人の心の裏表

戒月冷音

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第28話 レイノルズ side

夕食を終え、俺は子爵と明日の打ち合わせをしていた。
しかし、子爵はまだルキアの事が信じられないようで歯切れが悪い。
「すみません。ルキア君がそんな事をしていたなんて思えなくて」
「エドの話によればすんごい猫かぶりらしいですね」
「猫…ですか?」
「ええ、彼は貴方の前では真面目で気遣いのできる好青年でしょ」
「そうです。ですから信じられなくて…」
どうしたら信じてもらえるか。

そう考えた時
「ご主人様」
とアンナが声をかけてきた。
「ん?」
「指示通り、客間にお通ししました」
「了解」
「それで…」
「どうした?」
「あの、本当は駄目なのですが。お部屋から聞こえたので、今でしたらまだ間に合うかと…」
部屋から?…もしかして母親に…
「アンナ、ありがとう。子爵、ついてきて下さい」
「わかりました」
そのまま部屋を出て客間に向かう。

初めて会った時彼女は、無表情で淡々とあの事を話していた。
悲しそうでも辛そうでもなくただ見たままをそのままに…
その後俺を心配してくれたが、その後酒の力で眠ってしまった。

そんな事を思い出しながら客間に近づくと声が聞こえたきた。

「……何で知ってるんだろう…と見てたら、ルキア様が……迎え入れたの」
「信じられなかった。私の家よ。二人には他人の家…人払いも、してあった。誰も、いないの。
 そこに響くの……二人の、声が「もういい!!」
「私は、あの人の為に頑張ったのっ。伯父様にも堪えた。伯母様の理由の分からない教えにも、領地経営の勉強も何もかも絶えてきたのっ。なのにっ!なんで…」
うわあああ…

その後俺と子爵は、その場から動けなかった。


暫くして扉が開き夫人が顔を覗かせ、呆れたように手招きをした。
俺と子爵が中に入るとエリス嬢がソファーでねむっていた。
「泣き疲れてしまいました。お湯の準備までして頂いたのですが…申し訳ございません」
夫人がそう言うが頭を振るしか出来ない。
「…ベットに、運んでも?」
そう夫人に確認すると
「そうして頂けると助かります」
と言って頂けたのでソっと彼女を抱き上げた。

頬に涙が流れる…
ゆっくりと歩きベットサイドに立つと彼女をそっと寝かせた。
服の袖で涙を拭き取り、小さな声で
「おやすみ…」
と耳元で呟く。
そして静かに部屋を後にした。

その間夫人は子爵に縋り泣いていた。声を殺して…
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