この生の理

戒月冷音

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第242話

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その後、申請書にサインをもらった僕たちは、撮影器具を持って闘技場に行く。
闘技場では、数人が場所をかりていたのだが、騎士団長の一声で皆退場した。
「良いんですか?追い出しちゃって」
「死にたいのなら、いて良いぞ。とは言ったぞ」
「それって、脅しじゃあ」
そんな話をしながら宰相様の撮影機器を設置し、予備で持っていた結界をはる。
「結界等、はらんでも・・・」
「あんなに一生懸命だったのですから、見せてあげましょうよ」
「ジョージ殿の、手の内を見せることになるぞ」
「手の内を気にするほど、本気になれれば・・・」
「はっ、言ってくれる」

それから僕達は、闘技場の中央で、手合わせを始めた。
さすがに、父上の相手をしていた事もあり、普通の騎士よりは強い・・・とは思うか、やっぱりそれだけだった。

父上が昔、言っていた。
王都の騎士は、相手が人と言うこともあり、攻撃が単調になると。
毎日決まった型を習い、体に染み込ませるが、本番にもそれが出るそうだ。
父上の言っていた通りだ。この数週間、見てきた騎士団の攻撃パターンが、全て入っている・・・打ち合いをしながらそんなことを思いだしていると、騎士団長が舌打ちをすると、何時もと違う動きを始めた。

「どうしたんですか?作戦変更でも?」
「ジョージ殿には、普段通りでは、効き目がないと気付きましてな」
「さっきまでのが、普段通りなのですね。何パターンかあるのかな?」
「相手に合わせるものでしょ、こう言うのは」
「ではさっきまでは、人相手・・・ということですか?」
「そうなるかな?」
「では、今は?」
「なんだろうな・・・獣?」
「僕は、獣ですか?」
「あ、いやそうじゃなくて・・・」
「分かっていますよ。では、獣のように動いてみましょうか」
「えっ?」
次の瞬間僕は動きを変え、武器を変えた。
「双剣か?」
「ですね。こっちの方が短くて、動きやすいんですよっ」
さっきまでより、動きが激しくなる。
「ちっくしょうっ!やっと追い付いたってぇのに・・・何て動きしやがる」

そんな感じで、三時間ほど打ち合っていると・・・
「ゼェゼェ・・・お、おれはもう、無理だ」
騎士団長が音をあげた。
「もうですか?」
「もっと若けりゃあ、まだ付き合ったんだが、年には勝てん」
「コー爺と、おんなじこと言ってる」
「コークス殿と同じ扱いなのは、嬉しい・・・嬉しいが、俺の方が30若い」
そう、自分で言いながら、立とうとするミカエル騎士団長を支える。

「ありがとう」
「いいえ。最後にたくさん遊べて、楽しかったです」
「そう言ってもらえると、俺もやったかいがあると言うものだ」
そう言う団長を支えながら、撮影道具を回収した俺は、騎士団長を部屋に運び、侍従に後を任せた後、マルガス宰相様のところに行き、撮影道具を返す。
「と、撮れたのか?」
「きちんと写っているかは、確認していませんが、結界の中にいたので、壊れてはいませんよ」
といって、その部屋を後にした。
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