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that day
紗凪
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「オレは、要らないなんて思ってなかったよ」
ボクの独白に対して大輝がくれた言葉はボクが欲しかった言葉で、それでもボクの想いと大輝の想いが同じ方向を向いてはいないことが怖くてどう答えるのが正解なのかを模索する。
「でも、ボクよりも「諦めたんだ」」
ボクよりも彼女の方が大切だったくせにと言おうとした言葉は止められてしまった。
だけど、大輝の言った『諦めた』という言葉はボクの言葉なのにと少しだけ腹立たしく思ってしまう。
家族との関わりを諦めた。
大輝と過ごすことで手に入れた穏やかな日々を諦めた。
力に支配されることに怯えながらも、それでも囲い込むように自分の居場所を与えられていた貴哉との生活も諦めた。
後になって気付いた大輝への想いも、姉よりも自分を選んで欲しいという貴哉への想いも、ボクこそ全てを諦めてきたのに大輝は何を諦めたと言うのだろう。
「紗凪の恋愛対象は異性だけだと思ってたから」
そして告げられるボクには都合の良い大輝の言葉。
その言葉はボクを恋愛対象だと言っているように思え、期待して傷付きたくないのに期待したくなってしまう。
「紗凪があの人の話をするのが嫌だった。
ふたりで出かけるのが面白くなった」
繰り返されるボクの欲しい言葉。
繰り返される、あの時にボクの欲しかった言葉。
「それって、」
それなら何故あの時にこの言葉をくれなかったのか、そう思いながら言葉を続けようとするけれど、『ボクのことが好きみたい』と言おうとして言葉を止める。
その言葉はあまりにもボクに都合が良すぎるだろう。
「だから、紗凪にそれを伝えられなくて逃げたんだ。
彼女を作って、彼女と住むからって紗凪に部屋を探してもらって、そうすれば紗凪に酷いことする前に離れられると思って」
その言葉で核心に触れた大輝は「酷いことって?」と聞いたボクに苦笑いを見せる。
「あの人がしたみたいなこと、かな」
そう言いながら目を伏せたのは付き合っていることは伝えてあったせいで想像していたボクたちの関係と、実際の僕たちの関係が違ったことに気付いたからこそ出た言葉なのだろう。
昨日のボクの失態を口にしなかったのはボクを気遣ってのことだけど、それを踏まえて自分の想いを告げようとしているのだと思い次の言葉を待つ。
「それに、オレが紗凪に恋愛感情を持ってるなんて言ったら困らせるんじゃないかと思って」
そして、返す言葉に困るボクを気遣うように続けられた話はボクの想像を超えたものだった。
ボクへの恋愛感情に気付いたものの、異性愛者であるボクにそれを告げることができなかったこと。
今までお互いに干渉することなく生活していたのに貴哉との仲を深めていくことが面白くなかったこと。
その時はふたりの間に恋愛感情があるとは思っていなかったけれど、それでも見ているのが辛かったこと。
だから、彼女を作りボクを遠ざけ、その気持ちを抑え込もうとしたこと。
「もしもオレが紗凪のこと好きだって言ったら困っただろ?
一緒に住んでるんだから顔を合わせないわけにもいかないし。
だから紗凪が部屋を見つけるまでに諦めるつもりで部屋を探して欲しいって言ったのにさっさと出ていくから…。
彼女との関係を進めながら徐々に諦めていくはずだったのに中途半端なまま想いを断ち切られて、それなのにあの人と付き合うことになったって言われて無理矢理諦めたんだ。
…諦めるしかなかったんだ」
ボクが大輝への気持ちを自覚した時に大輝はボクへの想いを断ち切ろうとしていたのだと知る。だけどそれを額面通りに受け止めることができないのは彼女の存在を知っているから。
彼女に会ったことがなければ言い訳の口実だと思うのだけれど、実際に彼女に会っている僕は信じ切ることができない。
ボクの目には大輝と彼女はとても仲睦まじく見えていたから。
「そんなこと言うけど、彼女と仲良かったし」
「まあ、利害が一致してたしね」
「利害?」
「そう。
紗凪を諦めたいオレと、実家以外に避難場所が欲しかった彼女と」
「そこに恋愛感情は無かったって?」
「無かったこともないよ。
だけど、お互いに誰かの身代わり?」
「それって酷くない?」
「酷いって、誰に?
身代わりであったとしてもお互いに尊重してたし、身代わりであっても一緒に過ごすうちに気持ちも変化しただろうし」
「それは大輝も彼女も自分たちの気持ちを知ってたってこと?」
「薄々はね。
ちゃんと話したのはあの噂が流れ出してからだけど」
また、あの噂だった。
ボクに対する態度が変わったことに気付き姉の元に行くつもりだと貴哉に告げられてから、あの噂が流れることなく日常が続いていたらボクと貴哉の関係はどうなっていたのか、そう考えない日はなかった。
始まり方は決して甘いものではなかったけれど、それでもボク達の関係は悪くなかったと思っていた。
たとえボクが姉の代替え品だとしてもそれでもボクを必要としてくれていたし、ボクを慈しんでくれた。
貴哉に与えられるものを全て受け入れ、貴哉がボクの全てだと思うようになるのはすぐだった。
【ストックホルム症候群】
そんな言葉が思い浮かばないこともなかったけれど、そうだとしてもボクが受け入れさせすれば問題はない。
ボクの居場所とボクの存在意義を与えてくれた貴哉が離れない限りは、ボクは彼に従順でいるつもりだったんだ。
代替え品だとしても、それでもボクを求めてくれているのならそれで良かった。
「代わりじゃダメだったの?」
代わりであっても求められているのは自分なのに、それなのにそれ以上何を求めるのだと聞きたくて次の言葉を待つ。
代替え品だったボクは、同じように代替え品だった彼女に同情したのかもしれない。
「もしも本当に終わるならって、欲張りになったんだろうね。終わるなら玉砕覚悟っていうか、気持ちにケジメを付けたいっていうか、」
「でも大輝はボクに何も言わなかったよね。僕が来なければひとりで終わるつもりだったの?」
「オレは終わるなんて信じてないけど、それでも彼女の気持ちは理解できたから引き止める気はなかったよ。
紗凪に思いを告げる気もなかった。
紗凪とあの人はうまく言ってると思ってたから紗凪が幸せならそれで良いと思ってたし。
終わらないんだからまた会えるんだし、それだけで良かったんだ」
その言葉で大輝の本心を知る。
「じゃあ、幸せじゃない今は?」
大輝の気持ちが同じ方向を向いていると気付いたせいで自分を庇護してくれる相手に媚びることを覚えたボクは、誘導するかのように言葉を溢す。
「要らないって言われて置いて行かれたんだよ?」
昨夜ほど酔っているわけではないから意識はちゃんと有る。自分の言動を大輝がどう思うのかだって計算済みだ。
ボクは淋しくて仕方なかったんだ。
貴哉に触れられなくなったことが。
貴哉がボクを選ばなかったことが。
大輝がボクを簡単に手放したことが。
だから、ボクの方から手を伸ばした。
貴哉への想いが無くなったわけではないけれど、それでも手を伸ばした先にいるのが大輝なら貴哉への想いを無くすことは簡単だった。
だって、結局貴哉はボクにとって大輝の代替え品だったのだから。
ボクは【紗羅】の代わりだったのだと嘆き、捨てられたのだと被害者ぶっていたけれど、ボクにとっての貴哉だって【大輝】5代替え品だったのだからどっちもどっちなのだろう。
ただ、貴哉が本来求めていたのがボクの身内だったせいで複雑になってしまっただけで、やっていることは大差ないのだ。
大輝は彼女に理解を示して手放したけれど、ボクは貴哉に理解を示したふりをして愚図愚図と悩んでいただけのこと。
代替え品ではなくて本物が手に入るのなら全力で掴み取るべきだろう。
「ボク、本当は大輝の側にいたかったんだ」
大輝は動揺を見せながらもその視線に熱が籠り出す。
ボクに酷いことをしてしまうことを恐れて遠ざけたと言ったけれど、ボクが望めばそれは酷いことではなくなるのだから。
ボクの独白に対して大輝がくれた言葉はボクが欲しかった言葉で、それでもボクの想いと大輝の想いが同じ方向を向いてはいないことが怖くてどう答えるのが正解なのかを模索する。
「でも、ボクよりも「諦めたんだ」」
ボクよりも彼女の方が大切だったくせにと言おうとした言葉は止められてしまった。
だけど、大輝の言った『諦めた』という言葉はボクの言葉なのにと少しだけ腹立たしく思ってしまう。
家族との関わりを諦めた。
大輝と過ごすことで手に入れた穏やかな日々を諦めた。
力に支配されることに怯えながらも、それでも囲い込むように自分の居場所を与えられていた貴哉との生活も諦めた。
後になって気付いた大輝への想いも、姉よりも自分を選んで欲しいという貴哉への想いも、ボクこそ全てを諦めてきたのに大輝は何を諦めたと言うのだろう。
「紗凪の恋愛対象は異性だけだと思ってたから」
そして告げられるボクには都合の良い大輝の言葉。
その言葉はボクを恋愛対象だと言っているように思え、期待して傷付きたくないのに期待したくなってしまう。
「紗凪があの人の話をするのが嫌だった。
ふたりで出かけるのが面白くなった」
繰り返されるボクの欲しい言葉。
繰り返される、あの時にボクの欲しかった言葉。
「それって、」
それなら何故あの時にこの言葉をくれなかったのか、そう思いながら言葉を続けようとするけれど、『ボクのことが好きみたい』と言おうとして言葉を止める。
その言葉はあまりにもボクに都合が良すぎるだろう。
「だから、紗凪にそれを伝えられなくて逃げたんだ。
彼女を作って、彼女と住むからって紗凪に部屋を探してもらって、そうすれば紗凪に酷いことする前に離れられると思って」
その言葉で核心に触れた大輝は「酷いことって?」と聞いたボクに苦笑いを見せる。
「あの人がしたみたいなこと、かな」
そう言いながら目を伏せたのは付き合っていることは伝えてあったせいで想像していたボクたちの関係と、実際の僕たちの関係が違ったことに気付いたからこそ出た言葉なのだろう。
昨日のボクの失態を口にしなかったのはボクを気遣ってのことだけど、それを踏まえて自分の想いを告げようとしているのだと思い次の言葉を待つ。
「それに、オレが紗凪に恋愛感情を持ってるなんて言ったら困らせるんじゃないかと思って」
そして、返す言葉に困るボクを気遣うように続けられた話はボクの想像を超えたものだった。
ボクへの恋愛感情に気付いたものの、異性愛者であるボクにそれを告げることができなかったこと。
今までお互いに干渉することなく生活していたのに貴哉との仲を深めていくことが面白くなかったこと。
その時はふたりの間に恋愛感情があるとは思っていなかったけれど、それでも見ているのが辛かったこと。
だから、彼女を作りボクを遠ざけ、その気持ちを抑え込もうとしたこと。
「もしもオレが紗凪のこと好きだって言ったら困っただろ?
一緒に住んでるんだから顔を合わせないわけにもいかないし。
だから紗凪が部屋を見つけるまでに諦めるつもりで部屋を探して欲しいって言ったのにさっさと出ていくから…。
彼女との関係を進めながら徐々に諦めていくはずだったのに中途半端なまま想いを断ち切られて、それなのにあの人と付き合うことになったって言われて無理矢理諦めたんだ。
…諦めるしかなかったんだ」
ボクが大輝への気持ちを自覚した時に大輝はボクへの想いを断ち切ろうとしていたのだと知る。だけどそれを額面通りに受け止めることができないのは彼女の存在を知っているから。
彼女に会ったことがなければ言い訳の口実だと思うのだけれど、実際に彼女に会っている僕は信じ切ることができない。
ボクの目には大輝と彼女はとても仲睦まじく見えていたから。
「そんなこと言うけど、彼女と仲良かったし」
「まあ、利害が一致してたしね」
「利害?」
「そう。
紗凪を諦めたいオレと、実家以外に避難場所が欲しかった彼女と」
「そこに恋愛感情は無かったって?」
「無かったこともないよ。
だけど、お互いに誰かの身代わり?」
「それって酷くない?」
「酷いって、誰に?
身代わりであったとしてもお互いに尊重してたし、身代わりであっても一緒に過ごすうちに気持ちも変化しただろうし」
「それは大輝も彼女も自分たちの気持ちを知ってたってこと?」
「薄々はね。
ちゃんと話したのはあの噂が流れ出してからだけど」
また、あの噂だった。
ボクに対する態度が変わったことに気付き姉の元に行くつもりだと貴哉に告げられてから、あの噂が流れることなく日常が続いていたらボクと貴哉の関係はどうなっていたのか、そう考えない日はなかった。
始まり方は決して甘いものではなかったけれど、それでもボク達の関係は悪くなかったと思っていた。
たとえボクが姉の代替え品だとしてもそれでもボクを必要としてくれていたし、ボクを慈しんでくれた。
貴哉に与えられるものを全て受け入れ、貴哉がボクの全てだと思うようになるのはすぐだった。
【ストックホルム症候群】
そんな言葉が思い浮かばないこともなかったけれど、そうだとしてもボクが受け入れさせすれば問題はない。
ボクの居場所とボクの存在意義を与えてくれた貴哉が離れない限りは、ボクは彼に従順でいるつもりだったんだ。
代替え品だとしても、それでもボクを求めてくれているのならそれで良かった。
「代わりじゃダメだったの?」
代わりであっても求められているのは自分なのに、それなのにそれ以上何を求めるのだと聞きたくて次の言葉を待つ。
代替え品だったボクは、同じように代替え品だった彼女に同情したのかもしれない。
「もしも本当に終わるならって、欲張りになったんだろうね。終わるなら玉砕覚悟っていうか、気持ちにケジメを付けたいっていうか、」
「でも大輝はボクに何も言わなかったよね。僕が来なければひとりで終わるつもりだったの?」
「オレは終わるなんて信じてないけど、それでも彼女の気持ちは理解できたから引き止める気はなかったよ。
紗凪に思いを告げる気もなかった。
紗凪とあの人はうまく言ってると思ってたから紗凪が幸せならそれで良いと思ってたし。
終わらないんだからまた会えるんだし、それだけで良かったんだ」
その言葉で大輝の本心を知る。
「じゃあ、幸せじゃない今は?」
大輝の気持ちが同じ方向を向いていると気付いたせいで自分を庇護してくれる相手に媚びることを覚えたボクは、誘導するかのように言葉を溢す。
「要らないって言われて置いて行かれたんだよ?」
昨夜ほど酔っているわけではないから意識はちゃんと有る。自分の言動を大輝がどう思うのかだって計算済みだ。
ボクは淋しくて仕方なかったんだ。
貴哉に触れられなくなったことが。
貴哉がボクを選ばなかったことが。
大輝がボクを簡単に手放したことが。
だから、ボクの方から手を伸ばした。
貴哉への想いが無くなったわけではないけれど、それでも手を伸ばした先にいるのが大輝なら貴哉への想いを無くすことは簡単だった。
だって、結局貴哉はボクにとって大輝の代替え品だったのだから。
ボクは【紗羅】の代わりだったのだと嘆き、捨てられたのだと被害者ぶっていたけれど、ボクにとっての貴哉だって【大輝】5代替え品だったのだからどっちもどっちなのだろう。
ただ、貴哉が本来求めていたのがボクの身内だったせいで複雑になってしまっただけで、やっていることは大差ないのだ。
大輝は彼女に理解を示して手放したけれど、ボクは貴哉に理解を示したふりをして愚図愚図と悩んでいただけのこと。
代替え品ではなくて本物が手に入るのなら全力で掴み取るべきだろう。
「ボク、本当は大輝の側にいたかったんだ」
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