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第1章 彼女の言葉はわからない
各々の基準 4
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ふっと、空気が変わったのを感じる。
カサンドラとの距離が、急に遠ざかった気がするのだ。
いつも、彼女はそっけなく、どうでもいいといった態度を取る。
だが、それとは違う感覚があった。
なにか、ふれてはならないものにふれてしまったような。
さっきまでは漠然としたものだった「壁」が歴然と現れている。
カサンドラは心を閉じてしまった。
あまり表情を変えないところがあるので、ティトーヴァは、自分がどこで失敗をしたのかもわからずにいる。
(彼女は、戦車試合を良く思ってはいないようだな)
従僕を心配してはいないらしいが、競技には不快を感じているのかもしれない。
そもそも、この競技は政治的な要素が強かった。
さっき、カサンドラに話した通りだ。
複数の国が牽制し合っていると、どうしても鬱屈した感情が高まってくる。
それを、少しでも緩和するため、発散する場が必要なのだ。
ティトーヴァには、多くの国を束ねる帝国の皇太子としての考えがある。
彼自身は関わっていないが、父の起こした征服戦争時には多くの犠牲が伴ったと知っていた。
帝国は、今は平和を保っている。
それを維持していくのは、次期皇帝となる皇太子の役目だ。
「ところで、カサンドラ」
ティトーヴァは、遠くなったカサンドラとの距離を引き戻したくて、話題を少し変えることにした。
戦車試合と、まるきり関係のない話をする。
「ディオンヌのことなのだがな。俺は、彼女を妃にすると考えたことはないのだ」
「別にいいよ、そんな話。興味ない」
「俺が話しておきたいのだから聞け」
「断っても話すんじゃん。はいはい、どうぞ」
今日は、あの従僕もベンジャミンもいない。
周りを気にせず、今の心情を伝えられる。
カサンドラが真面目に聞くかどうかに関わらず、ティトーヴァは、話しておきたかったのだ。
「ディオンヌを従姉妹以上の存在として扱ったこともない」
「逆に、なんでディオンヌを妃にしないのかが、わからないなぁ」
胸の奥に、ちくっという痛みがある。
なぜかはわからないが、カサンドラにディオンヌを勧められたのが不快だった。
ティトーヴァは、この半月あまり「彼女を妃と決めている」と言い続けている。
皇命の結果としてではなく、自分の意思で決めたのだ。
「ディオンヌの後ろには叔父がいる。叔父は、アトゥリノの国王だ。ディオンヌを皇太子妃にすれば、叔父が力を持つことになる」
「皇帝なら抑えられるんじゃないの? 最高権力者なんだからさ」
皇太子は、苦笑いをもらす。
皇帝が最高権力者なのは、誰も否定できない。
だとしても、だ。
「俺には実績がないのでな。全員が全員、俺を認めているとは限らない。むしろ、アトゥリノは俺を引きずり降ろし、叔父を皇帝にすることも考えている」
「だったら、なおさら、ディオンヌを妃にしたほうが、丸くおさまるでしょ」
「丸くはおさまるかもしれん。だが、帝国を叔父が操ることに繋がる。その場を、丸くおさめたところで、将来的に問題が起きるのは明白だ」
ウェスキル帝国の直轄国は3つ。
父が「帝国」を築くと公にした際、真っ先に馳せ参じたのはアトゥリノだった。
次に、父に跪いたのがリュドサイオだ。
その2国の様子から、最後にデルーニャが征服戦争に加わっている。
それが、序列の所以だ。
「ディオンヌは12歳の時に帝都に送られてきた。俺は17で出征したが、半年もかからず……帝都に戻っていた、ちょうど、その頃だ」
ティトーヴァは、征服戦争後、放置されていたラーザを看過できず、出征した。
が、ラーザは、ほとんどもぬけの殻。
戦うべき相手はいなかったのだ
けれど、2度と戻る気にならないよう徹底的に街を破壊し尽くした。
そのため、元ラーザ国は、かつての繁栄を忘れさせるほど荒廃している。
カサンドラは、元ラーザ国女王の娘だ。
ラーザを滅ぼしたのが、ティトーヴァだとも知っているに違いない。
故郷から名を奪った自分を恨んでいるだろうか。
隣にいるカサンドラの横顔に、ちらりと視線を向けてみる。
しかし、彼女の表情は変わっていない。
かろうじて会話は続けているが、距離も縮まっていなさそうだ。
「帝都に帰った俺を出迎えたのが、ディオンヌだった。それまでは顔を見たこともない従姉妹だ。直轄国から、しかもアトゥリノから“人質”が送られてくるなど前例がなかった。意図は明白だろう?」
「そうだね」
「俺は、まだ若かったが、叔父の意図がわからない愚か者ではなかった。だが……ディオンヌを不憫に思ったのだ。幼い身で他国に連れて来られたのだからな」
ティトーヴァは、叔父の欲の深さを知っていた。
皇帝にすり寄りながらも、常に、より大きな権力を手に入れたがっている。
ディオンヌは、その「駒」に選ばれただけだ。
それが不憫に思えた。
「それゆえ、彼女を賓客扱いとした。その責任もあって、俺はディオンヌを守り、できるだけ快適に暮らせるよう便宜を図ってきた」
それが、年々、ディオンヌを増長させているとも思わず、12歳の頃と変わりのない対応を取り続けていた。
自分なりに、距離を取ってきたつもりだったからだ。
むしろ、母の姪であることや期待に応えてやれない罪悪感から、甘くなっていたところもある。
ティトーヴァは、皇太子妃の件を口に出したことはなく、何度も婚姻相手を紹介しようとした。
しかし、ディオンヌが承諾しないまま、今に至っている。
結果、被害をこうむったのは、カサンドラだ。
「もとより直轄国であるアトゥリノが人質を差し出す必要はない。それを理由に、ディオンヌを国に帰そうとしたのだが……」
少し前の出来事を思い出す。
ディオンヌに、そろそろ国に帰ってはどうかと告げた時のことだ。
『国に帰っても、私に居場所はありません! 場合によっては、殺されてしまいます! どうか、そのようなこと仰らないでください! 私には、頼れるかたが、お兄様しかいないのです!』
悲壮な表情で、泣き縋られている。
ディオンヌとは、十年近く、兄妹のような関係を持ってきた。
素直に甘えてくる姿を可愛いと思い、甘やかしてきたのは自分だ。
好き勝手をすることを許しはしないが、ディオンヌの死を望んでもいない。
そうしたあれこれを考えると、簡単には、突き放しきれなかった。
「帰せば、アトゥリノで、どんな扱いを受けるかわからん」
「もうさ、やっぱり、あんたがディオンヌと婚姻しなよ。叔父さんに操られるかもしれないっていうのは、あんたの実力不足で、彼女のせいじゃないんだしさ」
「それはできん」
「なんで?」
「俺は……」
言いかけて、言葉が勝手に止まる。
続けて言うはずだった言葉に、ティトーヴァ自身が驚いたからだ。
俺はディオンヌを女性として好んではいない。
そう言おうとした。
つまり、ディオンヌに「恋愛感情」をいだいてはいない、と言おうとしたのだ。
それは、ひとつの結論に結びついてしまう言葉だった。
では、カサンドラはどうなのか。
政略的な婚姻に「恋愛感情」が不要なことは、わかっている。
そもそも、政治絡みの婚姻なんて、そんなものだ。
家柄や利益に、大きく左右される。
どこの誰と婚姻するのが相応しく、最も価値を生むかが重要だった。
「俺は、お前を妃にすると決めている」
「だから、決めなくていいって」
「これは決定事項だ。覆しはしない」
カサンドラが呆れたように溜め息をつく。
体を前に倒し、膝で頬杖をついて、彼女は、そっぽを向いていた。
いかにもティトーヴァの婚姻には「無関心」だというように。
(皇命だからだと言えば、納得はさせられるだろう)
カサンドラとて「皇命」の重さは承知しているはずだ。
なのに、その、ひと言が、どうしても言えずにいる。
皇命とは関係なく、自分自身の選択として、カサンドラを選んでいた。
彼女を、皇太子妃に相応しいと思っている。
そして、カサンドラに女性的な魅力を感じていた。
これが「愛」だと認めるには至っていないが、少なくとも、心惹かれているのは認めざるを得ない。
皇命により、否応なく婚姻するのではなく、カサンドラにも、己の意思で、ティトーヴァ自身を選んでほしいと願ってしまっている。
カサンドラとの距離が、急に遠ざかった気がするのだ。
いつも、彼女はそっけなく、どうでもいいといった態度を取る。
だが、それとは違う感覚があった。
なにか、ふれてはならないものにふれてしまったような。
さっきまでは漠然としたものだった「壁」が歴然と現れている。
カサンドラは心を閉じてしまった。
あまり表情を変えないところがあるので、ティトーヴァは、自分がどこで失敗をしたのかもわからずにいる。
(彼女は、戦車試合を良く思ってはいないようだな)
従僕を心配してはいないらしいが、競技には不快を感じているのかもしれない。
そもそも、この競技は政治的な要素が強かった。
さっき、カサンドラに話した通りだ。
複数の国が牽制し合っていると、どうしても鬱屈した感情が高まってくる。
それを、少しでも緩和するため、発散する場が必要なのだ。
ティトーヴァには、多くの国を束ねる帝国の皇太子としての考えがある。
彼自身は関わっていないが、父の起こした征服戦争時には多くの犠牲が伴ったと知っていた。
帝国は、今は平和を保っている。
それを維持していくのは、次期皇帝となる皇太子の役目だ。
「ところで、カサンドラ」
ティトーヴァは、遠くなったカサンドラとの距離を引き戻したくて、話題を少し変えることにした。
戦車試合と、まるきり関係のない話をする。
「ディオンヌのことなのだがな。俺は、彼女を妃にすると考えたことはないのだ」
「別にいいよ、そんな話。興味ない」
「俺が話しておきたいのだから聞け」
「断っても話すんじゃん。はいはい、どうぞ」
今日は、あの従僕もベンジャミンもいない。
周りを気にせず、今の心情を伝えられる。
カサンドラが真面目に聞くかどうかに関わらず、ティトーヴァは、話しておきたかったのだ。
「ディオンヌを従姉妹以上の存在として扱ったこともない」
「逆に、なんでディオンヌを妃にしないのかが、わからないなぁ」
胸の奥に、ちくっという痛みがある。
なぜかはわからないが、カサンドラにディオンヌを勧められたのが不快だった。
ティトーヴァは、この半月あまり「彼女を妃と決めている」と言い続けている。
皇命の結果としてではなく、自分の意思で決めたのだ。
「ディオンヌの後ろには叔父がいる。叔父は、アトゥリノの国王だ。ディオンヌを皇太子妃にすれば、叔父が力を持つことになる」
「皇帝なら抑えられるんじゃないの? 最高権力者なんだからさ」
皇太子は、苦笑いをもらす。
皇帝が最高権力者なのは、誰も否定できない。
だとしても、だ。
「俺には実績がないのでな。全員が全員、俺を認めているとは限らない。むしろ、アトゥリノは俺を引きずり降ろし、叔父を皇帝にすることも考えている」
「だったら、なおさら、ディオンヌを妃にしたほうが、丸くおさまるでしょ」
「丸くはおさまるかもしれん。だが、帝国を叔父が操ることに繋がる。その場を、丸くおさめたところで、将来的に問題が起きるのは明白だ」
ウェスキル帝国の直轄国は3つ。
父が「帝国」を築くと公にした際、真っ先に馳せ参じたのはアトゥリノだった。
次に、父に跪いたのがリュドサイオだ。
その2国の様子から、最後にデルーニャが征服戦争に加わっている。
それが、序列の所以だ。
「ディオンヌは12歳の時に帝都に送られてきた。俺は17で出征したが、半年もかからず……帝都に戻っていた、ちょうど、その頃だ」
ティトーヴァは、征服戦争後、放置されていたラーザを看過できず、出征した。
が、ラーザは、ほとんどもぬけの殻。
戦うべき相手はいなかったのだ
けれど、2度と戻る気にならないよう徹底的に街を破壊し尽くした。
そのため、元ラーザ国は、かつての繁栄を忘れさせるほど荒廃している。
カサンドラは、元ラーザ国女王の娘だ。
ラーザを滅ぼしたのが、ティトーヴァだとも知っているに違いない。
故郷から名を奪った自分を恨んでいるだろうか。
隣にいるカサンドラの横顔に、ちらりと視線を向けてみる。
しかし、彼女の表情は変わっていない。
かろうじて会話は続けているが、距離も縮まっていなさそうだ。
「帝都に帰った俺を出迎えたのが、ディオンヌだった。それまでは顔を見たこともない従姉妹だ。直轄国から、しかもアトゥリノから“人質”が送られてくるなど前例がなかった。意図は明白だろう?」
「そうだね」
「俺は、まだ若かったが、叔父の意図がわからない愚か者ではなかった。だが……ディオンヌを不憫に思ったのだ。幼い身で他国に連れて来られたのだからな」
ティトーヴァは、叔父の欲の深さを知っていた。
皇帝にすり寄りながらも、常に、より大きな権力を手に入れたがっている。
ディオンヌは、その「駒」に選ばれただけだ。
それが不憫に思えた。
「それゆえ、彼女を賓客扱いとした。その責任もあって、俺はディオンヌを守り、できるだけ快適に暮らせるよう便宜を図ってきた」
それが、年々、ディオンヌを増長させているとも思わず、12歳の頃と変わりのない対応を取り続けていた。
自分なりに、距離を取ってきたつもりだったからだ。
むしろ、母の姪であることや期待に応えてやれない罪悪感から、甘くなっていたところもある。
ティトーヴァは、皇太子妃の件を口に出したことはなく、何度も婚姻相手を紹介しようとした。
しかし、ディオンヌが承諾しないまま、今に至っている。
結果、被害をこうむったのは、カサンドラだ。
「もとより直轄国であるアトゥリノが人質を差し出す必要はない。それを理由に、ディオンヌを国に帰そうとしたのだが……」
少し前の出来事を思い出す。
ディオンヌに、そろそろ国に帰ってはどうかと告げた時のことだ。
『国に帰っても、私に居場所はありません! 場合によっては、殺されてしまいます! どうか、そのようなこと仰らないでください! 私には、頼れるかたが、お兄様しかいないのです!』
悲壮な表情で、泣き縋られている。
ディオンヌとは、十年近く、兄妹のような関係を持ってきた。
素直に甘えてくる姿を可愛いと思い、甘やかしてきたのは自分だ。
好き勝手をすることを許しはしないが、ディオンヌの死を望んでもいない。
そうしたあれこれを考えると、簡単には、突き放しきれなかった。
「帰せば、アトゥリノで、どんな扱いを受けるかわからん」
「もうさ、やっぱり、あんたがディオンヌと婚姻しなよ。叔父さんに操られるかもしれないっていうのは、あんたの実力不足で、彼女のせいじゃないんだしさ」
「それはできん」
「なんで?」
「俺は……」
言いかけて、言葉が勝手に止まる。
続けて言うはずだった言葉に、ティトーヴァ自身が驚いたからだ。
俺はディオンヌを女性として好んではいない。
そう言おうとした。
つまり、ディオンヌに「恋愛感情」をいだいてはいない、と言おうとしたのだ。
それは、ひとつの結論に結びついてしまう言葉だった。
では、カサンドラはどうなのか。
政略的な婚姻に「恋愛感情」が不要なことは、わかっている。
そもそも、政治絡みの婚姻なんて、そんなものだ。
家柄や利益に、大きく左右される。
どこの誰と婚姻するのが相応しく、最も価値を生むかが重要だった。
「俺は、お前を妃にすると決めている」
「だから、決めなくていいって」
「これは決定事項だ。覆しはしない」
カサンドラが呆れたように溜め息をつく。
体を前に倒し、膝で頬杖をついて、彼女は、そっぽを向いていた。
いかにもティトーヴァの婚姻には「無関心」だというように。
(皇命だからだと言えば、納得はさせられるだろう)
カサンドラとて「皇命」の重さは承知しているはずだ。
なのに、その、ひと言が、どうしても言えずにいる。
皇命とは関係なく、自分自身の選択として、カサンドラを選んでいた。
彼女を、皇太子妃に相応しいと思っている。
そして、カサンドラに女性的な魅力を感じていた。
これが「愛」だと認めるには至っていないが、少なくとも、心惹かれているのは認めざるを得ない。
皇命により、否応なく婚姻するのではなく、カサンドラにも、己の意思で、ティトーヴァ自身を選んでほしいと願ってしまっている。
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