この生の理

戒月冷音

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第136話

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「でもコレで、エリザベス王妃は手を出せなくなったということですよね」
兄さんが確認する。
「多分大丈夫だとは思うが、まだ保証できん」
「何故ですか?」
「あの女には別のルートが有る。それを止めるまでは油断できん」
「男関係ですか?」
コー爺の言葉に、僕が答える。

「そうだ。学園の時とは違い、操っては居ない分厄介だ」
操っていない。つまり魔石で魅了したのではなく、純粋に王妃のことが好きな人達。
ただし、好きだけなら良いがあの人が何をしているか分からないところが怖い。
「王妃が動くのなら予想がつきますが、外から動かれれば多分こちらが後手に回ります」
「それじゃあ。その人達…あぶり出せば良いんじゃないですか?」
「「「「ジョー?」」」」
「「ジョージ殿?」」
「えっ、だって今回王妃が関われなくなったのを大々的に公表すれば、
 会場で騒ぐ人がかならず居ます。その人から釣っていけば良いんですよ」
僕の案に皆がホーーッと納得していた。


その日はそのままお開きとなり、僕達家族は帰路についた。
本当に、困った女性に悩まされるのは、もううんざりなのだがこれがまだ終わらないと思うと、なんというか…
何でこんなに何も分かっていない女性が、国の中枢に関わり、自分の夢を叶えているのか分からなかった。
けれどそれが、その女性に惚れてしまったのが原因だということが分かってしまうと、愛や恋は国を収める者にとって本当に必要なのかと思う。

けれど、アーサーのような場合は違う。
本当に愛した女性が、しっかりと学び、婚約者を支えようと努力した人だったから良かった。
ただし、男のほうが魔石での魅了に負けて彼女の信頼を失ってしまったが、本人は取り戻そうと必死になっている。
それだけ、アーサーはリリーベル様に、惚れているということだ。
だから誰も、アーサーを責めようとしない。
それが出来るのはリリーベル様だけだと、全員わかっているからだ。

そう思うと僕は、アーサーがリリーベル様の信頼を手に入れるまで頑張ろうと思える。
魔石の影響で記憶があやふやになっている部分を補えば、僕と同じ判断か、それ以上になるはずだ。
僕はある意味アーサーを信じているから、ぜひとも頑張ってもらいたい。

そうして色々考えながら家につくと、母上とマジャ婆が待っていてくれた。
「どうでした?あなた。ジョーは今のままですわよね」
「セラス。ジョーは、守ったのであろうな」
そう言って父上に詰め寄るアドルファスの女性は、なんとも頼もしく、リリーベル様と同じく信頼すべき女性ばかりだった。
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