この生の理

戒月冷音

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第273話

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湾刀は予定どおり、相手のふくらはぎを半分斬り、近くにある椅子に刺さる。
「うぐぅぁぁぁ」
足を斬られた男は、その場で崩れ落ち、痛みに耐え始めた。
俺は湾刀を引き寄せキャッチすると、男の喉に突きつけて
「静かにしろ」
と怒り全開で言った。

予想していたより低い声が出て、男はカタカタと震え出した。
「お前の所属は?」
こいつの顔は、見たことがある。
近衛師団の団長の近くに、何時も居た男だ。
「しょ、所属?」
「しらばっくれるな。マイクフェルと同じことしやがったな」
「ま、マイク。マイクフェルは?」
「あー・・・あいつと同じか。
 じゃあ仕方ない。ちょっと、情報提供してもらおうか」
そう言うと、かるーく首の後ろにチョップを入れた。
簡単に気を失った男は、隊服を着ていたこともあり、すぐに誰か分かった。

名前はコリン。マイクフェルの従兄弟。王都に住み、親兄弟と暮らす。
本家はマイクフェルの方で、こいつは分家。
本家を補佐する家系に生まれ、年も近いこともあって、マイクフェルを支えるための勉強をしたそうだ。
そして、数年前にマイクフェルの、専属従者になった。
だが、マイクフェルは辺境にいくと言い出した。
自分は王都にいたかったから、専属をやめた。
その後、辺境からマイクフェルが捕らえられたと連絡があった。
それを伝えてきた男から、マイクフェルを捕らえたやつは、ジョージと言う名前で、マイクフェルより弱いくせに、権力で押さえつけるやつだと聞いた。
今回のことも、マイクフェルの手柄を横取りしようとしてやったことだと、伝えたそうだ。

少量の自白剤で、ペラペラとしゃべったコリンは、そのまま治療され、医務室のベッドに寝かされた。
こいつはマイクフェルを助けようとして、クランベル侯爵に利用された。
マイクフェルは、辺境の規則を破ったから捕まった。
しかし、それを利用したと言うことは、あの場にあと数人、息のかかったものが居ると言うことだ。

俺はすぐに父上に連絡を取り、確認して貰う。
最悪、コー爺に頼んで片付けて良いとまで言った為、父上もすくにかかると言ってくれた。


そこまでが、北側観客席で俺がやったこと。
そして、ひと息つくと顔を上げ、闘技場の状況を確認した。

国王陛下とムスタファの王弟殿下は、ヴィルダ前公爵とアナスタシア様と話している間、ユーリに結界の魔石を使って貰っているし、西は片付けが終わった。
東も片付けに入ったし、クランベル侯爵とライナス・タンザ公爵は、1ヵ所に集められ、騎士の監視がついていた。

「何故私が、こんなことをされるのだっ」
タンザ公爵が叫んでいる。
俺は父上への通信を切り、東の観客席に向かった。
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