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第一話:選ばれし七名。
05選ばれし七名。
しおりを挟む「さて、君達にはこれからそれぞれの神社へ転移してもらう。向こうに無事に着いたらこれで連絡を取り合おう。使い方はチュートリアルに記載してある。画期的だろう?」
そう言って配られたのはタブレット端末だった。
(こんな高価な物を……いいのかな?)
手で持つだけでも妙に緊張してしまう。
こんなに高い物、手にした事すら無い。
紗紀は恐る恐るそれを受け取り、落とさないように抱きしめた。
「因みに電波が違うからケータイは使えない。連絡手段はそれだけだ。大事にしてくれ」
(そんなプレッシャーを与えないで欲しい)
「では君達から行ってもらおう。白花さん」
そう名前を呼ばれて弾かれたように政府の男へ視線を向けた。
(ああ、そっか。さっき契約書にサインしたもんね。それにしても……一番最初だなんて。少し、いやかなり怖い。この転送は上手くいった上での転送?それともこれが既に初めての実験だったりして……)
ドクドクと心音が速まっていくのが自分でも分かる。足はまるで床に縫い付けられたかのように動かない。
「大丈夫だよ。俺も一緒だから」
繋がれたままだったらしい手に、少しだけ力を込められてぎゅっと握られた。
その手はひんやりと冷たいのに、妙に安心する。
(そうだ。一人では無い。だからきっと、大丈夫)
すっと深呼吸をして、転移装置へ促されるまま向かった。
「頑張ってね」
そう声をかけてくれたのは良くハキハキと質問していたあの女性だった。
声をかけてもらえた事が嬉しくて、紗紀は笑顔で頷く。
「はい!行ってきます!」
あなたもご無事で、そう口にしようとしたら、ミタマと名乗った狛犬が転移装置に足を踏み入れた途端、吸い込まれる様な激しい圧がかかり意識が遠のいていった。
◆◇◆
目が覚めると視界には木々の木漏れ日が差し込んでいるのが見えた。
空気はとても澄んでいて少しひんやりとしている。
どこか心地が良い。
紗紀は何度か瞬きをして、ゆっくりと体を起こした。
そして気付いてしまう。
今まで枕にしていたのはミタマの膝であった事を。
「ええっ!?ミ、ミタマさん!?」
思わず上ずった声を上げてしまった。
紗紀は慌てて口を塞ぐ。
けれど当の本人はすぅすぅと小さな寝息をたてていた。
(眠ってる……?)
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