この生の理

戒月冷音

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第239話

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次の日の朝。
騎士団からの報告により、10人程度の刺客が、地下牢に溜まった事を知った。
やっぱり、アーサー、もしくはリリーベル様を狙って来た者たち…というのは調査済み。
アーサーを始末しに来た者は、その罪を僕になすりつけて、逃げようとしていたらしい。

しかし
「あの腕じゃ、ジョージ様に返り討ちにあって、終了でしょうね」
「よく、あんな弱っちぃ奴らを、仕向けたもんだ」
「そうですよ。クラウスさんなんか、武器無しで相手してましたし」
「なんか、魔石使ってるやつもいたんっすけど、効果が弱っちかったです」
騎士団からの報告に、父上とコー爺は呆れるしか無い。

「甘く見られたものだな」
「獣で満足している奴らを送られても、こうなるだけだ。
 まぁ、後は、自白剤で終わりだけど」
「また、使うのか?」
「当たり前だろ。しっかり喋ってもらった後、きちんと家に送らないと」
「お前もしっかり、アドルファスになったな」
「面は辺境伯、裏は汚れ者?」
「バカモノ。裏は掃除屋だ」

アドルファスはよく、そう言われる。
何か起こった後は、アドルファス家が片付けることが多い。
けれど、起こったことよりもっと多くのことを片付け、サッパリさせてくれることから、掃除屋と言われる。

「今回も王城につくまでに、何人か片付けるだろうし、
 ムスタファも、何しに来るんだか…
 いらん事をすれば、全てキレイにしてきますよ」
僕がそう言うと
「頼む。
 今は死者が出たせいで、ここが落ち着かないから、俺とアークは動けん」
と、父上が頭を抱える。
「仕方ないよ。
 森の中で血が流れたら、その場所が魔獣寄せになることを知ってるのは、
 一部のものだけだし」
「血は、魔獣にとって、いい匂いらしいからなぁ」

コー爺の言う通り、人間の血は魔獣にとっては甘露。
甘くて美味しい、液体なのだ。
「儂らには鉄の匂いだが、魔獣にはジュースなのだから仕方ない。
 飲みすぎたものが出んようにせんと、人間が食い荒らされるからなぁ」
そんな話をしていると、アーサーとリリーベル様についていた侍従と、侍女から、準備ができたと知らせが入った。


「それじゃあ後は、荷物を馬車に積んで、馬の準備ができたら出発ですね」
「お前の準備は?」
「僕?もうとっくに、終わってますよ」
「持っていくものは?」
「服、数日分と、お金と必要書類。後は…武器装備ですね」
「もう身につけておるのか?」
「はい。準備はできておりますから」
僕がそう言った時、扉が開き
「ジョージはここか?」
とアーサーが顔を出した。

「準備できた?」
「終わった。荷物の積み込みも、終わった」
「リリーベル様は?」
「今、最後の確認をしている」
「それじゃあ、それが終わったら玄関に…」
「分かった連れていく。そんじゃまた後で」
「あぁ…」
そうして、勢いよく外に出ていくアーサーを見ていた父上が
「少し、しっかりしましたね」
と呟いた。
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