二世帯住宅から冒険の旅へ

PXXN3

文字の大きさ
68 / 116

第63話 伝説の魔導都市

しおりを挟む
「それじゃお世話になりましたー」

『また来てね』

『いつでも歓迎いたしますぞ』

『このお菓子あげるわ』

「ありがと。またねー」

「貿易の件は数日中に連絡の者が参りますので少々お待ちください。……できれば翻訳魔法の腕輪をご用意いただけると助かります」

『ええ承知しました。それではお気をつけて』


ひごっどんのいた町を出て王都のある南のほうへと馬車を進める。


「なんにもないね」

「田舎の割には道路がしっかり整備されてるな」

「この先に翻訳魔法の魔道具に詳しい魔道具師のいる街があるそうです。王都より栄えているとか」

「まえにエドさんが言ってた魔導都市ってやつ?」

「あれは『南のほうに世界一の魔導都市がある』っていうむかしからの言い伝えがあるだけで本当はどこにあるのかわからないんです。王国内にはそんな街はありませんでしたし。ただの伝説だと思っていましたが、これから向かう街がもしそれだったらすごい発見ですね」

「おお、それはわくわくだね」

「むかしの勇者はなんであの渓谷を作ったんだろうな?」

「この国の王にも面会の申し入れをしていますので、王都に着いたらそれも聞いてみましょう」

「何百年も国交がない国から急に連絡が来て慌ててるんだろうなあ」

「大丈夫ですよ。大きな騒ぎにならないよう寝ている間に直接枕元にそっと置いて来ましたから」

「もっと慌てるだろ」

「あ、見て。森の向こうに建物がチラッと見えてない?」

「お? 森の木よりかなり高いぞ。こっちではちょっと見たことない建物だな」

「見張りの塔でしょうか? それにしては違和感がありますが」

「まだ結構距離がありそうなのに存在感あるな」

「なんか高層マンションみたいな」

「まんしょんというのはなんでしょうか?」

「住宅だな。あの窓の一つひとつが部屋で、そこを間借りして大量の人間が住む」

「なんと鳥小屋のような」

「それ以上はいけない」

「王都でも三~四階建てくらいなら見かけたような気がするけど? あれがもうちょっと伸びただけだよ」

「三階より上は使用人の住まいや物置として使うのですが、あれは全部……」

「それ以上はいけない」

「そういえば翻訳魔法の魔道具ってどんな感じ?」

「この腕輪ちょっと解析してみたんだけどな、全然わからないんだよな。ヤギさんの魔道具は見てすぐわかったんだけど」

「難しいってこと?」

「いや、なんかうまく隠してあるっていうかセキュリティーがしっかりしているというか」

「ほえー」

「あの低台の魔道具師めの守りが甘いということですね」

「クマモトだとそもそも魔道具を解析して改造できるような人がいないからあれで問題ないんだけど、きっとたぶんこっちでは偽造防止とか改造防止とかしないといけないレベルで魔道具師がいるんだと思う」

「ヤギさんみたいな人がたくさんいるってことか。高層マンションに引きこもってるのかな」

「いや、引きこもりは関係ないだろ」

「こちらでもあのまんしょんに出前をしているんでしょうか? 鳥小屋に餌を運ぶよう……」

「それ以上はいけない」

「あ、なんか建物が見えてきたよ」

「………………巨大ですね」

「門か? ここから魔導都市ってことか?」

「まえに屋台とか出てるよ」

「おお、門が巨大すぎて小さな屋台とか目に入らなかった」

「やっと森を抜けましたね。あの門までまだしばらくかかると思いますよ」

「うわー。門と同じ高さの壁がずっと続いてるね」

「これ作るのも維持するのも大変そうだな。崩れたりしたら大事故だ」

「欠けもひび割れもないところを見るとできて数年のようにも見えますが、表面はかなり歴史を感じる風合いになってますね。不思議です」

「魔法かな? すごい魔道具が作れるならあの門や壁も魔道具なのかも」

「魔道具は使う人が魔力を与え続けないと動きませんからね。あの規模のものを維持するのにどれだけの犠牲いけにえを捧げ続けるのか見当もつきません」

「ちょっ怖っ」

「人間を燃料にするのはやめような」

「魔力を使うなら人間が一番効率がいいのです」

「そういえば魔力って結局なんなんだろうね。魔王がいないと魔法が使えないとか」

「ああっもうすぐ屋台に着きますよ。トラ様なにかお召し上がりになりますか?」

「全力でごまかそうとしている」

「なんの屋台なんだろう?」

「全力でごまかされている」

「ぐるう!」

「あ、チョコちゃん」

「影と先導してくださったのですね。いつもありがとうございます」

「ぐる」

「影とすっかり仲良くなっちゃったな」

「うるぐう」

「串焼きのおいしい店がある? よし行こう!」

「よし」

「全力でうやむやになった」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

処理中です...