貴方の花

戒月冷音

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第5話

それから数か月後、学年別で行われた中間試験で、私は全科目首位をとった。
クロールフ殿下とのお茶会もなくなり、側近の方達から呼び出されることもなくなった私には、沢山の時間が勉強に回り、実に有意義な時を過ごした。

そして殿下は
「なぜ俺が、6位なのだっ」
と、公衆の面前で大々的に発表していた。
その取り巻きの方々も、殿下より順位が下であったことに、ほっと胸を撫で下ろしていたが
「クロ。何で、スノウローズが1位なの?何か、変な手でも使ったのではないの?」
と大きな声で言った。

自分の順位・・・83は、とっても小さいお声でしたのに。

「なんだと?スノウローズ・・・は、どこにいる?」
「あら?先ほどそちらに・・・って、いらっしゃいませんわ」
クスクスクス・・・
「ばれないように、お隠れになったのかしら?ねぇ、クロ」
「そうだなぁ。後で教師に、確認にでも行こうか?」
「そうですわね。どんな不正を、行ったのかしら?」
そう言いながら、私とは逆の方に歩いていく集団を確認して、私はいつもの場所に行く。

ここは、旧校舎の中庭。
お父様が通っておられた当時、使っていた校舎がそのまま残っていて、その中庭には国王陛下のお父上・・・前王陛下がお植えになった薔薇が、今も咲いている。
ダマスクローズは、王宮にしか植えてはならない。
だからその代わりに、沢山の種類の薔薇をこの中庭に植えて、前王妃殿下にお見せになっていたのだとか・・・

「貴方のご先祖は、婚約者様を大切にされていたのに・・・」
そう言いながら私は、その庭にある大きな木の下にシートを敷いて座り、本を読む。
誰の声も聞こえない、静かな時間が、いつもそこにあった・・・

「失礼いたします・・・うわぁっ、ここは、このような場所だったのですね」

突然聞こえた声に顔を挙げてみると、そこにいたのはダニエル殿下。
「ダニエル殿下。お久しぶりでございます」
私は立ち上がり、挨拶をする。
「気にしないでください。座っていただいて大丈夫ですよ。
 たまに、旧校舎に向かわれるお姿を、お見かけしていたので、来てみたのですか・・・
 このように、美しい場所があったとは、驚きです」
そう言って笑う、ダニエル様。

たしか、噂を国王陛下にお伝えしたのは・・・

そう思ったのと同時に、ダニエル様の表情が変わる。
いつもの、ヘラヘラした年下の男の子ではなく、真面目な・・・クロールフ殿下より少し幼いが、意思を持ち、しっかりした男性の顔になった。
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