貴方を忘れる

戒月冷音

文字の大きさ
172 / 176

第171話

その日、メイナがコルニア子爵家に、帰る時間になった。
メイナは遊び過ぎて、すっかり眠っている。

「今日まで、本当にありがとうございました」
コルニア子爵がデラクール公爵に、挨拶をする。
「いいえ。俺達ではなくマリア嬢とコンラートが、2人でやっていたからね。
 俺達は、成果を見せてもらったりしただけだよ」
「元妻の事で、たくさんご迷惑をかけてしまったのに、このよう、にメイナの事まで
 見ていただき、なんとお礼をしていいのか・・・」
コルニア子爵は、私にそう言った。

昔とは、本当に変わった。
今のコルニア子爵は、仕事をきちんとこなし、領地に出て領民と過ごし、使用人とも上手くやっている。
マグがニー侯爵家では、自分がしなくても良いじゃないかと言う考えがあり、仕事を任されても何もせず、その仕事は最終的に、私に回された。
気がついたら仕事が終わっているから、自分がしなくても良いと言う考え方に、なっていたのだった。

「クリーク侯爵にも、沢山お世話になり・・・」
「私はまだ、君に関わらせてもらうよ」
「はい?」
「せっかくここまで育てたのだ、最後まで面倒見るのは当然だからね」
「あ、ありがとうございます。
 頑張りますので、これからも、よろしくお願いいたします」
「そうだね。頑張らないと今度は、メイナが路頭に迷うことになるからね」
コンラートが横から、そんなことを行った。
「そ、そうですね。それだけは、回避しなければ・・・」
「本当に君は、変わったね」
「コンラート様にそう言ってもらえて、嬉しく思います」
「なにか困ったことがあったら、すぐに俺か父上に話してくれ。
 少し位は、力になるから」
ラートが、そんなことを言った。

「少し・・・なんですか?」
私がそう聞くと
「マリア。
 君にはもう、興味もないかもしれないけど、彼は君と婚約破棄した
 薄情者だよ。
 俺が、許せると思う?」
ラートはそう言いながら、私を抱き締つつ、コルニア子爵を見た。
「それは・・・本当に申し訳ございませんでした。
 あの事は自分の教訓として、これから償っていこうかと思っております。
 自分に、何が出きるかも分かりませんが・・・」
そこまで話したとき、私はラートの拘束を押し戻し
「何かを、返してもらおうとは思っておりません。
 ただ、メイナの事だけは、大切にして上げてください。
 私は、メイナのお世話が出来ただけで嬉しかったですわ。
 コルニア子爵様。私に貴重な体験をさせてくださってありがとうございました」
そう言って私は、このとき始めて、コルニア子爵に頭を下げた。

今まで、私にしてきたことを無しにしたとしても、私も彼に対して失礼なことを沢山してしまった。
それを全て、婚約破棄の罪滅ぼしにするには、余りにも酷すぎると思ったからだ。
感想 5

あなたにおすすめの小説

片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた

アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。 高校生くらいから何十回も告白した。 全て「好きなの」 「ごめん、断る」 その繰り返しだった。 だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。 紛らわしいと思う。 彼に好きな人がいるわけではない。 まだそれなら諦めがつく。 彼はカイル=クレシア23歳 イケメンでモテる。 私はアリア=ナターシャ20歳 普通で人には可愛い方だと言われた。 そんなある日 私が20歳になった時だった。 両親が見合い話を持ってきた。 最後の告白をしようと思った。 ダメなら見合いをすると言った。 その見合い相手に溺愛される。

真実の愛の裏側

藍田ひびき
恋愛
アレックス・ロートン侯爵令息の第一夫人シェリルが療養のため領地へ居を移した。それは療養とは名ばかりの放逐。 男爵家出身でありながら侯爵令息に見初められ、「真実の愛」と持て囃された彼女の身に何があったのか。その裏に隠された事情とは――? ※ 他サイトにも投稿しています。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで

狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。 一度目は信じた。 二度目は耐えた。 三度目は――すべてを失った。 そして私は、屋上から身を投げた。 ……はずだった。 目を覚ますと、そこは過去。 すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。 ――四度目の人生。 これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、 同じように裏切られ、すべてを失ってきた。 だから今度は、もう決めている。 「もう、陸翔はいらない」 愛していた。 けれど、もう疲れた。 今度こそ―― 自分を守るために、家族を守るために、 私は、自分から手を放す。 これは、三度裏切られた女が、 四度目の人生で「選び直す」物語。

「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした

ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?  ※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。

愛を乞うても

豆狸
恋愛
愛を乞うても、どんなに乞うても、私は愛されることはありませんでした。 父にも母にも婚約者にも、そして生まれて初めて恋した人にも。 だから、私は──

これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。 そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。 そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが “君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない” そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。 そこでユーリを待っていたのは…