貴方の✕✕、やめます

戒月冷音

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第46話

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そんな世界を見てきた人に、こんな事…言うべきではないと、分かってはいる。
しかし、今のままクーディアス様を放っておけば、彼の妻子と使用人は同じ道をたどるということを知ってほしかった。

貴男がやらなければ、ティスミル様とお腹の子は生きていけない。
今までは、何かに困った時、迷った時は私が相談役だった。
家のことに関わっていなかったから、クーディアス様の悩みは簡単なものばかりだった。
だから誰かの命に関わるようなことは一度もない。
けれどそれは、彼がここに居なかったからそうだっただけ。

ここに居た私は何度も人の死に直面し、領主代理1年目は1年で数十人の領民を見送った。
子供も大人も皆…
半年過ぎた頃に私は、これ以上飢餓や栄養失調のような症状で亡くなる人を減らしていくことからはじめた。
其の上で、亡くなってしまった人達に誓いを立てた。
これ以上、こんな理由で失うことの無いよう、ここを反映させると。
貴方達の大切な人達は、これ以上悲しませないと…

だからここまで、領地を反映させた。
思いつくことをすべて試し、店を興し観光になるものを増やし人を呼び込む。
人が増えれば街は栄、そこから愛が生まれ子が増える。
そして私は、この領地を肥えさせたのだ。


しかしこれからは、それをクーディアス様一人でしてもらうしかない。
貴男が選んだ女性は、何もしない人。
だからこそ、タタをこねる暇があれば、妻の分も働くしかない。私のように…

「私は、貴方が居ない間貴方の分も働き、
 領民が死なないように、貴男が飢えないように…今まで一人で手を尽くしてきたの。
 だから貴方も、同じ様に頑張って。今までのことは家令達が知ってる。
 それを頼りにすれば出来ることよ。私のように、すべてが初めてではないのだから…」
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