この生の理

戒月冷音

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第178話

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その時
「プッ…」
と、吹き出した人が居る。

「父上~」
「いや、すまんアーク」
「笑っちゃ駄目ですよ」
「でも、笑うのは許してくれ」
アーサーまで、そんな事を言う。
「ちぇっ…結局、兄さんしか、僕のことを気にしてくれないんだ」
「ちがっ、違うぞジョージ。父だって心配したんだ」
「でも笑ってる…」
「それは…ジョージらしいな…と」
「俺らしい?」

「お前は、家に来てからも、俺達に線引いてただろ。
 まぁそれが、俺の祖母様やあの男に関係しているのは流石に気付いては居たが、
 俺がどうこう言えないだろう。
 でもどこかで、吐き出してもらわないと…と思っていた」
こんなところで、父上の気持ちを聞けるとは思わなかった。
「そうなんだ」
「お前の父だぞ。お前と同じ悩みを持ったことだってある」
「いつ?」
「婚約者を選ぶときだな。
 ある程度の貴族は、父上…コークスとマージャの双子のことを知ってたし。
 釣書に付いてきた文章に、イライヤという言葉がない家は少なかったから」
「あぁ~…それ分かる。
 僕が何処かに行くと、イライヤに関連する人が寄ってくる」

すると突然、アーサーが、
「確かに…
 そう言えば、俺の父上が言っていたが、近頃イライヤの国から
 人が流れてきていると、言っていたな」
突然、国の問題が暴露された。
「国王陛下が?」
「あぁ、貴族ではなく、平民が多いみたいだけど」
「父上、それって不味くないですか?」
「不味い。
 何があったか知らないが、国に対しての人口はイライヤのほうが多いんだ」
「この国、乗っ取られますね。気がついたら人種が変わってたりして」
セルドギアスは肌が黄色っぽい人種で、イライヤは肌が少し黒い。
割と、晴れが多い地域が多いからではないかと言われている。
逆に、日当たりが少ないムスタファは、肌が白い人種だ。

僕はどちらかと言うと、セドルギアスの肌色に見えるが、ちょっと違う。
日に焼けるとよく焼けるし、当たらないと直ぐに焼けた肌は戻っていく。
イライヤとムスタファの特徴が、残っているのだ。
ただ、イライヤの人種が増えると、日に焼けない時のリスクが高くなる。
日に焼けないイライヤの人は、皮膚病にかかる確率が増える。
皮膚病は元々、日に焼けることを前提に形成されていた体が、
日に焼けないことで、今まで作り出されていた組織が作られなくなることが
原因で起きるもの。
そしてその治療薬は、イライヤにしかないのだ。

「薬にかかる費用が、かさむことになりますか?」
「まだそこまで入っていないが、用心に越したことはない」
「そうですね。国の方でも準備しておきます」
「頼んだ」
そのやり取りを見ていたアーサーは、何故か羨ましそうだった。

俺は極力、自分一人では決定せず、色んな情報を仕入れ、吟味してから結論を出す。
そうしてアーサーの代わりをしてきた。
アーサーが僕が引き継ぐ以前にしていたのは、自分一人で判断し結論を出す。
自分に一番負荷がかかる、最悪なやり方だ。
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