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第二章 25年後
数か月後・・・4
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「ユーリウス様と、ジュリア様の護衛として、俺を使ってくれませんか?
そうすればアレスも、クラウド殿の近衛として、すぐに王都に行けます」
突然のクリストファーの提案に、ユーリウスは少し考えてから
「今の仕事などは、大丈夫なのですか?」
と聞いた。
「アレスっ、ちょっとこっちに来い」
クリストファーが呼ぶと、アレスはすぐに、2人の元にやって来る。
「何か、あった?」
「お前、今やってる仕事あるか?」
「仕事・・・マルコス領の警備には、入ってるけど・・・」
「それだけか」
「あぁ。今の時期は討伐もないし、あるとすれば・・・」
「うちの護衛、ぐらいですね」
そう言って、ジェファーソン殿が顔を出した。
「ジェフ、どこに行ってた?」
「騎士団に」
マルコス男爵家の隣には、騎士団の宿舎が建っている。
この辺境の地の貴族は、皆で協力して騎士団を運営しているので、マルコス男爵家は立地の都合上、連絡係を引き受けていた。
だから、ジェファーソン殿は、騎士団に顔が利くのだ。
「まさか・・・」
「騎士団長は、嬉しそうにしてましたよ。
アレスの腕は、騎士団中が認めておりましたので、本人が
うんと言わないと、嘆いておりましたから、ちょうど良かったです」
「アレス。お前、仕事断ってたのか?」
「断ったのは、遠出する分で、他は全部受けてる」
「遠出ぐらいしろよ」
「やだし・・・帰れねぇじゃん」
そんな2人を見ていたユーリウスは、席を立ち家族の傍に行くと、メイナに声をかけた。
「メイナ様」
「はい」
「今あちらで、お父上と兄上が、私の家の護衛として
雇われようとしているのですが・・・」
「えっ!?それ、本当ですか?」
「はい。ですが、メイナ様と離れてしまうことになるのですが・・・」
ユーリウスは家族が離れてしまうことを心配して声をかけた。
しかし、
「2人が行くと言うのであれば、わたしは止めません。
むしろ、そうしていただいた方が、お父様も元気に過ごせますし、
何よりお兄様が安心して、仕事に就くことが出来ます。
それに・・・お母様だって、そうした方が良いと、言うような気がします」
彼女にとって母親は、サンディだけ。
だから、お母様と呼ぶのだそう。
「どっちかと言えば、自分にとらわれず仕事に、精を出しなさいと
言うと思います」
「確かに・・・サンドラ母上が、言いそうなことだ」
「でしょう。兄さんには、私が言っても聞かないから、父さんと一緒に
仕事してくれてる方が、わたしは安心できます。
そして、本決まりになったら、2人をこき使ってやってください」
「おいっ!メイナっ!お前、なに言ってんだよ」
「お兄様も少しは、お父様やお母様の気持ちを知ればいいのです。
心配だー、心配だーと言いながら、結局なにもしないのですから」
メイナがそう言うと、サンディが心配だーを繰り返し始めた。
「そうよ。そんな感じ」
「メイナお姉様。わたし、上手でしょ」
「えぇ、取っても上手」
ふふふっと笑うメイナと、アハハっと笑うサンディ。
「では、サンディお嬢様が嫁ぐまで、わたしは元気で居ましょうかね」
クリストファーがポソッと言ったその言葉に、メイナとアレスはビックリして振り返った。
「ど、どうした?お前ら」
するとメイナが、泣き出しそうな顔をして
「やっと、お父様が前を向いたこと、言ったぁー」
と言いながら、泣き出した。
隣に居たジュリア様が、肩をさすると
「ジュリア様ぁ」
と言って、膝に突っ伏してしまった。
そうすればアレスも、クラウド殿の近衛として、すぐに王都に行けます」
突然のクリストファーの提案に、ユーリウスは少し考えてから
「今の仕事などは、大丈夫なのですか?」
と聞いた。
「アレスっ、ちょっとこっちに来い」
クリストファーが呼ぶと、アレスはすぐに、2人の元にやって来る。
「何か、あった?」
「お前、今やってる仕事あるか?」
「仕事・・・マルコス領の警備には、入ってるけど・・・」
「それだけか」
「あぁ。今の時期は討伐もないし、あるとすれば・・・」
「うちの護衛、ぐらいですね」
そう言って、ジェファーソン殿が顔を出した。
「ジェフ、どこに行ってた?」
「騎士団に」
マルコス男爵家の隣には、騎士団の宿舎が建っている。
この辺境の地の貴族は、皆で協力して騎士団を運営しているので、マルコス男爵家は立地の都合上、連絡係を引き受けていた。
だから、ジェファーソン殿は、騎士団に顔が利くのだ。
「まさか・・・」
「騎士団長は、嬉しそうにしてましたよ。
アレスの腕は、騎士団中が認めておりましたので、本人が
うんと言わないと、嘆いておりましたから、ちょうど良かったです」
「アレス。お前、仕事断ってたのか?」
「断ったのは、遠出する分で、他は全部受けてる」
「遠出ぐらいしろよ」
「やだし・・・帰れねぇじゃん」
そんな2人を見ていたユーリウスは、席を立ち家族の傍に行くと、メイナに声をかけた。
「メイナ様」
「はい」
「今あちらで、お父上と兄上が、私の家の護衛として
雇われようとしているのですが・・・」
「えっ!?それ、本当ですか?」
「はい。ですが、メイナ様と離れてしまうことになるのですが・・・」
ユーリウスは家族が離れてしまうことを心配して声をかけた。
しかし、
「2人が行くと言うのであれば、わたしは止めません。
むしろ、そうしていただいた方が、お父様も元気に過ごせますし、
何よりお兄様が安心して、仕事に就くことが出来ます。
それに・・・お母様だって、そうした方が良いと、言うような気がします」
彼女にとって母親は、サンディだけ。
だから、お母様と呼ぶのだそう。
「どっちかと言えば、自分にとらわれず仕事に、精を出しなさいと
言うと思います」
「確かに・・・サンドラ母上が、言いそうなことだ」
「でしょう。兄さんには、私が言っても聞かないから、父さんと一緒に
仕事してくれてる方が、わたしは安心できます。
そして、本決まりになったら、2人をこき使ってやってください」
「おいっ!メイナっ!お前、なに言ってんだよ」
「お兄様も少しは、お父様やお母様の気持ちを知ればいいのです。
心配だー、心配だーと言いながら、結局なにもしないのですから」
メイナがそう言うと、サンディが心配だーを繰り返し始めた。
「そうよ。そんな感じ」
「メイナお姉様。わたし、上手でしょ」
「えぇ、取っても上手」
ふふふっと笑うメイナと、アハハっと笑うサンディ。
「では、サンディお嬢様が嫁ぐまで、わたしは元気で居ましょうかね」
クリストファーがポソッと言ったその言葉に、メイナとアレスはビックリして振り返った。
「ど、どうした?お前ら」
するとメイナが、泣き出しそうな顔をして
「やっと、お父様が前を向いたこと、言ったぁー」
と言いながら、泣き出した。
隣に居たジュリア様が、肩をさすると
「ジュリア様ぁ」
と言って、膝に突っ伏してしまった。
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