貴方の花

戒月冷音

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第12話

この国の貴族の花印は、一度全て国王の元に集まる。
国王は自分の子供から種を取り、王の加護を経て、本人から相手に渡される。
相手は、本人の指示した場所にその花が咲くように植え付け、種はその場に根を生やす。

他の貴族達も同様に、種を回収し、国王陛下に一度お預けする。
その後、加護を付与してもらい、帰ってきた種を、婚約者に植えるのだ。

だから咲いた花は美しく咲き誇る。
本人に愛され、王の加護があるからこそ、それは綺麗なのだ。

しかし、加護がなければ、醜くなる。
王が認め、本人が認めたからこそ、大輪となるのだ。

それを知らないカサンドラは、加護のない種を植えられて、嬉しそうだった。

おそらく胸の右の谷間。少し赤く腫れている場所が見えるように制服を崩している。
私から見ればはしたないのだが、彼女は気にしないようだ。

その後、クランド公爵令息が持ち帰った情報のお陰で、私は解放されたが、数日後には殿下を閉じ込め、カサンドラ様を泣かせたという噂が、一つ追加された。


クロールフ殿下はそれから一週間、執務室に缶詰になった。
一年以上提出しなかった書類まで出てきたこともあって、国王陛下がお怒りになったのだ。
それと同時に、この時期に私は、王太子妃教育が完全に終わり、私は日々の執務以外から解放され、時間が余るようになった。
時間が余り、両親と買い物に出たりしていると、直ぐにクロールフ殿下の側近候補が近づいてきて
「貴方は何故、こんなところで遊んでいるのですか?
 クロールフ殿下は、仕事に追われているというのに・・・」
等と、難癖を付けてくるようになった。
その時は、ルウィード公爵令息。
そのまた別の日には、アルザイル公爵令息と毎回違う。


そして、次の週に学園に行くと、私の教室にいるクロールフ殿下に、全員揃って会いに来るという、めんどくさい事がおこっていた。
「クロ。おはよう。今日から会えて嬉しいわ」
「あぁ、俺も嬉しい。カサンドラをこの腕に抱けるだけで」
「私もっ」
そう言って深く抱き合う2人は、必ず私に視線を向ける。
羨ましいだろうと言いたげに、揃ってニヤリと笑うのだ。

全く、羨ましくないんですが。
どっちかちと言うと、鬱陶しくて邪魔。

私は自分の席に着き、本を開く。
教室の最前列で、イチャイチャする姿を、教室に入ってくる生徒全員がしっかりと見る。
そして私を見て、憐れみの目を向けるのだ。
しかし、私が平然としていると、皆、慌てることなく席に着いていく。

そこまで来るとクロールフ殿下の集団も、諦めたかのように席を立ち、自分達の教室に戻っていく。
そして何故か、もうすぐで先生が来ると分かっているのに、殿下はカサブランカ様を送っていくのだ。
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