貴方の花

戒月冷音

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第32話

突然、クロールフ殿下とその側近達、そして宰相の息子とカサブランカ様に対して、ゴミと言った王妃様は、とても冷ややかだった。

「ゴミ・・・なのか?」
陛下が、確認すると
「えぇ、ゴミですわ。人の物を取り合い、醜い争いをする。
 そんな人が、次期国王であるはずがなく、国民の前に出すのも
 恥ずかしい存在ですから、ゴミで良いのです」
はっきりと、そう答えた。
「・・・まぁ、それは良いが」

良いのですか?国王陛下。後ろで、真っ青になっている方々がいますが?

「クロールフはこの後、その女の家に婿入りする形で、平民となる。
 そして、クランド公爵令息とアルザイル公爵令息、メイサード公爵令息は、
 その女の愛人として、同じ屋敷にはいれ」
「「「「はぁ?」」」」
男達の、間抜けな返事が響く。

「あの、父上」
「国王陛下と呼べ。クロールフ。お前は、男爵となるが一代限りだ」
「なっ!?それは何故?」
「まだ、分からんのか。
 お前は、王家の青いバラを消し、黒いバラを作った。王家にとっては、呪われた者だ。
 そのようなものを、王家においておくはずもない。
 お前は一代男爵となり、そこの女と、男三人を養うことになる」
「何故?アーロン達まで?」
「同じ女で繋がった、兄弟だからだ」
「カサブランカと・・・」

「黒いダマスクローズは、同じ土台に咲いた花の精を記憶する。
 その土台に咲いた花印の持ち主が、他に種を蒔こうとしても、外へは行かさぬ力を持つ。
 つまりお前達4人は、そこの女から離れることは出来ないのだ」
「それが・・・呪いなのですか?」
「あぁ、不貞を犯した王族と同じ土台に咲いた花は、
 その生が潰えるまで、ダマスクローズに貢ぐ・・・
 それが、女王が最後に残した呪いだ。
 お前には、王太子教育で教えたはずだが、聞いてもいなかったようだな」
「いいえ。俺は聞いては「お前が、そう思っているだけだ」
そう話を切り上げると、国王陛下は王妃様に
「これで良いか?」
と確認した。

「は、母上?」
クロールフ殿下がそう呼んでも、答えない王妃様。
王妃様は扇で口許を隠したまま、クロールフ殿下ではなくカサブランカ様を見下ろしていた。
「あ、あの、母上?どうされたのですか?」
「貴方は・・・こんな女が、良かったのですか?」
「えっ・・・」
「こんな・・・
 学園の卒業と言う祝いの会場に、娼婦のような格好をしてくる女が・・・
 クロールフの好みだったのね」
「ち、ちがっ・・・」
「違わないでしょう。実際貴方の花印が、全身に行き渡っているのよ」
王妃様の言葉の通り、黒いダマスクローズは肩から胸、背中にかけて花開いている。
そこから延びる棘は足まで延び、手にも巻き付いていた。
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