方にどのくらい仕事を振られてるのかとか近藤さんが席を外している時間とかちゃんと報告しますね。」
「そ、そうだね。本当にしっかりしてる。何か先輩として情けないな。」
「いえ、いえ。平井さんに引き継いでもらってものすごく感謝してるんです。教え方上手いし引継ぎ計画とかすごく考えてくださっているの分かります。あの、私もマコ先輩って呼んでも良いですか?」
「えっと…。マコ先輩って瑠美ちゃんに呼ばれてる気がしてちょっと怖いからマコさんはどうかな?」
「良いんですか?嬉しい。じゃあこれからマコさんって呼ばせてもらいます。」
「うん。そうして。あっそう言えば、滝野瀬さんが使ってるペンケースってハンドメイドだよね。すごく使い込んでる感じがするんだけど自分で作ったの?」
「あのペンケースですか?あれは昔友達が手縫いで作ってくれたプレゼントなんです。中学生の時にもらったからもうボロボロなんですけど友達がくれたっていうのが嬉しくてずっと使ってるんです。」
「へえ、思い出が詰まってるんだね。それに物を大切にするってすごく良い事だもんね。」
「ええ。でも、ずっと長く同じものを身に着けていたら時代に追い付いていないことを今自覚してます。この服も何年も前に親に買ってもらったものなんです。丈夫なのでずっと着ていても破れたりしないんで捨てられなくて。会社に居る私服の女性社員さん見るたび自分の時代錯誤な服装が恥ずかしくて…。お化粧もさっぱり分からないし…。」
「そっか。でも滝野瀬さんすごく肌綺麗だし目鼻立ちも綺麗だよ。今間近でみて再確認できた。滝野瀬さんは美人顔だ。」
「マコさんに言われると何かむずむずしますね。」
「え?どういう意味?」
「何か、嬉しくて照れるって言うか…。あの、良かったら私の事もめぐって呼んでください。」滝野瀬さんは顔を真っ赤にしながらぺこりと頭を下げた。何その可愛い反応…。
「え?いいの?じゃあ、めぐちゃんって呼ばせてもらおうかな。」
「は、はい!ああ、頭がくらくらする…。」
「大丈夫?そろそろ休憩終わるし業務に戻ろうか?」
「は、はい。私、色々満腹です。」
「そ、そうなの?良かったねめぐちゃん。」
「はいー。」
めぐちゃんはぽよぽよした表情で昼食を終えた。一度お互いのデスクに戻る。
山根君にまた送ってもらって営業部で引継ぎが始まった時にはめぐちゃんはキリっと引き締まった顔になり熱心に私の説明をメモに取りながら聞いてくれていた。
う~ん、めぐちゃんは優秀だなあ。
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