知性を与えられた猫たちは何を見る?

ChamalSei

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第2章 境界線の向こう側

知性を与えられた猫たちは何を見る? 第32話

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男が数名、話をしながら部屋に入ってくる様子が伺えた。そのうちの一人が部屋に入り、ドア付近にある段ボール箱に気付く。

「何だ?これ?」

コタローが前に進み出て言った。

「○○社からモニターとして送られてきたロボット、私はユニットID001・・・。秋月先生のお手伝いをさせていただきます。」

秋月は、コタローを抱きかかえてまじまじと見て、確認し始めた。

「で・・・これは何だ?猫?!」

男の一人が、デスクの上の茶丸を見て驚いて言う。
茶丸は置物のように手足をピンと伸ばした姿勢で毛一本すら動かさない。

「はい、それは超高級猫型癒し系ロボットです」

茶丸が身を固くする。

「ふーん、よくできてるな。秋月さん、これ、どうします?」

「いらん。」

「ならば、私が捨ててきましょう。」

コタローはそう言って、手足をまっすぐに伸ばしたままの茶丸を抱え、部屋を出ようとするが、秋月はそれを止め、

「待て。お前はもう少し調べたい。」

そう言って茶丸を元の段ボールに入れて、眼鏡をかけてコタローの詳細を調べ始める。
「マズい、コタローを助けなきゃ」

茶丸は段ボールから、こっそり抜け出し、秋月のいる場所から離れた位置にあるデスクに近寄り、デスクの上にあるノートPCの傍に座った。

「セイくんほどじゃないけど、僕だってこれくらいは出来る」

そう言ってタッチパネルに肉球を滑らして操作し始める。
画面にはカレンダーアプリが起動してる様子が映し出された。茶丸は

「新規予定、今日、時間、1分後、アラーム、オン、音量、最大…っと」

と呟き、PCから離れる。そして、ソロソロとドアに向かい、部屋を出た。
しばらくすると部屋中にアラーム音が鳴り響いた。

「何だ、一体…」

秋月はコタローを調べていた手を止め、アラーム音のする端末へと向かった。

その隙にコタローは逃げ出そうとしたが、ドアは秋月の近くにあり簡単には逃げ出そせそうにもない。咄嗟にコタローは背中のパネルを開いて犬のぬいぐるみを出して、それを頭から被った。

秋月がコタローのいた場所に戻ってきた。

「ん?どこに置いたかな…」

秋月はコタローの姿を探して見回したが、見当たらない。
ふと、傍のデスクにある耳が変な方向に曲がった犬のぬいぐるみが目に入った。

「なんだ、これもあったのか」

そう言って秋月はそれを段ボールに放り込み、コタローを探し続けた。
その隙にコタローはそっと段ボールから抜け出し、ドアの外へと進んだ。
外には、茶丸と、すでに一足先に作業を終えて部屋を出ていたセイくんが待っていた。

「よし、任務完了」

「スーパーキャットとスーパーロボットだからね。」

「急ぎましょう」

茶丸とセイくんが廊下を走りだした。

その後ろでコタローは一瞬止まり、

「あれ?なんか変だな・・・気のせいか?」

と呟いたが、すぐに

「待ってくださいー!」

と彼らを追いかけ、2匹とロボットは来た道を戻って行った。
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