貴方の花

戒月冷音

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第18話

それから1ヶ月後、私達は卒業を向かえた。
私達は学園で卒業式を行い、一度帰ってドレスに着替え、王宮のホールで卒業パーティーを開く。
私達は卒業と同時に社交界にデビューするため、このパーティーがお披露目となるのだ。

「ではこれより、卒業をお祝いした舞踏会を開きます」
その宣言で始まった会のはずだったのだが、突然、ホール中央で大きな声が響いた。

「スノウローズ・ロウクスト伯爵令嬢。俺の前に来いっ!」

そう声が聞こえた時私は、他の婚約者の方々と談笑していた。
「始まるようですね」
「スノウローズ様?」
「大丈夫ですか?」
「皆、集まっておりますが・・・」
そのように心配してくださる、婚約者の皆様。
「大丈夫ですわ。これで全てが終わります。皆様、良く見ていてくださいね」
そう伝えた私は、ゆっくりと、そして堂々とした態度で、クロールフ殿下の前に立った。


「召還により参りましたが、何のご用でしようか?」
私のあまりにも堂々とした態度に、クロールフ殿下が少し怯む。
「ロウクスト伯爵令嬢、お前との婚約を、今ここで破棄することを
 ここに宣言する」
自分の発言に酔ったような言い方をする、クロールフ殿下が気持ち悪い。
「その理由を、お聞かせ願えますか?」
「理由だと?それも分からぬ女が、俺の妻になるなど吐き気がする」
「分からないから、そう申しただけでございます。
 なにもしていない私が、どうして破棄されるのでしようか?」
「そんなに言うなら教えてやる。
 お前は、カサブランカを、何も出来ない女だと罵っただろ」
「私は、カサブランカ様が何をしているのかを、知りません。
 そのような方の何を?私が出来ないと言ったのでしょうか?」
「彼女のクラスを聞いて、罵ったのだ」
クラスを罵るなどあるはずがない。
クラス分けの基準は、学園が決めたものだ。

「いいえ。罵ってはおりませんわ。
 皆が知る、階級の分類を、説明しただけでございます」
「それを罵っていると「それは正論をのべているに過ぎません。
 実際彼女は、ほとんど教室にはおられませんでした」
「だから何故そうやって、彼女を見下すのだ。俺はそれが嫌だ」
「嫌と言われましても、実際私の爵位は彼女より上でございます。
 それに、殿下も私より上ですから、そのように私を見下すのですわね」
私の言葉に殿下は、はたと気付いたようだ。

自分も相手を下に見ていたことを、今さら理解したクロールフ殿下。
しかし、彼がゆっくりとカサブランカ様を見ると、カサブランカ様はそっと、クロールフ殿下の頬に手を当て
「私は大丈夫よ」
と言った。
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