貴方の✕✕、やめます

第115話

屋敷内での、婚約発表＆パーティーから3ヶ月後…
私はマリア・メルディアから、マリア・コーラルになった。
婚約期間3ヶ月での婚姻は、貴族間で大騒ぎになった。

だが…
「マリア、無理をしないでくれ」
「ラヴェ様、大丈夫ですわ。これくらい…」
「だが…」
「ラヴェ様、お仕事の時間ですが、行かれないのですか？」
「行く、行くが…」
「ご心配いりませんわ。
　この屋敷には、ラヴェ様の配してくださった、頼りになる方々が
　たくさんいらっしゃいます。
　ラヴェ様の信頼なさる方々が、守ってくださいます。
　ですから、安心してお仕事をしてきてください」
「う…分かった。行って来ます」
しょんぼりとしながら、玄関を出ていこうとするラヴェ様に
「いってらっしゃいませ。ラヴェ様」
と言って頬に口づけをする私。
そんなやり取りを、毎日繰り返すようになった。

その理由は…
あの夜の種が、芽吹いたのだ。

いま、私のお腹には、ラヴェ様のお子がいる。
だから毎朝、あの騒ぎなのだ。
「本当に、心配性になりましたね。御主人様は」
「本当にね。まさかこんなに心配するとは、思わなかったわ」
侍女とともに部屋に戻りながら、そんな事を話す毎日。

私は石女ではなかったと証明された。
ラヴェ様に初めて抱かれた、あの日の子だとすぐに分かった。
あの後も何度か抱かれ、気絶することは何度かあったが、あの日から1ヶ月後の月のものがこなかった。