貴方の✕✕、やめます

戒月冷音

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第138話

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「大丈夫か?」
スラヴェ様の声に、微笑みで答えた後、私はお姉様を呼んだ。

「どうしたの?」
「エルメリアお姉様。
 この方に、私がコーラル侯爵家でお世話になった経緯を、説明して
 差し上げてください」
「どうして、私が?」
「お姉様。
 お姉様があの日、私をスラヴェ様に会わせたのではなかったですか?」
「あら?そうだったわねぇ」

「「「「えっ!?」」」」
お姉様の言葉に、ファル夫妻とイルデアス侯爵夫妻が声を上げた。
そしてその後、お姉様がファル家の家の前に待ち伏せして連れ帰り、アルフォンス様からの願いを叶えるために動いたこと。
そして、アルフォンス様は大好きな叔父上が、ずっと気になっていた女性が、妻の妹だと知り、何とかならないかと日常的に話していたことなどを、話した。

「私はファル家を出た後、どこか知らない街か隣国にでも行こうと思っておりました」
「で、でも…」
「何故3年も、待ち続けたのか…知りたいのですね?」
「そ、そうです。私は戦地で彼に妻がいることは…「シラナイとは言わせない」
そこは、後ろで聞いていた国王陛下が声を上げた。
「へ、陛下」
「イルデアス侯爵」
「は、はい」
「俺は覚えているぞ。ファル騎士爵の婚姻式に、娘を連れてきていたのを」
「えっ!?えっと…それは…」
「その後、長男が家を継ぐ事が決まっているので、治癒が出来る娘を
 戦地に送りたいと言ったのは…奥方だったか」

私はその言葉に、この茶番劇の首謀者が分かった。
侯爵様は一度お話した。話の通る、しっかりした人だと思った。
こんな事を、娘にさせる人ではないと…
だったら、一人しかいない。
今、侯爵の後ろで、ブルブルと震えているイルデアス侯爵夫人しか…
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