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第168話
謁見室に近づいてくると、声が聞こえてくる。
「父上っ、母上を止めてください」
「なぜだ?」
「私の稼ぎを、全て使ってしまわれるのです」
「ほぉ、お前がプレシャスにしていたことだな」
「う゛っ・・・ですが俺は、あそこまで、ひどくは・・・」
「自分の事には、甘くなる・・・まだまだだな。なぁ、クウィール」
そう・・・声をかけられ、私とウォルツ様は中にはいった。
「えぇ、本当に・・・」
思いの外、覚めた声が出た。
ウォルツ様にエスコートされながら、ゆっくりと進んでいく。
「大丈夫か?」
小さな声で話しかけてくるウォルツ様は、気がついている。
私の足が、進むことを拒んでいる。あの男の近くに行きたくないと、からだ自体が拒否しているのだ。
「ク、クウィール?お、伯父上!?」
振り替えって、そう言うジャイルズ様を見た瞬間、足が止まってしまった。
するとウォルツ様は、さっと私を横抱きにすると、すたすたとジャイルズ様の横を通り、アマリリス様の横におろしてくださる。
「ありがとう、御座います」
「あんなところで止まっても、良いこと無いだろう」
「そうですね」
そう話していると、後ろから
「お、お前は・・・プ、プレシャスじゃないのか?」
と私を指差しながら、ジャイルズ様が、わなわなと震えている。
プレシャス嬢は、亡くなっていたと国内に発表され、私がやっていたプレシャスは、アングリューイ公爵が用意した影武者と発表した。
自分の娘を弔わず、王家に影武者を嫁がせて、罪を隠そうとしたアングリューイ夫妻に批判が集まり、そのまま刑が執行された。
その後影武者は消え、アリスメリア様とジャイルズ様の刑が、発表されたのだった。
私はその間、ミルカとして過ごしていたが、クウィールとして生きても良いといわれた私は、今元夫の前で、皇弟の娘として立っている。
「父上っ、母上を止めてください」
「なぜだ?」
「私の稼ぎを、全て使ってしまわれるのです」
「ほぉ、お前がプレシャスにしていたことだな」
「う゛っ・・・ですが俺は、あそこまで、ひどくは・・・」
「自分の事には、甘くなる・・・まだまだだな。なぁ、クウィール」
そう・・・声をかけられ、私とウォルツ様は中にはいった。
「えぇ、本当に・・・」
思いの外、覚めた声が出た。
ウォルツ様にエスコートされながら、ゆっくりと進んでいく。
「大丈夫か?」
小さな声で話しかけてくるウォルツ様は、気がついている。
私の足が、進むことを拒んでいる。あの男の近くに行きたくないと、からだ自体が拒否しているのだ。
「ク、クウィール?お、伯父上!?」
振り替えって、そう言うジャイルズ様を見た瞬間、足が止まってしまった。
するとウォルツ様は、さっと私を横抱きにすると、すたすたとジャイルズ様の横を通り、アマリリス様の横におろしてくださる。
「ありがとう、御座います」
「あんなところで止まっても、良いこと無いだろう」
「そうですね」
そう話していると、後ろから
「お、お前は・・・プ、プレシャスじゃないのか?」
と私を指差しながら、ジャイルズ様が、わなわなと震えている。
プレシャス嬢は、亡くなっていたと国内に発表され、私がやっていたプレシャスは、アングリューイ公爵が用意した影武者と発表した。
自分の娘を弔わず、王家に影武者を嫁がせて、罪を隠そうとしたアングリューイ夫妻に批判が集まり、そのまま刑が執行された。
その後影武者は消え、アリスメリア様とジャイルズ様の刑が、発表されたのだった。
私はその間、ミルカとして過ごしていたが、クウィールとして生きても良いといわれた私は、今元夫の前で、皇弟の娘として立っている。
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