貴方の✕✕、やめます

戒月冷音

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第58話

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「えっ!?何処かへ、行ってしまわれるのですか?」
突然、スラヴェ様が反応した。
「だから早いほうが良いって、言ったんだ」
「いや。少しぐらいは、休む時間を作るかと…」
「エルメリアの親族だよ。そんな悠長にしてないって」

姉と一緒にするのは、辞めて頂けませんか?アルフォンス様。
そう思い、アルフォンス様を見ると
「あ、なんか…ごめんなさい」
と謝られた。顔に、出てたかしら?

「マリア?…」
「いいえ、お姉様。私は何もしていませんわ」
「していましたわ。
 アルを怖がらせるなんて、私に喧嘩を売っているのかしら?」
「お姉様にそんな事をすれば、精神も肉体もボロボロになりますわ。
 そんな事になる前に、ここから退出してもよろしいでしょうか?」
「あなたは、何を言ってるの。それでもダメよ。
 呼んだのは、私ではないのだから」
「しかし、何かとお姉様と同類に扱われるのは、私にとっては拷問です」
「あなた……言うようになったわね」

案外、お姉様に言い返すのは楽しいものだと、この時初めて理解した。
ただそれは、アルフォンス様に矯正された後のお姉様というのが前提。
昔の時にやったら今頃、ここは大(嘘)泣きした姉がこの部屋の物を投げまくり、壁も絨毯もいろんなものでドロドロになった後、そこに飛び込んで服まで汚した状態で、部屋に来た大人に
「マリアに押されて…」
と言うまでが、私にとっては定番だった。

だから、
「お姉様も、泣かなくなりましたね」と返した。
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